サクラの開花宣言と同じように、初鳴宣言というものがあって、
全国の測候所にそれをチェックする担当者がいるのだという。
近年、東京都心の担当範囲ではウグイスの鳴き始めは絶えて久しく、
ちなみにトノサマガエルも見かけないらしい。
大手町の気象庁界隈で見かけるというのも今更どうかとおもうが、
都心では絶滅危惧種というわけである。
その都心から三十分、近郊というこのあたり、住宅率ほぼ100%で
森も林も田んぼもない。そんな住宅街でもわずかな緑の陰でこの季節、
ウグイスが鳴く。
鳴き声はウグイスに違いないが、ホーホケキョゥーと流麗には鳴かない。
フォ、フォゲキョくらいのなんともおぼつかないというか、へたくそ
極まりない鳴き声である。
山野のウグイスは仲間のウグイスと競い合い、上手な鳴き方をおぼえ、
それを武器にメスのウグイスへの恋慕とするのだと、なにかの本で
読んだ記憶がある。
どうやらこの界隈には仲間がいないらしい。当然、ナンパ対象もいない
ということになる。女子力不足の農村のようなもんである。
いやまだ農村には慰めあう男衆がいるだけましか。
仲間とはぐれたものか、はたまた一匹狼ならぬ股旅ウグイスといった
ところだろうか。
そうねえこのあたりでは絶滅危惧種と呼ばれてもかまわない。
仲間のいる自然豊かなところへお帰りよ、とつぶやいてみた。
あまりにもなさけないウグイスの初鳴きだったもんですからねえ。。。。。
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