消えてゆく街角

Not so fun !

渋谷の街かどに立つとくらくらする。暑さのせいではない。
まだ梅雨は明けない。
渋谷駅界隈はいったいどこをどう歩いたら、どこにたどり着く
のか大工事の現場迷路の中だ。

渋谷文化会館という懐かしい響きのビルがあった。
屋上にプラネタリウム。一階に大きな映画館。酔っぱらって
オールナイトの『ジョーズ』を観たのはここだった。
いまは得体のしれない巨大なオブジェのようなビルが建ち、
中身はただひたすら明るく、ひっそりと息をつく陰影は
どこにもない。

西側ロータリーの向かいには東急プラザがあった。
なにに変わるのか、いまはぽっかり大きな空き地がただ
虚しくそこにある。
東急プラザは戦後の闇市の跡地に建てられたビルだった。
地下にはせめぎあうように小さな食料品店、雑貨店が軒を
連ねていた。あの店の人たちは何処に行ったのだろうか。

渋谷は日本中の若者、いや世界から若者が集まる街なの
だという。それはそれでかまわない。だが金が落ちない、
経済効果は無い街なのだと憂えるひとたちがいて、金を
落とすあるいは金を持ったオトナを呼び戻そうと、街を
改造破壊しているのだということらしい。

いいことなのかわるいことなのか、無論肯定も否定もできない。
雨は嫌いだが、雨の日の道玄坂の石畳は風情があった。
傘をさしてのんびり坂を上る。そんな楽しみかたもあった。
あの街が懐かしい。。。。