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2015年10月24日19:55

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冬物語

本日の楠美津香さんの一人シェイクスピアは、横浜石川町で「冬物語」でした
鵜山君のシェイクスピア解説によると、「死」で終わるのが悲劇で
「結婚」で終わるのが喜劇という定義なのだそうです
だとすると、「冬物語」はまぎれもない喜劇
ですが、分類上は「テンペスト」などと同じくロマンス劇とされています

この戯曲は前半と後半に分けられ、前半は一見すると悲劇であります
オセロをさらに極端にしたと言いますか、イヤーゴーのような悪のために
悪をなす卑劣漢がいないにもかかわらず、シチリア王リオンティーズは
妻ハーマイオニと友人のボヘミア王ポリクシニーズの間に不倫関係があると
「自発的に」疑う、それもある日突然に

この辺が設定にかなり無理があり、後半の一気にハッピーエンドに結び
つけるための、ストーリー上「ためにする」嫉妬ではないかと

旧友リオンティーズを訪ねたポリクシニーズは、ついつい長逗留をしてしまい
それが9か月に及ぶ、というあたりからして「え?」であります
この9か月というのは、その間にハーマイオニが身ごもってしまい
それが不倫の子ではないかとの疑惑をリオンティーズに植え付ける
ための期間なのですね

アポロの神託により、このリオンティーズの疑惑は誤解であったことが
判明するのですが、時すでに遅し、リオンティーズの息子は母が疑われたことを
悲しみ死んでしまい、それが基でハーマイオニも世を去るところまでが前半

後半はボヘミアに舞台を移し、一気に16年の月日が流れる
ここで説明役として「時」が登場するのですが、この役はこの場限りの使い捨て

不倫の子である嫌疑をかけられた王女パーディタは、殺害を免れて
ボヘミアに流れ着き羊飼いに拾われる
この王女にボヘミア王子フロリゼルが一目ぼれして…というあたりから
ハッピーエンドに向けて急展開(なにしろ16年を端折ってますから)することになります

楠さんは、「この辺りから演じている方もわけわかんなくなりますので、観ている方
各自よろしくご理解のほどお願いします」ということに

あれこれあって、結局ハーマイオニも実は死んでいなかった(忠君の貴族の妻ポーリーナが
密かに匿っていた)ということになって、己の早とちりから悲劇を招いた身を16年間
ひたすらさいなんでいたリオンティーズが、突然「善き王」に変身して若い恋人たちの
結婚に尽力し、未亡人となったポーリーナに伴侶を世話するという大団円になります

ここにはオセロから得た教訓、ロメオとジュリエットから得た教訓が生かされ
「終わりよければすべて良し」ということになり、楠さんによれば「シェイクスピアは
すべからくギャグである」を立証したことになります

いつもの通り、事前に小田島訳を読んで行きました、やはりこれは必須ですね

終演後、石川町駅ナカのNewDaysで発泡酒を買おうと思ったら、季節限定の
Sapporo 冬物語があったので、ついつい奮発してしまいました
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