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2016年10月17日23:56

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ファニア 歌いなさい (1980)

ビデオを提供してくださる方がいたので「ファニア 歌いなさい」を鑑賞

1980年3月に放送されたテレビ映画としてアメリカで作成された作品
日本ではオリジナルビデオとしてVHSでのみ発売されている。(現在中古品以外の入手は不可能、Amazon USであればDVDが入手可)
原作は1981年に文芸春秋から出ているが、こちらも絶版
ただしAmazonマーケットプレイスという便利な機能は古書を漁る人には手間を省いてくれるのであった。

フランス人のファニアはユダヤ人ということでナチスにとらわれてアウシュビッツに送られる。本人がこっそり記した日記が素になっているので、原作の信頼度は高いとの評価。音楽が出来るので、アウシュビッツの女子オーケストラの編曲や歌手を勤めるのだが、そうは言っても収容所で待遇が変わるわけでもない。狂気と死と隣り合わせの生活をつづった作品。
若干の特別待遇はあったようだが、ナチの気分次第で明日はどうなるかはわからない。自分達を苦しめ、同胞を殺したナチのために演奏するのは魂を売るようなものだが、それでも生きるためなら何でもやるのか、自分の矜持を貫くべきか。
そして音楽やって強制労働を免れるというのはどうしても周りのやっかみも招く。精神的にも辛い。

戦局が押し迫ってくると、収容所の監督者の言動にも狂気が混じってくる。可愛いユダヤ人の坊やを引き取り(無理やりにだけど)可愛がっていた女性看守は、戦局の終盤、自ら子供に引導を渡した(と、推測される)、さすがに気がとがめるのか、子供の帽子を肌身離さず持ち歩くが、ソ連軍も近づいてきているし、それどころじゃないだろう。しかし、少ない人数と限られた楽器でなんとかオーケストラを維持しようという主人公たちの試み同様、破綻寸前のナチ体制を維持すべくドイツ人も日々を送っていく。


150分の長丁場であるが、戦争というか、絶滅収容所の狂気をよく描けている作品である。出演された女優さんたちの演技も見もの。

で、今いろいろ資料を漁っていたら、やはり古書で入手していた「チェロを弾く少女アニタ」、この作者の名前も囚人オーケストラの中にある。彼女の名前はNHKが放送したホロコースト物のドキュメンタリーで知って、本を入手していた。だからどこかで頭のアンテナに引っかかったのか?

アニタはアウシュビッツからビルケナウに移送されたこともあり、おそらく短期間しか参加していなかったのであろう。彼女の手記ではこのオーケストラについてはただ1章のみが割かれているだけだが、このドラマにも言及しており、団員たちが食料を奪い合ったりすることは無かったとある。どちらが正しいかは神のみぞしる。ただし、ファニアは尊敬すべき人であったと書かれている。

アニタはアウシュビッツに居る間にチフスで入院しており、映画にもチェロ奏者がチフスで、、とあったのでこれはアニタ本人かもしれない。

期せずして手持ちの本とシンクロしてしまった。こういうことがあると大発見をした気分になる。



だめもとでBSイマジカにリクエスト送信。


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