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2015年07月12日12:37

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安倍晋三首相が今国会での成立を目指す安全保障関連法案について 

イラク戦争は集団的自衛権という名でもって米国側が仕掛けたということ。
法案が成立してしまえばその類の国際紛争解決に自衛隊が後方支援できるようになるということ。「我が国の存立が脅かされ…」云々でもって。 
 


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そもそも「安全保障関連法案」とは? 集団的自衛権をどう規定 118
2015年07月11日 17:40 THE PAGE
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[写真][写真]2015年5月14日、安全保障関連法案を閣議決定した安倍首相が会見した(ロイター/アフロ)
 安倍晋三首相が今国会での成立を目指す安全保障関連法案が、今月15日にも衆議院特別委員会で採決される情勢です。6月の憲法審査会で3人の憲法学者が「違憲」と表明して以来、法案が「合憲」か「違憲」かに特に注目が集まってきましたが、そもそもこの安全保障関連法案がどんな内容か、必ずしも理解が深まっているとはいえないかもしれません。今回の法整備によって、日本の防衛、具体的には自衛隊の活動がどう変わるのか。安全保障問題に詳しい美根慶樹氏が解説します。

「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」
 日本は戦後、新憲法の下で平和主義に徹しつつ、必要最小限の自衛は可能という見解を取ってきました。その下で、具体的に、自衛隊がどのような脅威に対して、どの場所で、どの手段によって自衛の行動を取れるか、関連の諸法律によって厳格に定めています。

 一方、日本の安全保障に影響を及ぼす国際情勢はつねに変化しています。安倍首相は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するため、安全保障関係の法制を整備しなければならないとさまざまな機会に強調しています。

 この考えを具現したのが、昨年の閣議決定に基づき、政府が2015年5月15日に国会へ提出した安全保障関連法の改正案であり、現在審議が行われています。

 法案は形式的には2本だけですが、その中の「平和安全法制整備法案」は既存の法律10本を改正するものであり、また、他の「国際平和支援法案」は新規の法律となっていますが、実質的には「テロ特措法(2001年)」「イラク特措法(2003年)」といった、かつて存在し現在は終了している法律を改正するものです。したがって国会で審議されている11本の法律案は、すべてこれまでの法律を改正するものとみなしてよいでしょう。

「周辺事態」を「重要影響事態」に衣替え
 改正法案の具体的な内容は、「自衛の範囲・程度」に関わることと、「国際貢献」に関することの2つに大別できます。本稿では前者を説明します。

 第1に、自衛隊が対応を求められる“脅威”とは何かです。現在の国際情勢に照らせば、その範囲を拡大する必要がありますが、広げ過ぎると「自衛」を超えるという困難な問題です。

 まず、脅威の発生する場所です。現在の周辺事態法では 「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」として、脅威の発生する場所は日本周辺に限定されていますが、改正法案(重要影響事態法)は、この条文から「我が国周辺の地域における」を削除しています。地理的限定を撤廃しているのです。つまり、世界中のどこでも自衛隊が行動しなければならなくなる脅威がありうるという認識にしたのです。このように場所を問わず日本に及んでくる脅威は「重要影響事態」と呼ばれています。

 脅威の種類は他にいくつかあります。現在、自衛隊が行動できるのは「武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態(武力攻撃事態)」と「武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態(武力攻撃予測事態)」であるとされています。これらを「武力攻撃を受けた場合など」と言うことにします。

 改正法案(武力攻撃事態法)は、上記の2つの事態に加え、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態)」を追加しました。

「存立危機事態」を「集団的自衛権」の条件に
 つまり、今までは「我が国に対する武力攻撃など」が自衛隊の対処する脅威であったのですが、改正法案では「他国に対する武力攻撃」の場合も含めることにしたのです。これは、今回の法整備で『集団的自衛権の行使』を認めた結果であり、法改正の焦点の一つです。

 しかし、他国が攻撃された場合にまで広げると「自衛」でなくなる恐れがあるので、他国に対する攻撃が発生した場合の後に、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態)」という条件を追加しました。こうすることにより、他国に対する武力攻撃であっても日本に対する脅威でもあり、これに対する対応は「自衛」であるという理屈にしたのです。これは「他国に対する武力攻撃」であるが「自衛」が必要な場合と認識するための工夫であり、存立危機事態は一種の“ハイブリッド”です。「中途半端に集団的自衛権を求めた」と評する人もいます。

「グレーゾーン事態」にも対応
 さらに一連の改正法案は 、これまで自衛隊が行動することが想定されていなかったいくつかの事態も今後自衛隊が対応すべき事態としています。具体的には、尖閣諸島のような離島へ不法な侵入・侵害が発生し、警察力で直ちに対応できない場合、あるいは外国潜水艦による我が国領海内での航行において違法行為があった場合、あるいは在外邦人の避難の過程で外国から不法行為が加えられた場合などで、一括して「グレーゾーン事態」と呼ばれています。これらについては「自衛隊法」の改正で手当てしています。

「重要影響事態」では自衛隊の地理的制約なくす
 第2に、自衛隊の行動する場所です。「自衛」ですから当然日本の領域が原則ですが、それだけでは防衛上十分でなく、1999年の周辺事態法成立によって、厳密に日本の領域に対する攻撃でなくても一定の事態においては、日本の「周辺」で一定範囲の行動ができるようになっていました。

 周辺事態法を改定する今回の重要影響事態法案では、脅威の発生する場所が日本の「周辺」であるいう地理的限定を撤廃したことに伴い、自衛隊の行動する場所についても限定をなくしています。世界のどこでも自衛隊は行動可能になっているのです。

 さらに、武力攻撃事態法など改正案は、他国に対する武力攻撃であっても「存立危機事態」であれば自衛隊は「武力攻撃を排除」しなければならないと定めています。自衛隊が行動する場所としては明記されていませんが、「武力攻撃を排除」するためには、当然、武力攻撃された国の領域へ行かなければならないでしょう。安倍首相はじめ政府関係者は自衛隊が他国の領域に出ていくことはないと答弁していますが、改正法の記載と整合性が取れているか疑問です。

「重要影響事態」と「存立危機事態」で取れる行動
 第3に、自衛隊が取れる手段・行動については、いつでも何でもできるのではありません。脅威の態様に応じてどのような手段・行動が取れるかを一連の改正法案は定めています。

 「重要影響事態」の場合に自衛隊が行なうのは、後方支援や捜索・救助など比較的軽い内容です。

 「存立危機事態」の場合は、「攻撃を排除するために必要な武力の行使、部隊等の展開」など、武力の行使を伴うような非常に重い内容であり、この中には武器の使用が含まれます。

 以上、自衛隊が対応する脅威の種類、行動する場所、目的達成のための手段を見てきました。これらの改正法案の内容は、政府はすべて「自衛」の範囲内と見ていますが、集団的自衛権行使は憲法上認められないという有力な意見があります。

 また、「自衛」については、自衛隊だけの問題でなく、日米安保条約に基づく米軍との協力と一体となって行なわれます。後方地域支援は米軍の作戦と一線を画して行なわれるというのが政府の考えですが、相手国は必ずしもそのように理解しないので、後方地域支援であっても戦闘に巻き込まれる恐れがあるという指摘もあり、そうなると憲法違反の問題になりえます。

 また、自衛隊の行動の範囲が広がり、協力する国が米国だけでなくなり、多数の国に広がると、多角的な国際協力との境界線が不明瞭になるという問題もあります。

(美根慶樹/平和外交研究所)

※今回の前編では「日本の防衛」を中心にみてきました。後編では「国際貢献」の観点から安全保障関連法案を解説します。

■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹

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