声種は、大きく分けると
女声はソプラノとコントラルト、
男声がテノールとバス、
その中間がメッツォソプラノとバリトンです。
（コントラルトは ほとんど いないみたいですが）
細かく分けると、女声が19種類、男声が17種類だという人もいます。
声種は、何によって決まるのでしょうか？
・ 声の質
太い・細い、明るい・暗い でも、バリトンより細くて明るいバスもいます。
いくらでも声は作れます。それっぽい声、誰かの真似もできます。
・ 音域
生まれつき音域の広い人もいるし・発声が悪くて音域のせまい人がいます。
でも、正しい発声が出来ていれば、鳴りやすい音域ってあります。
・ パッサッジョ（チェンジ）の位置
人によって半音〜一音のズレがあります。
正しいパッサッジョをみつけられる耳のある先生はごく僅かです。
・ 話し声の声質・声の高さ
話し声の発声が、歌う声より悪い人がいる（これ、直した方がいいですよ）
・ 専門のお医者さんに声帯を診てもらう
20世紀最大のテノール、カルーゾEnrico Carusoはバスの声帯だったそうです。
声帯を見ただけでは分かりません。
これらを全部総合して考えます。
声種を決めるのって難しいです。
声は、声帯の長さ・厚さと共鳴腔（口からノドの空間）の大きさで変わります。
ヴァイオリンやヴィオラ、チェロ・・・の弦と胴体との関係みたいなものですね。
声種によって、一番自然に鳴りやすい音域があります。
それぞれの声の、高めの中音域です。
一番鳴りやすい音域をみつけるのは、正しい発声ができてからです。
声は、どんどん変わっていきますから、出来上がるまで最終的な声種は判断できません。
土から１�� 芽が出たところで、なんの植物だか決めてしまうような安直な先生を信用してはいけません。
それまでは、声種にこだわらず、基本的な正しい発声を身につける訓練が必要です。
正しい発声で、生まれ持った本当の声、というのは なかなか到達が難しいものです。
作りもののウソの声 ； 発声の欠点からくるもの・自分の好きなイメージで作り上げるもの・教師の間違った指導で歪められてしまうもの・・・が巷に溢れていますね。
声種を間違えている人が多いと思います。
聴いていて、ひょっとしたら違うのではないか？と疑わしい声が多いです。
声種の判断を間違った場合、例えば、ソプラノの声なのにメゾとされた場合・・・ソプラノの音色のままでメゾの曲を歌うなら、ダメージは、それほど大きくありませんが、怖いのは、メゾの音色・歌い方（と思っているもの）を真似して、自分の本来の声を潰してしまうことです。
間違えれば致命的・・・曲を損なうだけでなく、本来持っている美しい声や音域を闇に葬ることになるし、声帯を壊したり、歌手としての寿命を縮め、取り返しのつかないことにもなります。
声種は、声が出来上がって はっきりするまで（何年でも）決めてはいけません。
例えば、メッツォソプラノなのかソプラノ ドラッマーティコなのか分からなかったら、ある期間メッツォを、別の期間ソプラノを試してみてもいいかもしれません。
ヴェルディなど、イタリアの大作曲家は、声を隅々まで知りぬいて、オペラを作っています。
声が出来上がっていない勉強中の人のためでなく、（彼の時代の・・・現代とは比べ物にならない水準）トップレベルの歌手たちの声に合わせて書いてある・・・
パッサッジョや高音に持っていき方、発音（母音）など・・・リリコ・スピント用の曲はリリコ・スピントの出来上がった声に合わせてあるのです。
ですから、彼が意図した声より もっと軽いソプラノが歌うと（たとえ上手く歌えても）、ヴェルディにならない・・・
ヴェルディは、発声の出来上がった人が歌うものだし、声に合ったものを歌うべきです。
（・・・と言っても、最近は声の分かる人が少なくなって、滅茶苦茶ですが）
トスカニーニが言いました。
“イル・トロヴァトーレのキャスティングは簡単。
世界で最高のテノール・最高のバリトン・最高のソプラノ・最高のメッツォソプラノを揃えればいいだけだから・・・“
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