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2015年06月22日17:11
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翻案 マンモーニ 1/
マンモーニ
――これは『覚悟』と『立ち上がる』ことについての物語だッ――
時 ２００１年３月
所 イタリア、フィレンツェ行特急列車内
人 ペッシ
プロシュート
グイード・ミスタ
ブローノ・ブチャラティ
�癸�
その他
＊本作は、原作の当該部分のうちペッシの体験した部分だけを書き抜く。よって彼の見聞きしていないシーンが大幅に欠落しているが、それでいい。
＊本作では原作の擬音をほぼ用いない。セリフのみにとどめることにより人物の心理、とりわけペッシの成長過程が追いやすくなるだろう。アクションシーンなどで擬音の欠落により意味が取れなくなる場合は、ト書きで補った。
＊本篇の主題は「人はいかにして成長を志すか」である。よって、最後に堕落し敗北するペッシの末路までは書く必要がないと考えた。よって「アリーヴェデルチ（さよならだ）」は出てこない。
第１場 『ブッ殺した』なら使ってもいいッ！
ネアポリス駅、プラットホーム。
プロシュート 「本当にいたぜ、ブチャラティだ…先頭車のところの水飲み場にいる…。しかし信じらんねェェぜ〜、すぐに見つかる駅に、全員でくるとはなあ〜」
ペッシ 「ブッ殺してやるッ!!」
プロシュート 「『駅に来る』…。だが、それはよほど追いつめられてトチ狂ったか…それとも…、オレたちの追跡をかわす方法に『何らか』の自信があるということか…、どちらか…だな…」
ペッシ 「どっちにしろブッ殺してやるッ！『ホルマジオ』と『鏡のイルーゾォ』のかたきだッ！」
プロシュート 「おいオメー、さっきから、うるせえぞ『ブッ殺す』『ブッ殺す』ってよォ〜。どういうつもりだてめー、そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ…そんな、弱虫の使う言葉はな…。『ブッ殺す』…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレや、オレたちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には！ 実際に相手を殺っちまってもうすでに、終わってるからだッ！ だから、使った事がねェ――ッ。ペッシ、オマエもそうなるよなァ〜、オレたちの仲間なら…わかるか？ オレの言ってる事…え？」
ペッシ 「あ…ああ！ わかったよ！ 兄貴」
プロシュート 「『ブッ殺した』なら、使ってもいいッ！ オレはこのままホームから向かうから…ペッシ、おまえは列車の中から１号車に向かえ!! はさみ撃ちだッ！ 『娘』は生け獲りだからな…。発車前に終わらせたい。切符を買わずに済むからな…」
ふたり、別れるがすぐまたカチ会う。
プロシュート 「…!!」
ペッシ 「あ…」
プロシュート 「…」
ペッシ 「…」
プロシュート 「おい、ペッシ。なんでオメーと出会うんだ？」
ペッシ 「あ…兄貴こそですぜッ！ どうしたってんですか？ 水飲み場にいた『ブチャラティ』はどこ行ったんですか？」
プロシュート 「おめ〜、ブチャラティの顔知ってるよなァァ〜？ ペッシ〜っっ。アバッキオとかミスタ、フーゴ、ナランチャ…新入りにジョルノとかいう小僧も入ったそうだが…、そいつも全員知ってるよな、オメー？」
ペッシ 「いくら兄貴でも、その質問失礼じゃあないですかい？ やつらの略歴と顔なら、写真に穴の開くほど見てまさあ〜っ!!」
プロシュート 「じゃあ説明すんのは簡単ってわけだ…。今、オレの目の前でブチャラティがホームから列車に飛び乗った！ 通路から来たオメーと出会ってなきゃあおかしいよな…え？ そうじゃあねーか？ 乗客の顔は全員よく見て来たのか？ サングラスとかヒゲで変装してる風なやつらはいなかったか？」
ペッシ 「だから見て来ましたってッ!! 誰ともすれちがわなかったし！ 他のヤツらも新入りも娘も絶対どこにもいやしませんでしたぜッ――っ」（間…）「…兄貴…。この列車、発車の時間だ…動き始めてますぜ…」
プロシュート 「…」
ペッシ 「今も客席を見て来たように乗客の中にはヤツらはいなかったでしょう…？ きっとこの駅のどこかに隠れて、尾行とかの様子を見てから適当な列車に乗って逃げるつもりなんだ。浮浪者とか使って駅内を探させましょうぜッ！」
プロシュート 「…」
ペッシ 「兄貴！ 列車が動き始めてますってッ！」
プロシュート 「うるせーなッ！ おまえが列車に乗れッ！」
ペッシ 「えっ!? 何でェ――ッ!? 何でです？ 何で列車にのるの？」
プロシュート 「オレの『勘』だ！ ブチャラティたちはどうやってかはわからんがこの列車のどこかにいるような気がするッ！」
ペッシ 「気がするですって！ 気が？」
プロシュート 「いいから乗れっつってんだよッ！ ペッシ！ それにさっきも言ったように、ブチャラティたちは列車で移動しても大丈夫って『自信』があるから駅に来たんだ…。それはオレたちの尾行をかわす自信ではなくて、きっとボスが何かの方法で手助けしているんだ…！ 今、この列車をオレたちが調べなかったら、オレたちはヤツらをこのまま永久に見失ってしまう気がする！」
ふたり、乗る。
ペッシ 「あーあ、乗っちゃった…！ 切符買いたくないって言ったくせに…」
プロシュート 「うるせーぞ。おい、この壁の下のスキ間…向こう側は何だ？ これ？」
ペッシ 「壁じゃあなくて運転室のドアじゃあないですかね、それ！ でも、こっちからは開かねーし、７人からの人間が運転室に入ってるわけはね〜っすよォ」
プロシュート 「わかんねーぞ…。探すって決めたからにゃあよォ〜、この列車…先っちょから尾っぽまで徹底的に荒らしまくってやるからな！ おめーの『ビーチ・ボーイ』で中を攻撃してみろ！」
ペッシ 「…。『ビーチ・ボーイッ』!!（スタンドを出して、ドアをこじ開ける）やっぱり７人もいないよ、この中にいるのは…２人だ。…」
プロシュート 「くそ！ たしかに狭いな…運転手ひとりか…。だがこの列車のどこかに絶対やつらはいる！」
ペッシ 「…え？ あれ？ ちょっと待てよ、おかしいですぜ…『２人』だと思ったんだけどな。ひとりしかいない？ ほんとひとり？ 生き物の気配は『２つ』のはずだったんですぜ…」
ナレーション 「フィレンツェまでの所要時間３時間30分。次の停車駅ローマまでノンストップ（１時間半）。故郷ネアポリスを出発、時速150�辧▲蹇璽泙泙任僚衢彁�間、１時間30分」
プロシュート 「おい、ペッシッ！ この列車を『先っちょ』から『ケツ』までとことんやるぜッ！ どっかに潜んでいるブチャラティどもをひきずり出してやるッ！ おまえは『運転室(そこ)』にいろッ！ ヤツらはオレたちの存在にまだ気づいていないと思うが…もし気づいたらこの列車を止めに来るかもしれないからなっ！ ヤツらは『娘』をかかえているッ！ この列車内をおいそれと動き回ったり、または『娘』を連れて飛びおりたりッ！ 簡単にはできなくなる！ それがこれからオレたちの有利な点だッ！ 列車を高速で突っ走らせてろよォ！〜ッ！ ローマまでにはヤツらを皆殺しにして『娘』をゲットするッ！」
ペッシ 「ちょ…ちょっと待ってくれ、兄貴…。おかしいんだよな…。この運転室の『気配は２つ』だと思ったのにな…。この運転手の気配の他にもうひとつあったような…。ロッカーなんかに誰かがいるわけねーか…。やっぱ運転手はひとりだよなあ――。オレは兄貴と違って『勘』が悪いからな…。ン？ ？ なんだ？ …？ あの黒っぽいものは？」（フト、それまでとは関係のない、煙のようなものに気づく）「…うわあああ！ あ…兄貴ィ!!! ま…まさかッ！」
プロシュート 「『ザ・グレイトフル・デッドッ！』」（スタンドを出す）
ペッシ 「ちょっ！ ちょっと待ってくださいよッ！ や、やるんですかい!? 乗客ごとやるつもりですかい！ しかも、ヤツらがまだ確実に列車内にいるってわかってもいないのに！」
プロシュート 「言ったろうがよォ――。トコトンやるってな！ ヤツらは絶対いるッ！それにたいしたこたァねーだろォーッ。毎年、世界中のどっかで旅客機が墜落している…それよりは軽く済むッ！」（去る）
列車内のビュッフェで、グラスに入れた氷をかじりながら。
ペッシ 「…ったく、もう兄貴ったらよォ――、あぶねーことするよなあー。オレまで『年』とっちまったらどうしてくれんだよな、まったく。（スタンドにアタリがある）！ …。きたッ！ くらいついたぜッ！ 餌にィ――ッ。兄貴ィ！ どこ行った!? いねーのかよォオッ！ 兄貴の言うとおりだったッ！ ブチャラティどもはこの列車に乗っていたゼーッ。エアコンのスイッチの餌にかかりやがった！ ２両前の運転室にいるッ！ この状況で運転室のエアコン冷房の…スイッチを『ＯＮ』に押そうとするのはヤツらしかいねえからな！ でも『針』にかかったこいつは誰だ!? 『トリッシュ』でないことは確かだ。この引っぱる力は『男の力』だ…。釣り上げてやるぜ!! 針が食い込んでいるのは左手。体重は68�圈Ｂ召砲泙錣蠅肪�かいるのか？ 『糸』に感じる『動く気配』はとりあえずこいつひとりのようだが、しかしまあ、すぐにわかる…こいつが誰かすぐにわかるーッ」（アタリに弾丸を感じ）「おお！ こいつ『ミスタ』だッ！ 糸を切ろうとしたのは『弾丸』だ…『拳銃使い』はグイード・ミスタだ！ そして『糸』を撃ったってことはよォ…、オレの『ビーチ・ボーイ』の『糸』はよお、獲物以外の物体は水と同じように通過できる！ 切断はできねえ。…とはいえよう、『衝撃』は『糸』を伝わるんだ！『糸』はおまえの左腕に深〜く食い込んでいるんだぜ…。おまえの神経にスデニねっとりからみついてるんだぜ！ つーことは！ 撃った『衝撃』はどこへ伝わんのかな!?」（間…）「仲間はどこにいるのか知らねーけどよォ、ミスタ！ こいつひとりだ！ 動く気配はひとり。釣り上げてやるぜーッ」（間…）「ン。なんだ…？ 前の車両からの音は？ 今のはミスタの拳銃か？ 誰を狙って発泡したんだよ。それともまさかこのオレを探すために撃ったのか？ やけにでもなったか？ 他の乗客にでも当たっちまったらどうすんだよ…。ミスタ…オレはオメーの顔を写真が穴のあくほどながめたが…オメーはオレの顔は知らねえ…。このオレをこの列車でオメーが見つけるのは不可能だな…。乗客だって老化のスピードがひとりひとり違うから、まだ若そうなのもいる…。しかもオメーはここにさえ来ることはできねえんだ。今『針』はおまえの耳深く到達するところだぜーッ」
突然、手元のグラスが砕ける。
ペッシ 「…」
�癸� 「うえええーん…モット下狙ワナイト『氷』ガチャント吹ッ飛バナイヨ!!」
ピストルズ 「チョイ下ダッ！ モット下ヲ狙えッ!!」
ピストルズ 「コッチだッ！ コッチッ！」
ピストルズ 「ソノママ突ッ込ンデ来ィイ――ッ!!」
ピストルズ 「『氷』見ツケタカラヨッ!! 野郎どもッ！ ブッ壊セェーッ」
グラス、粉々になる。
ペッシ 「うわああああああああああああ。なっ、なにをしやがるんだァァアアア――ッ」
ピストルズ 「オッ、オッ、オ！ コイツ青ザメテ叫ンデイルゾ。コノ野郎ガモシカシテ！」
ペッシ 「うあ…。あ…」
ピストルズ 「コイツダッ！」
ピストルズ 「コイツガ『針』ト『糸』敵本体ダッ！」
ピストルズ 「アノ釣リ竿ミテーナモノガコイツノ『スタンド』ダッ！」
ペッシ 「ち…ちくしょおお、な…なんて事を！ オ…オレの体を冷やす『氷』が…、オ…オレの『氷』がッ！ こんなんじゃ触ってスグに溶けちまう！ と…とりあえずここは逃げて、ど…どっかで『氷』を探すんだ…。『氷』を探さねーとオレまで老化で死んじまうッ！ 逃げろッ！」
老人 （邪魔して）「た…助けてェェェ〜。い…いったい何が起こっているんだァ〜？ 目もかすんで、よ…よく見えない〜ッ」
ペッシ 「な…なんだ、オ…オメエ――ッ」
老人 「ね…ねえええあんたああ、ど…どうなっち…まって…るのか…なああ…あああ…あああ」
ペッシ 「ど、どけ、このオイボレがッ！ ゾンビくせえ手でこのオレに…」
老人 「体中がだるくって動きたくないし、油っこい…肉を注文したのに、食いたくなくなったんだアアアア」
ペッシ 「触ってんじゃあねェェ――ッ」（振り払うその手に、弾丸命中）「あひィィィえええやややああああ」
ピストルズ 「イヤッホ――手ニ命中ーッ」
ピストルズ 「イヤ！ 乗客ニ命中スルカラ『ミスタ』ニモウ撃つなと言エッ！」
ピストルズ 「『ミスタ』ヲ呼ベ！」
ピストルズ 「『ミスタ』ガ来ルノヲ待テッ！」
ピストルズ 「『ミスタ』――ッ」
ピストルズ 「『ミスタ』ーッ」
ペッシ 「ひいいいいええええええ〜ッ」アアアアア「ああああああああ」「あああああああああ」
ミスタ、登場。
ミスタ 「セックス・ピストルズ！ 全員『弾丸』に戻って来いッ！」
ペッシ 「あ…あ」
ミスタ 「答えようが…答えまいが…オレは今からおまえにごく簡単なたったひとつの質問をする。オレが質問をして２秒以内にオマエが答えねえ場合は、オレはオマエの２つの目玉に各一発ずつ弾丸をブチ込む。１(ウーノ) ２(ドゥーエ) それ以上は待たない！ もしおまえが答えなくても、オレは自分で質問の答えを探しに行くからな。いいな？ それでは質問するぜ。『てめーのもうひとりの仲間はどこにいる？』」
ペッシ 「…！」
ミスタ 「１(ウーノ)！」
ペッシ 「し…知るかよッ！ オレだって知らねーんだよッ！」
ミスタ 「２(ドゥーエ)！ じゃあ死ね！ 覚悟はして来てんだろ？」
老人 （邪魔して）「ねえええあんたあああ、助けてほしいんだよおオオオ、油っこい肉が好物だったのにさあああ、急に食いたくなくなったんだ…さっぱりした物がよくってさあああ。オレどうおおおなっちまってんだよオオオ〜」
ミスタ 「おい！ どいてろッ！ すぐにまた肉が食いたくなるからよォ――ッ」
老人 「いいや…もう何も食えないさ！ ただしおまえがだ…『ミスタ』」
ミスタ 「…」
ペッシ 「え？」
ミスタ 「だ…誰だ？ てめぇ――ッ!!」（老人に手を握られている）「うおおおおおお、おおおおおおお」（見る見るうちに老化する）
老人 「『グレイトフル・デッド！』」
ペッシ 「え？ な…なに!? ま…まさか!! そ…そのじじい…!!」
ミスタ 「きィさまああああああ」
老人 「『直(じか)』は素早いんだぜ。パワー全開だぁ〜。『グレイトフル・デッド』の『直』ざわりはよぉぉぉ」
ミスタ 「おおごおおおおおっ。ピ…ピストルズ！ こ…このスピード…しまった」（倒れる。ピストルズともども）
ペッシ 「あ…兄貴かい？ あんた兄貴かい？ ぜ…ぜんぜん気がつかなかった！あ…兄貴…!! そ…そこにいたのかい…？ ま…まさか自分自身を自由に老化させて乗客の中にまぎれているとは…。兄貴ィッ！ プロシュート兄貴ィッ！ やっぱり兄貴はスゲェーやッ！ さっき、じじいのふりしてオレにだきついたのは、オレがミスタに撃たれねぇようにかばってくれたからなんだねッ!!」（ぶん殴られる）「な!? !? なんでイキナリ殴んだよォ――兄貴ィィィィ」（ボコられる）「うわあああ…や…やめてくれよ！なに怒ってんだよ兄貴イイイイイ!?」
プロシュート 「この腑抜け野郎がッ！ なんだ!? 今のザマは!? ええ!?」
ペッシ 「だっ…だって『氷』を撃つなんて思ってもみなかったんだ。しょうがねーじゃあないかッ！ こいつら！ 早くも気づいてやがったんですよ！ 兄貴の『グレイトフル・デッド』は体を冷やせば老化が遅れるっって事をよォーッ」
プロシュート 「ああ…たしかにそうだな…。こんなに早く『氷』の事に気づくこいつらは、ブチャラティのヤツ…恐ろしく頼りになる部下を持ってるらしい！ だがそんなことは遅かれ早かれバレるのはオレだって承知の上だよ。まだわかんねーのかママッ子野郎(マンモーニ)のペッシ！」
ペッシ 「ひィィ、も…もう殴らねーでくれよォ兄貴ィッ！」
プロシュート 「いいかッ！ オレが怒ってんのはな、てめーの『心の弱さ』なんだ、ペッシ！ そりゃあたしかに『氷』をイキナリぶっ飛ばされたんだ、衝撃を受けるのは当然だ！ 自分まで『老化』しちまうんだからな。オレだってヤバイと思う！ だが！ オレたちのチームの他のヤツならッ！ あともうちょっとでノドに食らいつけるって『スタンド』を決して解除したりはしねえッ！ たとえ腕を飛ばされされようが足をもがれようともなッ！」
フラッシュバック。暗殺チーム面々の「覚悟」のカット！
ホルマジオ 「覚悟して待ってやがれェェエアアアアアナランチャアァアアア――ッ。リトル・フィィィィ――トォオオオオオ――ッ」(51-90)
イルーゾォ 「『マン・イン・ザ・ミラー』、オレだけが、外に出る事を許可しろォォォォ――ッ。うおおおががががが」(52-58)
メローネ 「シンプルがいい！ オレはオレのやりたい方法でこいつを殺すぜッ！」(54-140)
ギアッチョ 「首から出た血を凍らせて柱のように『固定』したッ！ これ以上のけぞらねえようにッ！ ガッシリとッ！ これ以上食い込まねえようになああああ」(55-138)
リゾット 「ひとりでは…死なねえっ…今度はオレが…利用する番だ『エアロスミス』を…くらえ…!!」(59-76)
エアロスミスの銃撃。
ドバ ガガガガガ ガ
シーン、戻る。
プロシュート 「オメーは『ママッ子』なんだよペッシ！ ビビったんだ…。甘ったれてんだ！ わかるか？ え？ オレの言ってる事。『氷』のせいじゃねえ。心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ！『成長』しろ！ ペッシ。『成長』しなきゃあオレたちは『栄光』をつかめねえ。ブチャラティたちには勝てねえ！ そしてハッキリと言っておくぜ。オレたちチームはな！そこら辺の仲よしクラブで『ブッ殺す』『ブッ殺す』って大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような負け犬どもとはわけが違うんだからな。『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ！ その時スデに行動は終わっているんだッ！」（迷いなくミスタを射殺する！）「行くぜ、ペッシッ！ ホレ『氷』だ！ オメーが持ちな。ミスタが一両目から出て来るのをオレはここから見ていた。そしてたしかオメー、さっき運転室に『何かもうひとつ気配があった』って言ってたな。それを思い出した！ 隠れてる方法はわからんが…娘は…運転室にいるッ！」（運転席に移動して）「おいペッシ、さっき、この運転室でオメーの感じてた『気配』ってなんだと思う？ 今は感じねーのか？」
ペッシ 「そ…その事なんだけど、あ…兄貴ィ…。あ…あんまり期待なんかしねーでくれよォー。さっき、オ…オレの感じた『気配』なんかによォー。オ…オレ『勘』が悪いし…」
プロシュート 「ペッシ、ペッシ、ペッシ、ペッシよォ〜。オレはオメーを信じてるんだ。オレがさっきおまえを怒ったことなら『自信を持て』…。おまえの『ビーチ・ボーイ』はその気になりゃあ、何者にも負けねー能力じゃあねーか？そうだろ？ オメーがさっき感じた『気配』はものスゴク怪しいんだ。ここが正念場だぜペッシ！ オレたちはヤツらを追いつめてる！ 『自信』を持っていいんだぜ！ オメーの能力をよォ――」
ペッシ 「そ…そうかい？」
プロシュート 「そうさ」
ペッシ 「で…でも『気配』って言ったって今はもう良くわからねーよ。オレの『能力(ビーチ・ボーイ)』、『標的』がしぼれてる時だけだからよ」
プロシュート 「思い出すんだ。ささいな事でいいんだ。さっき何か妙な物はなかったか？『黒っぽい』物とかよ」
ペッシ 「え！ 『黒っぽい』…『物』。黒っぽい物って言われてみりゃあ、そうだ！ 兄貴！ オレ、さっき運転席の下を見てみようと思ったんだ。何か気になったのを思い出した！ 何か妙だったんだ!!（覗くが、何もない…）…。…す…すまねえ、あ、兄貴なんでもねえよ。気のせいだった。や…やっぱり、そ…その…、あてにしねーでくれよォー、オレなんかの『勘』をよォー」
プロシュート 「いや、そうでもねーようだぞ。でかしたぞ、ペッシ」
ペッシ 「…え？ ？ なんですって？」
プロシュート 「『謎』は解けたぜッ！ ブチャラティどもが『どこに』『どんな方法』で隠れているのか、ブチャラティはボスに何をもらったのか！ おまえのおかげで全て理解したぞペッシッ！」
ペッシ 「？ ？ あ…兄貴？ 何を言いたいのか!? オ…オレにはさっぱりわからねーけど…!!」
プロシュート 「なんで、電車の運転席の下にイキなり『動物のフン』があるんだ？ ネズミなんかじゃねえ。ネズミとかなら、もうとっくに寿命でくたばってるからな。古いフンじゃあねえ、今しましたって感じだ…。いったいどういう事だ？ これから推測できる事は…え？ 『スタンド能力』は人間だけが持つ物とは限らねえ！ そしてこの『動物』はッ！ 物陰を移動してるってこったァ!!」（スタンドで部屋を破壊する。物陰から亀が出てくる）
ペッシ 「あっ！ あっ！ なっ…なんだこりゃああ――。か…『亀』かよッ！ 亀だッ！ そ…そして、この亀の背中にくっついてる物の中には！」
プロシュート 「見つけたぜ！ 『娘(トリッシュ)』だッ！ 他のヤツらも見えるッ！ 娘以外全員、予想どおり『老いて』もう死にそうだ!! 決まりだゼッ！ この『亀』にさらに『直』の能力をたたき込む！ 娘(トリッシュ)以外、全員もう寿命で命はつきるッ！ 『グレイトフル・デッド！』」
ペッシ 「ちょっ、ちょっと待って兄貴ッ！ こいつら！ ひとり足りないンじゃあないスかッ！」
プロシュート 「…」
ペッシ 「ほ、ほら！ 誰かひとりいないぞ！ 『娘』の他に４人しか中にいないんだ…。誰かいないぞッ！ 誰だ？ 誰か、中にひとりいないよッ！ 『ブチャラティ』だッ！ 兄貴ッ！ 中にいないのは『ブチャラティ』だッ！」
ブチャラティとピストルズ�癸供△劼修�に天井のジッパーから出てきている。
�癸� 「ヤレ――ッ、チクショ――ッ」
ペッシ 「中にいないのは『ブチャラティ』だーっ。プロシュート兄貴ィ、ブチャラティがいないッ！」
プロシュート 「ハッ！」（気配に気づき、ブチャラティの攻撃をかわす）
ペッシ 「えっ!!」
�癸� 「く…クソッ」
ペッシ 「なんだってエエェェェェ――ッ」
ブチャラティ 「『勘』のイイヤツだ…。ジッパーから吹き込んで来る風の動きに感づいたか…。しかもなかなか『素速い』動きだ…」
プロシュート 「『ミスタ』のスタンドがなんでここにいるんだ？ この手で完璧に脳天に弾丸ブチ込んでやった…はずなのに…なんで『氷』を持ってここにいる…？」
ブチャラティ 「とにかくこいつを倒せばいいんだなッ！ この『黒い服の男』の方をッ！」
�癸� 「ソーダゼッ！ ブチャラティッ！ コイツヲ始末スリャア、ミンナノ老化ハ解除サレルッ！ ソイツニ触ラレルナァ――!! 摑マルト、モノスゴイ『スピード」デ『老化』サセラレルッ!!」
プロシュート 「チッ」
�癸� 「ヤレェ――ッ!!」
大立ち回り。
プロシュート 「うおおおっ。!! くっ…は…早い!! うおっ、うぉぉぉぉぉっ」
ペッシ 「あっ兄貴ィ!!」
プロシュート 「オレにかまうなッ！ 亀の中のヤツらを始末しろッ！」
ペッシ 「え!?」
プロシュート 「早くやれ――ッ。こいつの仲間を殺せッ！」
ペッシ 「うげっ」
ペッシ、ブチャラティの打撃で一瞬、失神。
2/→ http://
――これは『覚悟』と『立ち上がる』ことについての物語だッ――
時 ２００１年３月
所 イタリア、フィレンツェ行特急列車内
人 ペッシ
プロシュート
グイード・ミスタ
ブローノ・ブチャラティ
�癸�
その他
＊本作は、原作の当該部分のうちペッシの体験した部分だけを書き抜く。よって彼の見聞きしていないシーンが大幅に欠落しているが、それでいい。
＊本作では原作の擬音をほぼ用いない。セリフのみにとどめることにより人物の心理、とりわけペッシの成長過程が追いやすくなるだろう。アクションシーンなどで擬音の欠落により意味が取れなくなる場合は、ト書きで補った。
＊本篇の主題は「人はいかにして成長を志すか」である。よって、最後に堕落し敗北するペッシの末路までは書く必要がないと考えた。よって「アリーヴェデルチ（さよならだ）」は出てこない。
第１場 『ブッ殺した』なら使ってもいいッ！
ネアポリス駅、プラットホーム。
プロシュート 「本当にいたぜ、ブチャラティだ…先頭車のところの水飲み場にいる…。しかし信じらんねェェぜ〜、すぐに見つかる駅に、全員でくるとはなあ〜」
ペッシ 「ブッ殺してやるッ!!」
プロシュート 「『駅に来る』…。だが、それはよほど追いつめられてトチ狂ったか…それとも…、オレたちの追跡をかわす方法に『何らか』の自信があるということか…、どちらか…だな…」
ペッシ 「どっちにしろブッ殺してやるッ！『ホルマジオ』と『鏡のイルーゾォ』のかたきだッ！」
プロシュート 「おいオメー、さっきから、うるせえぞ『ブッ殺す』『ブッ殺す』ってよォ〜。どういうつもりだてめー、そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ…そんな、弱虫の使う言葉はな…。『ブッ殺す』…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレや、オレたちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には！ 実際に相手を殺っちまってもうすでに、終わってるからだッ！ だから、使った事がねェ――ッ。ペッシ、オマエもそうなるよなァ〜、オレたちの仲間なら…わかるか？ オレの言ってる事…え？」
ペッシ 「あ…ああ！ わかったよ！ 兄貴」
プロシュート 「『ブッ殺した』なら、使ってもいいッ！ オレはこのままホームから向かうから…ペッシ、おまえは列車の中から１号車に向かえ!! はさみ撃ちだッ！ 『娘』は生け獲りだからな…。発車前に終わらせたい。切符を買わずに済むからな…」
ふたり、別れるがすぐまたカチ会う。
プロシュート 「…!!」
ペッシ 「あ…」
プロシュート 「…」
ペッシ 「…」
プロシュート 「おい、ペッシ。なんでオメーと出会うんだ？」
ペッシ 「あ…兄貴こそですぜッ！ どうしたってんですか？ 水飲み場にいた『ブチャラティ』はどこ行ったんですか？」
プロシュート 「おめ〜、ブチャラティの顔知ってるよなァァ〜？ ペッシ〜っっ。アバッキオとかミスタ、フーゴ、ナランチャ…新入りにジョルノとかいう小僧も入ったそうだが…、そいつも全員知ってるよな、オメー？」
ペッシ 「いくら兄貴でも、その質問失礼じゃあないですかい？ やつらの略歴と顔なら、写真に穴の開くほど見てまさあ〜っ!!」
プロシュート 「じゃあ説明すんのは簡単ってわけだ…。今、オレの目の前でブチャラティがホームから列車に飛び乗った！ 通路から来たオメーと出会ってなきゃあおかしいよな…え？ そうじゃあねーか？ 乗客の顔は全員よく見て来たのか？ サングラスとかヒゲで変装してる風なやつらはいなかったか？」
ペッシ 「だから見て来ましたってッ!! 誰ともすれちがわなかったし！ 他のヤツらも新入りも娘も絶対どこにもいやしませんでしたぜッ――っ」（間…）「…兄貴…。この列車、発車の時間だ…動き始めてますぜ…」
プロシュート 「…」
ペッシ 「今も客席を見て来たように乗客の中にはヤツらはいなかったでしょう…？ きっとこの駅のどこかに隠れて、尾行とかの様子を見てから適当な列車に乗って逃げるつもりなんだ。浮浪者とか使って駅内を探させましょうぜッ！」
プロシュート 「…」
ペッシ 「兄貴！ 列車が動き始めてますってッ！」
プロシュート 「うるせーなッ！ おまえが列車に乗れッ！」
ペッシ 「えっ!? 何でェ――ッ!? 何でです？ 何で列車にのるの？」
プロシュート 「オレの『勘』だ！ ブチャラティたちはどうやってかはわからんがこの列車のどこかにいるような気がするッ！」
ペッシ 「気がするですって！ 気が？」
プロシュート 「いいから乗れっつってんだよッ！ ペッシ！ それにさっきも言ったように、ブチャラティたちは列車で移動しても大丈夫って『自信』があるから駅に来たんだ…。それはオレたちの尾行をかわす自信ではなくて、きっとボスが何かの方法で手助けしているんだ…！ 今、この列車をオレたちが調べなかったら、オレたちはヤツらをこのまま永久に見失ってしまう気がする！」
ふたり、乗る。
ペッシ 「あーあ、乗っちゃった…！ 切符買いたくないって言ったくせに…」
プロシュート 「うるせーぞ。おい、この壁の下のスキ間…向こう側は何だ？ これ？」
ペッシ 「壁じゃあなくて運転室のドアじゃあないですかね、それ！ でも、こっちからは開かねーし、７人からの人間が運転室に入ってるわけはね〜っすよォ」
プロシュート 「わかんねーぞ…。探すって決めたからにゃあよォ〜、この列車…先っちょから尾っぽまで徹底的に荒らしまくってやるからな！ おめーの『ビーチ・ボーイ』で中を攻撃してみろ！」
ペッシ 「…。『ビーチ・ボーイッ』!!（スタンドを出して、ドアをこじ開ける）やっぱり７人もいないよ、この中にいるのは…２人だ。…」
プロシュート 「くそ！ たしかに狭いな…運転手ひとりか…。だがこの列車のどこかに絶対やつらはいる！」
ペッシ 「…え？ あれ？ ちょっと待てよ、おかしいですぜ…『２人』だと思ったんだけどな。ひとりしかいない？ ほんとひとり？ 生き物の気配は『２つ』のはずだったんですぜ…」
ナレーション 「フィレンツェまでの所要時間３時間30分。次の停車駅ローマまでノンストップ（１時間半）。故郷ネアポリスを出発、時速150�辧▲蹇璽泙泙任僚衢彁�間、１時間30分」
プロシュート 「おい、ペッシッ！ この列車を『先っちょ』から『ケツ』までとことんやるぜッ！ どっかに潜んでいるブチャラティどもをひきずり出してやるッ！ おまえは『運転室(そこ)』にいろッ！ ヤツらはオレたちの存在にまだ気づいていないと思うが…もし気づいたらこの列車を止めに来るかもしれないからなっ！ ヤツらは『娘』をかかえているッ！ この列車内をおいそれと動き回ったり、または『娘』を連れて飛びおりたりッ！ 簡単にはできなくなる！ それがこれからオレたちの有利な点だッ！ 列車を高速で突っ走らせてろよォ！〜ッ！ ローマまでにはヤツらを皆殺しにして『娘』をゲットするッ！」
ペッシ 「ちょ…ちょっと待ってくれ、兄貴…。おかしいんだよな…。この運転室の『気配は２つ』だと思ったのにな…。この運転手の気配の他にもうひとつあったような…。ロッカーなんかに誰かがいるわけねーか…。やっぱ運転手はひとりだよなあ――。オレは兄貴と違って『勘』が悪いからな…。ン？ ？ なんだ？ …？ あの黒っぽいものは？」（フト、それまでとは関係のない、煙のようなものに気づく）「…うわあああ！ あ…兄貴ィ!!! ま…まさかッ！」
プロシュート 「『ザ・グレイトフル・デッドッ！』」（スタンドを出す）
ペッシ 「ちょっ！ ちょっと待ってくださいよッ！ や、やるんですかい!? 乗客ごとやるつもりですかい！ しかも、ヤツらがまだ確実に列車内にいるってわかってもいないのに！」
プロシュート 「言ったろうがよォ――。トコトンやるってな！ ヤツらは絶対いるッ！それにたいしたこたァねーだろォーッ。毎年、世界中のどっかで旅客機が墜落している…それよりは軽く済むッ！」（去る）
列車内のビュッフェで、グラスに入れた氷をかじりながら。
ペッシ 「…ったく、もう兄貴ったらよォ――、あぶねーことするよなあー。オレまで『年』とっちまったらどうしてくれんだよな、まったく。（スタンドにアタリがある）！ …。きたッ！ くらいついたぜッ！ 餌にィ――ッ。兄貴ィ！ どこ行った!? いねーのかよォオッ！ 兄貴の言うとおりだったッ！ ブチャラティどもはこの列車に乗っていたゼーッ。エアコンのスイッチの餌にかかりやがった！ ２両前の運転室にいるッ！ この状況で運転室のエアコン冷房の…スイッチを『ＯＮ』に押そうとするのはヤツらしかいねえからな！ でも『針』にかかったこいつは誰だ!? 『トリッシュ』でないことは確かだ。この引っぱる力は『男の力』だ…。釣り上げてやるぜ!! 針が食い込んでいるのは左手。体重は68�圈Ｂ召砲泙錣蠅肪�かいるのか？ 『糸』に感じる『動く気配』はとりあえずこいつひとりのようだが、しかしまあ、すぐにわかる…こいつが誰かすぐにわかるーッ」（アタリに弾丸を感じ）「おお！ こいつ『ミスタ』だッ！ 糸を切ろうとしたのは『弾丸』だ…『拳銃使い』はグイード・ミスタだ！ そして『糸』を撃ったってことはよォ…、オレの『ビーチ・ボーイ』の『糸』はよお、獲物以外の物体は水と同じように通過できる！ 切断はできねえ。…とはいえよう、『衝撃』は『糸』を伝わるんだ！『糸』はおまえの左腕に深〜く食い込んでいるんだぜ…。おまえの神経にスデニねっとりからみついてるんだぜ！ つーことは！ 撃った『衝撃』はどこへ伝わんのかな!?」（間…）「仲間はどこにいるのか知らねーけどよォ、ミスタ！ こいつひとりだ！ 動く気配はひとり。釣り上げてやるぜーッ」（間…）「ン。なんだ…？ 前の車両からの音は？ 今のはミスタの拳銃か？ 誰を狙って発泡したんだよ。それともまさかこのオレを探すために撃ったのか？ やけにでもなったか？ 他の乗客にでも当たっちまったらどうすんだよ…。ミスタ…オレはオメーの顔を写真が穴のあくほどながめたが…オメーはオレの顔は知らねえ…。このオレをこの列車でオメーが見つけるのは不可能だな…。乗客だって老化のスピードがひとりひとり違うから、まだ若そうなのもいる…。しかもオメーはここにさえ来ることはできねえんだ。今『針』はおまえの耳深く到達するところだぜーッ」
突然、手元のグラスが砕ける。
ペッシ 「…」
�癸� 「うえええーん…モット下狙ワナイト『氷』ガチャント吹ッ飛バナイヨ!!」
ピストルズ 「チョイ下ダッ！ モット下ヲ狙えッ!!」
ピストルズ 「コッチだッ！ コッチッ！」
ピストルズ 「ソノママ突ッ込ンデ来ィイ――ッ!!」
ピストルズ 「『氷』見ツケタカラヨッ!! 野郎どもッ！ ブッ壊セェーッ」
グラス、粉々になる。
ペッシ 「うわああああああああああああ。なっ、なにをしやがるんだァァアアア――ッ」
ピストルズ 「オッ、オッ、オ！ コイツ青ザメテ叫ンデイルゾ。コノ野郎ガモシカシテ！」
ペッシ 「うあ…。あ…」
ピストルズ 「コイツダッ！」
ピストルズ 「コイツガ『針』ト『糸』敵本体ダッ！」
ピストルズ 「アノ釣リ竿ミテーナモノガコイツノ『スタンド』ダッ！」
ペッシ 「ち…ちくしょおお、な…なんて事を！ オ…オレの体を冷やす『氷』が…、オ…オレの『氷』がッ！ こんなんじゃ触ってスグに溶けちまう！ と…とりあえずここは逃げて、ど…どっかで『氷』を探すんだ…。『氷』を探さねーとオレまで老化で死んじまうッ！ 逃げろッ！」
老人 （邪魔して）「た…助けてェェェ〜。い…いったい何が起こっているんだァ〜？ 目もかすんで、よ…よく見えない〜ッ」
ペッシ 「な…なんだ、オ…オメエ――ッ」
老人 「ね…ねえええあんたああ、ど…どうなっち…まって…るのか…なああ…あああ…あああ」
ペッシ 「ど、どけ、このオイボレがッ！ ゾンビくせえ手でこのオレに…」
老人 「体中がだるくって動きたくないし、油っこい…肉を注文したのに、食いたくなくなったんだアアアア」
ペッシ 「触ってんじゃあねェェ――ッ」（振り払うその手に、弾丸命中）「あひィィィえええやややああああ」
ピストルズ 「イヤッホ――手ニ命中ーッ」
ピストルズ 「イヤ！ 乗客ニ命中スルカラ『ミスタ』ニモウ撃つなと言エッ！」
ピストルズ 「『ミスタ』ヲ呼ベ！」
ピストルズ 「『ミスタ』ガ来ルノヲ待テッ！」
ピストルズ 「『ミスタ』――ッ」
ピストルズ 「『ミスタ』ーッ」
ペッシ 「ひいいいいええええええ〜ッ」アアアアア「ああああああああ」「あああああああああ」
ミスタ、登場。
ミスタ 「セックス・ピストルズ！ 全員『弾丸』に戻って来いッ！」
ペッシ 「あ…あ」
ミスタ 「答えようが…答えまいが…オレは今からおまえにごく簡単なたったひとつの質問をする。オレが質問をして２秒以内にオマエが答えねえ場合は、オレはオマエの２つの目玉に各一発ずつ弾丸をブチ込む。１(ウーノ) ２(ドゥーエ) それ以上は待たない！ もしおまえが答えなくても、オレは自分で質問の答えを探しに行くからな。いいな？ それでは質問するぜ。『てめーのもうひとりの仲間はどこにいる？』」
ペッシ 「…！」
ミスタ 「１(ウーノ)！」
ペッシ 「し…知るかよッ！ オレだって知らねーんだよッ！」
ミスタ 「２(ドゥーエ)！ じゃあ死ね！ 覚悟はして来てんだろ？」
老人 （邪魔して）「ねえええあんたあああ、助けてほしいんだよおオオオ、油っこい肉が好物だったのにさあああ、急に食いたくなくなったんだ…さっぱりした物がよくってさあああ。オレどうおおおなっちまってんだよオオオ〜」
ミスタ 「おい！ どいてろッ！ すぐにまた肉が食いたくなるからよォ――ッ」
老人 「いいや…もう何も食えないさ！ ただしおまえがだ…『ミスタ』」
ミスタ 「…」
ペッシ 「え？」
ミスタ 「だ…誰だ？ てめぇ――ッ!!」（老人に手を握られている）「うおおおおおお、おおおおおおお」（見る見るうちに老化する）
老人 「『グレイトフル・デッド！』」
ペッシ 「え？ な…なに!? ま…まさか!! そ…そのじじい…!!」
ミスタ 「きィさまああああああ」
老人 「『直(じか)』は素早いんだぜ。パワー全開だぁ〜。『グレイトフル・デッド』の『直』ざわりはよぉぉぉ」
ミスタ 「おおごおおおおおっ。ピ…ピストルズ！ こ…このスピード…しまった」（倒れる。ピストルズともども）
ペッシ 「あ…兄貴かい？ あんた兄貴かい？ ぜ…ぜんぜん気がつかなかった！あ…兄貴…!! そ…そこにいたのかい…？ ま…まさか自分自身を自由に老化させて乗客の中にまぎれているとは…。兄貴ィッ！ プロシュート兄貴ィッ！ やっぱり兄貴はスゲェーやッ！ さっき、じじいのふりしてオレにだきついたのは、オレがミスタに撃たれねぇようにかばってくれたからなんだねッ!!」（ぶん殴られる）「な!? !? なんでイキナリ殴んだよォ――兄貴ィィィィ」（ボコられる）「うわあああ…や…やめてくれよ！なに怒ってんだよ兄貴イイイイイ!?」
プロシュート 「この腑抜け野郎がッ！ なんだ!? 今のザマは!? ええ!?」
ペッシ 「だっ…だって『氷』を撃つなんて思ってもみなかったんだ。しょうがねーじゃあないかッ！ こいつら！ 早くも気づいてやがったんですよ！ 兄貴の『グレイトフル・デッド』は体を冷やせば老化が遅れるっって事をよォーッ」
プロシュート 「ああ…たしかにそうだな…。こんなに早く『氷』の事に気づくこいつらは、ブチャラティのヤツ…恐ろしく頼りになる部下を持ってるらしい！ だがそんなことは遅かれ早かれバレるのはオレだって承知の上だよ。まだわかんねーのかママッ子野郎(マンモーニ)のペッシ！」
ペッシ 「ひィィ、も…もう殴らねーでくれよォ兄貴ィッ！」
プロシュート 「いいかッ！ オレが怒ってんのはな、てめーの『心の弱さ』なんだ、ペッシ！ そりゃあたしかに『氷』をイキナリぶっ飛ばされたんだ、衝撃を受けるのは当然だ！ 自分まで『老化』しちまうんだからな。オレだってヤバイと思う！ だが！ オレたちのチームの他のヤツならッ！ あともうちょっとでノドに食らいつけるって『スタンド』を決して解除したりはしねえッ！ たとえ腕を飛ばされされようが足をもがれようともなッ！」
フラッシュバック。暗殺チーム面々の「覚悟」のカット！
ホルマジオ 「覚悟して待ってやがれェェエアアアアアナランチャアァアアア――ッ。リトル・フィィィィ――トォオオオオオ――ッ」(51-90)
イルーゾォ 「『マン・イン・ザ・ミラー』、オレだけが、外に出る事を許可しろォォォォ――ッ。うおおおががががが」(52-58)
メローネ 「シンプルがいい！ オレはオレのやりたい方法でこいつを殺すぜッ！」(54-140)
ギアッチョ 「首から出た血を凍らせて柱のように『固定』したッ！ これ以上のけぞらねえようにッ！ ガッシリとッ！ これ以上食い込まねえようになああああ」(55-138)
リゾット 「ひとりでは…死なねえっ…今度はオレが…利用する番だ『エアロスミス』を…くらえ…!!」(59-76)
エアロスミスの銃撃。
ドバ ガガガガガ ガ
シーン、戻る。
プロシュート 「オメーは『ママッ子』なんだよペッシ！ ビビったんだ…。甘ったれてんだ！ わかるか？ え？ オレの言ってる事。『氷』のせいじゃねえ。心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ！『成長』しろ！ ペッシ。『成長』しなきゃあオレたちは『栄光』をつかめねえ。ブチャラティたちには勝てねえ！ そしてハッキリと言っておくぜ。オレたちチームはな！そこら辺の仲よしクラブで『ブッ殺す』『ブッ殺す』って大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような負け犬どもとはわけが違うんだからな。『ブッ殺す』と心の中で思ったならッ！ その時スデに行動は終わっているんだッ！」（迷いなくミスタを射殺する！）「行くぜ、ペッシッ！ ホレ『氷』だ！ オメーが持ちな。ミスタが一両目から出て来るのをオレはここから見ていた。そしてたしかオメー、さっき運転室に『何かもうひとつ気配があった』って言ってたな。それを思い出した！ 隠れてる方法はわからんが…娘は…運転室にいるッ！」（運転席に移動して）「おいペッシ、さっき、この運転室でオメーの感じてた『気配』ってなんだと思う？ 今は感じねーのか？」
ペッシ 「そ…その事なんだけど、あ…兄貴ィ…。あ…あんまり期待なんかしねーでくれよォー。さっき、オ…オレの感じた『気配』なんかによォー。オ…オレ『勘』が悪いし…」
プロシュート 「ペッシ、ペッシ、ペッシ、ペッシよォ〜。オレはオメーを信じてるんだ。オレがさっきおまえを怒ったことなら『自信を持て』…。おまえの『ビーチ・ボーイ』はその気になりゃあ、何者にも負けねー能力じゃあねーか？そうだろ？ オメーがさっき感じた『気配』はものスゴク怪しいんだ。ここが正念場だぜペッシ！ オレたちはヤツらを追いつめてる！ 『自信』を持っていいんだぜ！ オメーの能力をよォ――」
ペッシ 「そ…そうかい？」
プロシュート 「そうさ」
ペッシ 「で…でも『気配』って言ったって今はもう良くわからねーよ。オレの『能力(ビーチ・ボーイ)』、『標的』がしぼれてる時だけだからよ」
プロシュート 「思い出すんだ。ささいな事でいいんだ。さっき何か妙な物はなかったか？『黒っぽい』物とかよ」
ペッシ 「え！ 『黒っぽい』…『物』。黒っぽい物って言われてみりゃあ、そうだ！ 兄貴！ オレ、さっき運転席の下を見てみようと思ったんだ。何か気になったのを思い出した！ 何か妙だったんだ!!（覗くが、何もない…）…。…す…すまねえ、あ、兄貴なんでもねえよ。気のせいだった。や…やっぱり、そ…その…、あてにしねーでくれよォー、オレなんかの『勘』をよォー」
プロシュート 「いや、そうでもねーようだぞ。でかしたぞ、ペッシ」
ペッシ 「…え？ ？ なんですって？」
プロシュート 「『謎』は解けたぜッ！ ブチャラティどもが『どこに』『どんな方法』で隠れているのか、ブチャラティはボスに何をもらったのか！ おまえのおかげで全て理解したぞペッシッ！」
ペッシ 「？ ？ あ…兄貴？ 何を言いたいのか!? オ…オレにはさっぱりわからねーけど…!!」
プロシュート 「なんで、電車の運転席の下にイキなり『動物のフン』があるんだ？ ネズミなんかじゃねえ。ネズミとかなら、もうとっくに寿命でくたばってるからな。古いフンじゃあねえ、今しましたって感じだ…。いったいどういう事だ？ これから推測できる事は…え？ 『スタンド能力』は人間だけが持つ物とは限らねえ！ そしてこの『動物』はッ！ 物陰を移動してるってこったァ!!」（スタンドで部屋を破壊する。物陰から亀が出てくる）
ペッシ 「あっ！ あっ！ なっ…なんだこりゃああ――。か…『亀』かよッ！ 亀だッ！ そ…そして、この亀の背中にくっついてる物の中には！」
プロシュート 「見つけたぜ！ 『娘(トリッシュ)』だッ！ 他のヤツらも見えるッ！ 娘以外全員、予想どおり『老いて』もう死にそうだ!! 決まりだゼッ！ この『亀』にさらに『直』の能力をたたき込む！ 娘(トリッシュ)以外、全員もう寿命で命はつきるッ！ 『グレイトフル・デッド！』」
ペッシ 「ちょっ、ちょっと待って兄貴ッ！ こいつら！ ひとり足りないンじゃあないスかッ！」
プロシュート 「…」
ペッシ 「ほ、ほら！ 誰かひとりいないぞ！ 『娘』の他に４人しか中にいないんだ…。誰かいないぞッ！ 誰だ？ 誰か、中にひとりいないよッ！ 『ブチャラティ』だッ！ 兄貴ッ！ 中にいないのは『ブチャラティ』だッ！」
ブチャラティとピストルズ�癸供△劼修�に天井のジッパーから出てきている。
�癸� 「ヤレ――ッ、チクショ――ッ」
ペッシ 「中にいないのは『ブチャラティ』だーっ。プロシュート兄貴ィ、ブチャラティがいないッ！」
プロシュート 「ハッ！」（気配に気づき、ブチャラティの攻撃をかわす）
ペッシ 「えっ!!」
�癸� 「く…クソッ」
ペッシ 「なんだってエエェェェェ――ッ」
ブチャラティ 「『勘』のイイヤツだ…。ジッパーから吹き込んで来る風の動きに感づいたか…。しかもなかなか『素速い』動きだ…」
プロシュート 「『ミスタ』のスタンドがなんでここにいるんだ？ この手で完璧に脳天に弾丸ブチ込んでやった…はずなのに…なんで『氷』を持ってここにいる…？」
ブチャラティ 「とにかくこいつを倒せばいいんだなッ！ この『黒い服の男』の方をッ！」
�癸� 「ソーダゼッ！ ブチャラティッ！ コイツヲ始末スリャア、ミンナノ老化ハ解除サレルッ！ ソイツニ触ラレルナァ――!! 摑マルト、モノスゴイ『スピード」デ『老化』サセラレルッ!!」
プロシュート 「チッ」
�癸� 「ヤレェ――ッ!!」
大立ち回り。
プロシュート 「うおおおっ。!! くっ…は…早い!! うおっ、うぉぉぉぉぉっ」
ペッシ 「あっ兄貴ィ!!」
プロシュート 「オレにかまうなッ！ 亀の中のヤツらを始末しろッ！」
ペッシ 「え!?」
プロシュート 「早くやれ――ッ。こいつの仲間を殺せッ！」
ペッシ 「うげっ」
ペッシ、ブチャラティの打撃で一瞬、失神。
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