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2016年03月05日06:47

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『6才のボクが、大人になるまで。』

フォト


この映画、ぶっ飛んでますねぇ。。

ほんとうに6歳の子が18歳になるまでの12年間を追っかけた、
というか12年間役者を変えないでフィクションを撮り続けたという、
よくもまあ誰もおもいつかない作品。

タイトルもまんまです。原題『BOYHOOD』は訳せば「少年時代」
ですが、これでは井上陽水になってしまう。
かと言ってひねればむつかしい。結局まんまが一番ということに
なったんでしょうか。余計な脚色はいらない。正解ですね。

ドキュメンタリーには何年も素材を追っかけてという手法はありますが、
フィクションでこういうのは記憶にありません。
たしかトリュフォーに似たようなものがあったとおもいますが、
あれはセミドキュメンタリーだったと。
これは仮想の家族の物語ですからまさにフィクションです。
しかし家族役の役者が一切変わらないわけですから、どこから
どこまでが台本なのか、観ていてわからなくなってくる。

不思議な代物です。主人公の男の子が映像の中で微妙に成長していく。
あれ?これは同じ子役なのかなと最初はわからない。
さすがに18歳になると髭を生やしていたり、声が明らかに変わる。
極端に刺激のない変遷ですが感慨深いものがある。
こんな映画観たことがない。後に尾を引く、じわじわ沁みてくる。
なんともいえない味わいです。

主役は別れた夫婦を演じるパトリシア・アークエットとイーサン・
ホークなんですが、結果このふたりが狂言回しになっている。
これは演出の妙味なのか、はたまたふたりがやたら上手いのか。
味つけというには役者にとって嫌なことではと邪推しますが、
メイクでではなく確実に経年劣化していくわけです。
こどもたちはスタート当時、可愛いということはあるでしょうが、
少しずつ若者になっていくので恐れることはない。ところが親役の
ふたりは、一つの映像の中でしわが増え、たるんでいく。
耐えられないカメラによくもまあやったもんです。たいした役者魂です。

しかしまあ監督もある意味狂気だなあ。。。。。。


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