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2016年06月12日06:55

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2016年 6月 8日(水) グラインドボーン 「セヴィリアの理髪師」

ヒルトン・ガトウィックでタキシードに着替え、ガトウィック13:49発のルーイス行きに乗った。グラインドボーンのタイムテーブルによればヴィクトリア13:47発の列車に乗れば14:47にルーイスに着くのだが、それより20分ほど早い14:24に着こうとの目論見からだ。というのは、サウサーンはこのところ従業員の確保がうまくゆかず(ストなのか)、ダイヤにかなりの影響が出ているということだったからだ。ところが私の乗った列車が途中でキャンセルになってしまった。駅員にどうしたらいいか聞くとブライトンに行けと言う。しょうがないので、ブライトンに行き14:52発の列車で15:07にルーイスに着いた。当然シャトル・バスは出発していなかったが、係員がいてもう1台バスが来ると言われ胸をなでおろす。この辺りはこのフェスティヴァルの良いところだ。
演出 アナベル・アーデン、デザイナー ジョアンナ・パーカー、照明 ジェームス・ファーンコーム、指揮 エンリケ・マッツオーラ。ロジーナ ダニエル・ドゥ・ニース、アルマヴィーヴァ伯爵 テイラー・ステイトン、フィガロ ビョルン・ビュルガー、ドクター・バルトロ アレッサンドロ・コルベルティ、ドン・バジーリオ クリストフォロス・スタンボーリス、ベルタ ジャニス・ケリー、士官 アダム・マースデン、他。ロンドン・フィルハーモニック・オーケストラ。
今回はチケットを送ってもらわず、ボックス・オフィスでピック・アップした。席はレッド・アッパー・サークルのB44(£160.00)。新しい劇場になって初めてこの最上階に座った。舞台は良く見えるが、いかんせん遠い。字幕は良い位置に見えるが、私の視力で何とか判読できるという感じだ。ダニエル・ドゥ・ニースがロジーナを歌うせいかチケットの売れ行きが良く、私も1か月間ほどチケットが出ないかチェックをしてようやく入手した席だ。
舞台にはジュリオ・チェザーレの時のような襞の十分とった特徴のある幕が張られていた。演奏が始まると、音がデッドで残響が少ないのに驚くとともに失望した。指揮者の力量の問題だろうか。幕が上がると京劇の孫悟空のような恰好をした男がギターを持った楽団を率いてやってきた。そしてドタバタの末アルマヴィーヴァが“Ecco ridente in cielo”を椅子の上で歌い始め、前に進むと後ろの椅子を前に移動する。フィガロが最初に登場する場面ではオーケストラ・ボックスの中から登場し、指揮者と何やらやり取りをする(指揮者はそのような演出になれておらず、何を言っているのかよく聞こえなかった。)、フィガロがバルトロの家に登場する際はロジーナのスカートの中(床下)から、チェンバロ運搬人3人が盛んにチェンバロを持ってうろうろする、バルトロの使用人が本棚の中で寝ている、バジーリオがLa calunnia è un venticello “の「大砲のように」のところでは彼の裾から煙が噴き出る、ベルタの“Il vecciotto cerca moglie”では、彼女がスカートをまくり上げストッキングを見せ、使用人と踊る等々、演出家は次々と聴衆に低級な笑いを提供する。そして聴衆のかなりのパーセンテージがこのオペラを初めて観た感じで、そのくだらない笑いや字幕に良く反応しゲラゲラ笑う。と興ざめの連続(これは後ほどロングバラの聴衆とタクシーに乗り合わせた際にも、彼も同意。)。というわけで、高い入場料を払い気分が良くない。収穫はアルマヴィーヴァ伯爵のテイラー・ステイトン。実に良い声だ。ダニエル・ドゥ・ニースはずいぶん大人になったという感じで、声量は大幅に改善したように思うが、「ジュリオ・チェザーレ」の時のような初々しさが無くなり、また期待のビョルン・ビュルガーもそれほどではなかった。
今回グラインドボーンに行ってもう一つ気づいたのは、8月に大野和士が「夏の夜の夢」で登場し、ベルリオーズの「ベアトリーチェとベネディクト」が上演されることだ。できれば今年もう一度グラインドボーンに行ってみるか。
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