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2016年06月04日14:32

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2016年 5月 4日(水) ワシントン・ナショナル・オペラ 「ジークフリート」

以前は安かったワシントンのホテルはこのところ高騰したようだ。中心部だけでなくアーリントンや、さらに郊外に行っても1泊最低350ドルもする。これではたまらんといろいろ調べて、メトロから至近で安いハイアット リージェンシー ベセスダに移動することにした。メトロ・センターからレッド・ラインで8つ目のベセスダ駅に隣接するホテルだ。ここに3日から3泊する。
さて「ワルキューレ」が期待を大いに上回る素晴らしい舞台だったので、大いに期待してケネディー・センターに向かった。今日の席は「ワルキューレ」と反対側のオーケストラGG列3番(US$209)だ。左手上部がボックス・ティアーの天井で少し欠ける。隣に座った方が流ちょうな日本語で話しかけてきたが、やはり「ワルキューレ」のフィナーレには涙が出てしまったそうだ。期待が持てる。6時開演。
本日の配役は、ミーメ デイヴィッド・カンゲローシ、ジークフリート ダニエル・ブレンナ、さすらい人 アラン・ヘルド、アルベリッヒ ゴードン・ホーキンス、 ファーフナー ソロモン・ハワード、森の小鳥 リンゼー・アマン、ブリュンヒルデ キャサリン・フォスター。ダニエル・ブレンナはジークフリートを2011年にロングバラで、2014年にシュツットガルトで歌っている。
第1幕。演奏が始まると映像。激しく動く雲が森に代わり、木材を搬送する貨車。幕が開くと左手にキャンピング・カー、右手に炉とかな床。キャンピング・カーはバイロイトでも出てきたが演出家が使いたいものなのか? ジークフリートは悪童ぶりを縦横に発揮。熊もきちっと登場するし、ノートゥングを炉で溶解し、金型に入れて鋳造し、焼きを入れて鍛える。最後にはかな床を真っ二つにするという、ごく普通の展開。この辺りは二期会が1983年に初演した「ジークフリート」と同じ。
第2幕。ここから趣がぐっと変わってくる。森の映像から、宮殿のような豪華な緑の建造物が映し出される。そして幕が開くと後方に鉄のドアの並ぶ倉庫。上方には通路があり、左手床には壊れた車だろうか? 右手には油や薬剤の乗ったテーブル。さすらい人は上方の通路からアルベリッヒに語り掛け、梯子を使って下りてくる。森の小鳥は赤いドレスを着た女性で鳥の格好はしていない。ジークフリートがファーフナーを挑発すると、後ろから金属の爪を持ったロボットが出てくる。彼がノートゥングで切りかかると、火花が散る。やがてロボットがやられるとその口から苦しそうなファーフナーが出てきて息絶える。ファーフナーの血をなめて、鳥の声が理解できるようになり、またミーメの真意がわかるようになったジークフリートはミーメを殺す。彼はファーフナーとミーメに油をかけて死体を燃やそうとするが、小鳥がいやいやをしてそれを止める。やがて明るい緑色の宮殿のような情景となる。後方には木々。ここで小鳥からブリュンヒルデのことを聞き、勇んで出発する。
第3幕。ヴォータンは助言を求めて深い眠りについていたエルダを起こすが、彼女はブリュンヒルデやノルンたちに聞けと取り合わない。彼はジークフリートに世界を託すと言ってエルダを眠りにつかせる。第2場。森の小鳥に導かれたジークフリートにヴォータンは声をかけ、「かつてこの槍がお前の件を砕いた」と言うと、ジークフリートは仇に会えたと喜ぶ。そしてジークフリートはノートゥングで槍を2つにたたき折る。第3場。岩山についたジークフリートは火炎をくぐり、眠っているブリュンヒルデを見つける。彼女が女性だと気付いた彼は初めて恐れを感じるが、彼女に魅せられた彼は唇を重ねる。目を覚ましたブリュンヒルデは自分を目覚めさせたのがジークフリートだと知り感動し、二人は恋に落ち、結ばれる。(幕)
キャンピング・カーや鳥らしからぬ森の小鳥が目新しいといえば、そういえないこともないが、この「ジークフリート」はかなり低調で、素晴らしかった「ワルキューレ」とのすごい格差があった。
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