この映画、ぶっ飛んでますねぇ。。
ほんとうに6歳の子が18歳になるまでの12年間を追っかけた、
というか12年間役者を変えないでフィクションを撮り続けたという、
よくもまあ誰もおもいつかない作品。
タイトルもまんまです。原題『BOYHOOD』は訳せば「少年時代」
ですが、これでは井上陽水になってしまう。
かと言ってひねればむつかしい。結局まんまが一番ということに
なったんでしょうか。余計な脚色はいらない。正解ですね。
ドキュメンタリーには何年も素材を追っかけてという手法はありますが、
フィクションでこういうのは記憶にありません。
たしかトリュフォーに似たようなものがあったとおもいますが、
あれはセミドキュメンタリーだったと。
これは仮想の家族の物語ですからまさにフィクションです。
しかし家族役の役者が一切変わらないわけですから、どこから
どこまでが台本なのか、観ていてわからなくなってくる。
不思議な代物です。主人公の男の子が映像の中で微妙に成長していく。
あれ?これは同じ子役なのかなと最初はわからない。
さすがに18歳になると髭を生やしていたり、声が明らかに変わる。
極端に刺激のない変遷ですが感慨深いものがある。
こんな映画観たことがない。後に尾を引く、じわじわ沁みてくる。
なんともいえない味わいです。
主役は別れた夫婦を演じるパトリシア・アークエットとイーサン・
ホークなんですが、結果このふたりが狂言回しになっている。
これは演出の妙味なのか、はたまたふたりがやたら上手いのか。
味つけというには役者にとって嫌なことではと邪推しますが、
メイクでではなく確実に経年劣化していくわけです。
こどもたちはスタート当時、可愛いということはあるでしょうが、
少しずつ若者になっていくので恐れることはない。ところが親役の
ふたりは、一つの映像の中でしわが増え、たるんでいく。
耐えられないカメラによくもまあやったもんです。たいした役者魂です。
しかしまあ監督もある意味狂気だなあ。。。。。。
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