前に書いたように、声を出す時、大事なことは 二つです。
・正しく息を吸って、ノドが開いた状態で、過不足なく必要なだけ正しく支える
・目の高さに線を想像して、その上に声を乗せるように歌う
この二つさえできればいいのですが、一見簡単そうで 実はなかなか・・・
私達が、どうしてこれ程苦労するかというと、実はこの二つは 相対すること・相いれないこと・・・だからです。
ノドを開けて、正しく支えられた声を目指すと、響きが柔らかいだけの芯のない、核のない、焦点のボケた、輝きのない・・・通らない・走らない・・・ 声になりがちです。
オーケストラが鳴れば・・・この声は、聞こえません。
想像上の目の高さの線を失わないように歌えば、声は前に響いて、言葉も聞き取れて、輝きのある声になりますが、それだけではノドが閉まって声帯に負担のかかる不快な響きになります。
私達は、なんとしても、この二つともを実現する方法をみつけなければなりません。
ここで 二つのことを、縦軸と横軸と考えてみます。
二つがバランスをとれるのは、ド真ん中で十文字に組み合わせた時です。
それ以外、どこで合わせても、ひっくり返りますね。
この点以外で歌おうとすると、何か他の力が必要になって、お腹の強い支えとか、肋骨を広げるとか、ほおを上げて笑い顔を作るとか、頭に響かせようとか、声を前に出すとか、口をラッパ型に開けるとか・・・の指導になるわけです。
そこの一点で歌えれば、一切余分な力は必要なく、無理なく簡単に歌えます。
この どちらにも傾かない完璧にバランスのとれた点をみつけるのが、ベルカント発声の勉強だといえると思います。
勉強する時、いつもこの二つを意識して、どちらかが強くなり過ぎないように、一つに凝り過ぎないように・・・50%・50%の割合を保つことを注意してください。
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