「蒼穹の昴(上・下)」(浅田次郎著 講談社 1996年4月18日第1刷発行)を読みました。
内容は、中国・清朝末期を舞台とした歴史小説です。
ところで、本書を読んでいて、「清朝」というのは、「わずか30万の満州人が4億の漢族を支配した」少数異民族による征服王朝であったことを改めて認識させられたことでした(~_~;)
著者は、これを書きたくて作家になったとのことですから、なかなかに気合の入った内容で、次のようなものでした。
梁文秀という青年(架空の人物)が、科挙試験で第1等の状元で合格し、間もなく、清朝第11代皇帝の光緒帝に仕えるようになります。
しかし、その当時、光緒帝には実権がなく、叔母の西太后が実権を握っていました。
そこで、梁文秀を含めた光緒帝の側近は、皇帝としての実権を西太后から取り戻そうと画策します。
しかしながら、その企みは失敗し、光緒帝は幽閉され、光緒帝の側近の多くは捕えられて処刑されますが、梁文秀は日本へ亡命するというものでした。
物語には、歴史上の実在の人物のみならず、架空の人物も多く登場させ、内容をより一層面白くさせています。
なお、本書には、科挙試験のことが詳しく書いてありました。
私は、科挙試験というのは、日本のように、一発試験かと思っていましたが、違うんですね。
何段階にも分かれていて、最終的な「進士」に至るまでには相当な年数がかかるんですね。
その間、家庭教師を付けて学ばねばなりませんから、貧乏人は受けられなかったようですね。
本書によりますと、科挙試験は、概略、次のような段階を経て行われたようです。
県試(童試)(14歳未満の少年が対象) ⇒ 府試 ⇒ 院試(院試に合格すると官吏の末席の生員の身分を得る) ⇒ 歳試・科試を繰り返す ⇒ 郷試(3年に1回実施・競争率約100倍)(郷試に合格すると「挙人」となる) ⇒ 順天会試(3年に1回実施・全国の「挙人」2万余名が北京貢院に会して受験)(順天会試に合格した300余名のみが「進士」となる) ⇒ 殿試(「進士」の順位を決定する試験)
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