mixiユーザー(id:16012523)

2016年10月23日17:20

549 view

武道随感  動きの再発見

 中先生の突きは動きの形が「遅い動き」とそっくりだったのだが、もっと本質的に『遅い動き』を使ってる動画を見つけた。これである。


 この検証のなかでは、わざわざ「3、速いジャブだと思わせパーリングさせる」というのが、まさに『遅い動き』だ。「4、左は腰の位置まで引き、見えない位置から動作開始。5、急激にしならせ強烈なロングフックを打ち込む」と続くのだが、左を腰の位置で「溜める」のが大事で、そこからギリギリまで手を出さないのが重要なのである。出す時は溜めたバネを開放する感じで一気に打つのだが、このリカルド・ロペスの左フックはまさに『遅い動き』のパンチそのものだ。

 検証に使われてるスパーの動画は、こっちの方にもある。

 5:50くらいにスパーの相手の選手が、「そうですね、来るって判ってるのにもらってしまう」と答えている。ああ、まさにそれ、とか思う。『遅い動き』でもらうと、まさにそういう印象になる。

 ちなみに、なんでこの動画を見つけたかというと、『はじめの一歩』の巻末コーナーで、リカルド・ロペスを紹介してたからだ。『一歩』には伊達を敗北させたリカルド・マルチネスという無敵、無敗のチャンピオンが出てくるが、そのモデルになったのがリカルド・ロペスだと書いてあったので、どんな選手だろうと思ったのだ。まさか『遅い動き』を使う選手とは!

 検証ビデオの中の「少し右足を下げて、前に出る」という動きも興味深い。これは剣道八段大会で、色んな人が使ってた動きだ。これ自体が一つの、『遅い動き』の呼び込み動作なのだが、実際的にどういう効果が出るのかはもっと研究してみたい。

 あと、少し興味深く思ったの。

 畑山と一茂がスパーしてる様子だ。へえ、と思ったのが体重差だ。畑山66kgに対し、一茂88kg。体重差22kgで、階級にすると6階級も違いがあるという。

 へぇ〜……って、あれ? 僕の体重は57kg。雪那さんは少し前の日記に87.5kgって書いてたぞ。体重差30kg……お〜、6階級以上差があるじゃん! ってちょっと笑った。いや、なんか柔道場の感覚だと、体重が僕の倍とかの人もいるんで驚かなかったのだが、打撃にすると凄いね。

 しかしこの動画は畑山が、「ボクシングは打つスポーツじゃないですから。いかに打たれないスポーツですから」と言ったのに驚いた! えぇ!? 畑山ってそういうファイターだっけ? いや、見るとヘッドスリップ一つでパンチをかわしてたりして、ホント上手い。当たり前だけど。

 それにしても、一茂ボディ凄い。僕だったら畑山のボディ一発で悶絶する自信あるね(爆)。何オンスのグローブとか関係ない。あれだけヒットしてたら、絶対悶絶だし。いやあ、極真のガタイ、半端ないなあ。一茂が直突きだけじゃなく、フック、アッパーなんかを使えてたら、結構面白くなったんじゃないかと思う。

 空手の人は総合にいってもあまりフック・アッパー系のパンチを使わない印象がある。けど空手にフック・アッパー系の打撃がないわけじゃないことに気が付いた。

 フックは「廻突」、アッパーは「裏突」という名前でやってますな(4:30頃)。そうかあ、面白い。空手も汎用性高い。

 前にあげた中達也先生は前から知ってたのだけど、剣術の研究とかをしてたらしく黒田鉄山の概念に近いものがあって、用語とか運用とかわりかし接近しやすかった。で、改めて黒田先生の動画を見ていて、ちょっと驚いたものがあった。


 5:00頃からの、拳を突き出した状態の相手を、居合腰になりながら崩す柔術の動き。相手がいる人はやってみるといいと思う。なかなかに難しい。力では相手はまず崩れない。奥さんと検証した結果、要点は次の2点。

1、肘を抑えた手は、下に落とすのではなく、円になるように内側になぞる。
2、腰を廻さず、後ろ足を股関節からたたむ。その際の、自然に胸が出る動きだけで相手の拳を上に上げる。

 これが剣術上どういう意味を持つのかは判らないが、発見があった。「腰を廻さない」という動きである。黒田先生はよく「廻さない」と言っており、前後斬でも交互に前と後ろを斬る際、どう見ても回ってるようにしか見えないのだが、「腰を廻すのではなく」と言っていた。長い間、それがよく判らなかったのである。

 この「廻さない」ということを中先生も追い突きの説明でしていた。「廻すのではなく、二枚の定規を擦り合わせるように」という動きで後ろ足を前に出すのが要点だが、普通にやったらイメージだけで普通に回る。八相からの側面でも、「回らない」ことは要点として教わるが、普通に動いたらまず回る。

 廻さないために何が必要か? 後ろ足を前に出す際に、先に股関節をたたむのである。後ろ足は概ね斜め前か横を向いている。これをまんま前に出したのでは、回る。特に、前を向いてる前足の爪先を横に向けてから、後ろ足を持ってくるようなことになりがちだ。そうではない。

 前足が前を向いたまま、後ろ足が並行に横をすり抜けるのが理想なのである。そのためには、まず股関節をたたんで後ろ足を踏み出すと、意外なくらいにラクに前足の横を並行ですり抜ける。そのままグンと踏み込むと、「定規を擦り合わせるように」まえに出ることができる。中先生の「廻らない突き」に近づく。

 この股関節のたたみ→踏み出しを、1→2のテンポではなく、1でいきたいのである。意識しすぎると2挙動になるので、注意しなければいけない。この気づきから、八相からの側面、脛打ち、そして振返しの打ちを見直した。さらには、踏み込み面、踏み込み脛の初動にも関わってくる。

 この廻さない動きができると、間合いが伸びるし、速くなる。しかし非常に基本から変えることになるので、身につけるまでには結構練習が必要だ。今、稽古中である。

1 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年10月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031