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2015年06月22日13:07

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016 かってにしやがれ 1/

かってにしやがれ

ウィルヘルム・マイスターの少年時代あるいはシェイクスピア誕生ちゃんばら風味





時 むかし

場 森

人 カエルたち
  ウィル





第一場 すっ飛んでいこう

開演前のゆるやかな時刻。林の広場で、子どもたちがクジ引きをしている。主役を決めるクジ引きか? やっと決まると、その子ひとりだけ残してみんなは引っこんでゆき――
立木の梢に、ひとりの子どもが腰かけていた。

その子 祝詞(ことほぎ) 「しばてん」
夏の近づく田園の夜明けだった。僕はふと目をあけた、草の茎の上で。イネ科らしいそのまっすぐな鋭い葉にも、五月のぬるい空気と、空気の底の糸のような冷たい気流とが絡みついて、見えなかった妖精どもの囁きが、ようよう僕を目覚めさせたのだ。
そうだ。僕は、いっぴきのアマガエルだった。少し黄色みがかった葉の上で、同じく黄みがかった萌葱の肌をして、いつから眠っていたのだろう。
空は広く、気の早い積乱雲がもりもり灰色に立ちあがろうとしていた。僕のぼんやりとした脳の奥、いや、なんだかくすぐったいような胸のひだの裏側、やっぱりそこにもひとりの妖精がいて、僕のかわりに雲の入道に呼びかけるんだ。
おおい! 世界よ! 俺を!
みんな (どこかで)こいつを!
子ども 連れてってくれよう! 寝ぼけまなこのこいつを!
みんな (どこかで)おれを!
子ども おまえのところへ引っぱりあげておくれよう!(消えた)



ハッピまとったカエルの一党があっちとこっちから、なだれ込んでくる。あっちはあがり組、こっちはいり組で、この辺のナワバリ争いをしてるのだ。ハリセンなど持ってる。

カエルたち ゲロゲロゲロゲロゲー!(とつげきー、やっちまえー、の意味)
あがり親分 くぉら、生意気ないりの若僧めぇ、今日こそは追っ払ってくれるから、覚悟しろやい、ガハガハガハ。
いり親分 何だと兄貴め、兄貴だからって手加減はしねえぜ、みじん切りにしてお茶漬けの具にしてやらあ。
あがり組(みんな) ばーか、おいらなんか食ったら、腹こわすぞー。
いり組(みんな) あほー、おめえらなんか誰が食うか、ドジョウの餌で充分でーい。
子分 あんなこといってますぜ、あがりオヤビン。
あがり親分 ヌヌヌ許せん。みなの者ォ、そりゃ、つっこめー!
あがり組 おおー。
いり親分 やるってのか上等だ。野郎ども、畳んじめぇ!
いり組 うおー。

乱闘ダンス。ハラハラして見ている、あがり親分の娘、かやほ。

かやほ お父さん、しっかり。
爺や お嬢さん、あぶねえですだ。もちっとお下がりになって。
かやほ だって心配で。
爺や 娘っこが出しゃばっても、甲斐ねえこってす。(振りはらわれて)あ、コレちょっと。
かやほ お父さん、あーぶーなーいー(スローモーション)
あがり親分 おっ、かやほ、あーぶーなーいー(守ろうとする)
いり親分 スーキーあーりーいっ!(スパーン)
あがり親分 (ひっぱたかれて)ウーム、キューイ、キューイ☆★☆――グルグルばったり。
みんな おお、ひっくりカエルだ。
あがり組 オヤビンーっ。ちっきしょお、運べ早く。このぉ、いり組め、覚えてやがれ。

あがりの一党、逃げていく。

いり組 やーい、やーい、ざまーかんかん、お尻ぺんぺーん(はやす)
ひとりのあがり組 (ちょっと勇敢に戻ってきて)今に見てろよぉ!
いり組 オナラ、ブー。うんこブリブリ。
そいつ ちくしょー、わあーん(やっぱ、泣いて逃げてく)
いり親分 みんな、よくやった。
いり組 ゲゲゲロゲロゲロ(おおよろこび)
いり親分 というわけで今夜からこのトッコビ舘は俺サマが仕切る。あがりの連中は、蛙殿(アーデン)の森へ追放とする。
いり組 ゲロゲロゲロロロ(おおよろこび)
いり親分 とりあえずこれから、宴会だ。
いり組 ゲゲゲ、やったー(合唱「流浪の民」シューマン作曲、石倉小三郎訳詞)

♪ぶなのもりの はがくれに
 うたげほがい にぎわしや
 たいまつあかく てらしつつ
 このはしきて うついする
 これぞ流浪の ひとのむれ
 まなこひかり かみきよら
 ニイルのみずに ひたされて
 きららきらら かがやけり

かやほ (袖から)放して。やめてったらモウ。バリバリバリ(引っかく)
手下 ダメでやーんす、引っかいたってムダムダでやーんす、カエルはツメないもんねー。
いり親分 おい手下、何だその娘は。
手下 へい。捕めえてきやした、でやんす。
いり親分 やんすって何だよ。
手下 へい。手下ですから。
いり親分 ふん、で誰を捕まえたって。
かやほ あたしよっ(と、すげえでかい声)
いり親分 (驚いて)かやほ。――ほほお、そうか、やっと俺の娘になろうっていうんだな。
かやほ べー。叔父さんなんて、まっぴらよー。帰る。
いり親分 そりゃあ、カエルだねーぇ。
いり組 げろげろげろげろげろ(笑う)
かやほ 笑うな(キラーン、と、コワイ)
いり組 へーい(シューンとする)
かやほ ね、帰してください。
いり親分 だーめ。
かやほ どうして?
いり親分 おめえの父ちゃん、困らせたいんだもーん。
かやほ (あきれて)いじわりーの。
いり親分 何とでも、いえ。
たでほ(いり親分の娘) (突然いて)いじわりーの。
いり親分 だから何とでも…(気がついて)おっ、何だよわが子まで。
たでほ 帰してあげなよ、お父ちゃん。
いり親分 やだったらやだ、べーだ。
かやたで 子どもみてー。
いり親分 いいじゃねーか、仲よしだろおめーら。オトナの喧嘩にコドモが口だすな。
かやほ じゃねーよ、オトナの喧嘩にコドモ巻きこむなっ(と、かなりコワイ)
いり親分 (たじたじ)…たでほ、このネーちゃん、強気だよ…。
たでほ 知ーらない。
いり組 頑張れ、オヤビン。
いり親分 ウン頑張る(無理に威厳つくって)おい、かやちゃん。しばらく遊んでいきなさい。以上結論。
かやほ ええー、ちょっとぉ…。
いり親分 (ムリヤリ)では、余興アワーっ。
レフェリー いでよ、チャンピオンー。

チャンピオンのテーマ。強そうなのが出てくる。

レフェリー 赤コーナー。世界ガマガエル級チャンピオン、体重4パウンドちょうど、ギズボーン・ガ〜イ〜。
みんな ひゅーひゅー、やれー、ぶっとばせー。
ガイ シャーラップ。俺の前に道はない、俺のあとに道はできる。キルユー、オーケー?
みんな オーケー!(おお沸き)
レフェリー 青コーナー。旅する挑戦者、体重0.7パウンドちょぼっと、ウィルヘルム・デ・イケメーン。
みんな ブーブーブーブー(ブーイング)
ウィル (まじめにシュッシュッ)
いり親分 あれ誰だ。呼んでこい。
手下 (ウィルに)へえ、うちの親方が、呼んでますでやんす。
ウィル (前に来て)お初にお目にかかります。旅の格闘家でございます。
いり親分 苦しゅうない。しっかりやってくれ。娘たちも応援しておる。
かやほ ちょっと、娘じゃないったら。(視線を感じ)――ハッ。
ウィル ハッ。

見つめあい。――

レフェリー どうかしましたか?
たでほ どしたの?
ウィル い、いや、いや、何でもない。何でもない。
かやほ う、ううん、何でもないの。ウン。(また、見て)…ぽ。
ウィル ぽ。
たでほ 変なかやちゃん。
レフェリー 変なウィルちゃん。
みんな (ずっこけて)早くやれよー。
レフェリー オホン。正々堂々と戦うように。では、はっけよい。のこった。

たたかう。ガイ、卑怯なことを沢山やるが、やがてウィル、勝つ。

ガイ ウーム、キューイ、キューイ☆★☆――グルグルばったり。
みんな また、ひっくりカエルだ。おーい大丈夫かぁ?(介抱したり)
かやほ (思わずウットリ)素敵…………………………………………………っ。
たでほ うん。――え?(かやほがウットリしすぎなんで、驚いてる)
いり親分 まことにみごと、天晴れであったのう。あらためて訊くが、君は何者だ。
ウィル それが、実は、カエルじゃないのです。
みんな ――えええっ?!?
ウィル 今朝、このチャールコットの森のはずれに、避暑にきました。そんで迷っちゃったんです。てへ。
いり親分 君は人間か。
ウィル 見てのとおりです。
いり親分 …惜しい、実に惜しい。ギズボーン・ガイのヘタレに代わって、用心棒にむかえようと思ったのになぁ。仕方がない、ウム、おい手下。
手下 へいオヤビン。
いり親分 あれ持ってこい。
手下 へいっ。(酒瓶と巨大なさかずき持ってくる)
いり親分 勇士よ、まずは一献。
ウィル は。では遠慮なく。むんむんむんむんむん…プハァー(みごとな呑みっぷり)
いり親分 ウム。見事だ。では――出ていきたまえ。
ウィル は?
かやほ え?
いり親分 はじゃない。勝手にしやがれっていってんだ。
みんな (驚いて)…えぇーっ?
たでほ お父ちゃん…そりゃないんじゃない。
いり親分 いいんだ。ここは君のような者の来るところじゃない。(シブく)俺たちは出会わない方がよかったんだ。手遅れにならないうちに、とっとと帰んなさい。
ウィル はい。しかし――
いり親分 しかし何だ。
ウィル (かやほ見る)
かやほ (ウィル見る)

見つめあい。――

かやほ ぽ。
ウィル ぽ。
みんな あれあれぇ…?(ニヤニヤ)
いり親分 (ヤキモチ焼いて)つまみだせ!
いり組 へぇい! オラオラオラ、しーとっとっと。

みんなで追いたてる。親分とかやほ、残った。

かやほ 叔父さん。
いり親分 うん?
かやほ ひどいよ。
いり親分 そうかな。…そうかもな。でも俺にゃ、考えがあるんだ。
かやほ 考え?
いり親分 まだいえないが、いいこと思いついた。まあ見てろよ(去る)
かやほ (ひとり)ウィルヘルム・デ・イケメーン…すっげえ変な名前…。でもすっげえ素敵。ねえ、あなたはどうしてウィルヘルムなの、どうしてカエルじゃないの? ただのカエルなら、一緒にいられるのになぁ…。
たでほ (いて)かーや、ちゃん。
かやほ (ドびっくりのポーズ)ぎょぎょぎょっ。なにさ。
たでほ ホの字?
かやほ (ガックリして)そうみたい。ここらへん(胸のへん)が、苦しいの。
たでほ ホッホッホ〜(踊ってる)
かやほ しょせん人ごとね。
たでほ ううん、うらやましいなぁ。
かやほ からかってんの?
たでほ ほんとだって。でさでさ、どうするの。
かやほ どうするって。
たでほ あの人、帰っちゃうよ。
かやほ どうするも何も、どうしようもないでしょ。
たでほ このまま帰すの?
かやほ しょうがないじゃん。
たでほ (ちょっとイライラして、行司の呼びだしみたいに)折り紙つきの、お転婆かやほぉっ、泣く子も黙る、あがり組のウラ番んんっ。
かやほ (ガンつけて)んだよオラッ。(が、すぐシオシオとなり)…何よ、もう。
たでほ あーあ、やだやだ。ちょっとホレるとこれだもん、しおらしくなっちゃってさ。(かやほの肩、超グラグラ揺すって)追っかけんだよ。お父ちゃんのことなんか気にせんと、出てっちゃえばいいよ。恥ずかしい? 恥ずかしいんなら、じゃあこうして…(と覆面だして、かぶせる)こうしたらいいよ。ね。
かやほ そうか。(つけてみて)いいねコレ。あたし追っかけてみる。ありがと。
たでほ んで、あたしも連れてって。
かやほ (驚いて)たでちゃんも? 何で。
たでほ 面白そうだし。
かやほ ふうん。…じゃ、行こっか。見はり、いないかな。
たでほ だいじょびだいじょび。
手下 (いて)見はりでやーんす。
かやたで (ドびっくり)いたあっ!
手下 でも逃げていいでやんす。早く。
かやたで (顔見あわせた)…いい人だ。
かやほ じゃいいや、ついでにあんたも来なさい。
手下 へっ? あっしも?
かやほ 旅は道連れ世は情けってね。
手下 ちょ、ちょっと待って…
かやほ いいから、ホラ。
手下 ハア…まあ、いいんでやんすかねぇ…(引っ張られていく)
たでほ 調子でてきたね。勝手にしやがれだ!

全員、去る。――入れかわりにあがり組の一党。鍋カマはし茶わん(あるいは岡持とか)大騒ぎで運びこむ。

あがり親分 ここらへんでいいかな。
大まさ 良さげでさ。
小まさ でさ〜(とマネ。以下おなじ)〔注*小まさだけ小さな人形でやり、黒子がセリフ喋りながら操作してもいい〕
あがり親分 よし、じゃあ、メシにしよう。みんな、俺のおごりだ、いっぱい食ってくれ。
あがり組 うへへーい(大よろこび)
子分1 (期待にみちて)メニューは何ですかオヤビン。
子分2 鹿肉と季節野菜のフリカッセ、自家製ローズマリーソース添え?
子分3 三種のキノコとニガウリ・タラの芽のコリアーノ風辛味スープ?
あがり親分 いや、もっとすごいぞ(自信満々)
みんな もっとすごいの?(期待)
あがり親分 カレーだ。

間。

みんな ――カレー?
子分1 ただの?(泣きそう)
あがり親分 わしらいま、野宿だろ。キャンプといえばカレー。な。
みんな まあ、好きだけどね…(とかブツブツ)
あがり親分 さあ、食おう。大まさ、皿、配ってくれ。ああそうだみんな、そっちのお客さんにも配っていいぞ。

大騒ぎで配膳する。観客席にも配る。

大まさ みんな、行きわたったか? じゃあオヤビン、いただきますの音頭をどうぞ。
小まさ どぞー。
あがり親分 ウム。
大まさ 起立。
小まさ りーつ。

みんな(観客も)立つ。

あがり親分 みんな、今日の出入りじゃすまねえことをした。すべてはわしの力不足だ。謝る。このとおりだ。
子分1 いいんでさあ、そんな。
子分2 じき、しっぺがえし食らわしてやりまひょ。
子分3 森の暮らしだって捨てたもんじゃありませんや。
大まさ オヤビンあっての俺たちですから。 
小まさ カラ〜。
あがり親分 お前ら、いい奴だなあ、ククク(ほろりとする)…では、わしらと森の幸いのために。いただきます。
みんな いっただっき――
声 待った。もう食うな。

みんなギョッとして食べかけで停まる。

大まさ だって、まだちっとも食ってないよ。
小まさ ないよー。
声 そんなら、なおのこと食うな。
大まさ 何でだ。
小まさ でだ。
声 おれが先に食う。

現れると、ウィルだった。凶器の(つもりの)雨ガサをさしている。

あがり親分 何の権利でそんなこというんだ?
ウィル 腹へってる者の権利さ。丸二日、食べてない。
あがり親分 ヤケクソだな。
ウィル (ヤケになって)そうとも、うっクサ、プンプン臭わあ。来るなら来い。
あがり親分 食いたいなら食え。バカみたいにあるんだから。
ウィル (拍子抜けして)え、いいの?
あがり親分 お客だって食ってんだ、登場人物は遠慮すんな。
ウィル (よろこんで)…そりゃ、ありがとう。ただ――
みんな ただ?
ウィル おれ、カエルじゃないんです。

シーン。――

あがり親分 (やがて)で?
ウィル ほんとにここにいて、いいのかなあって。
あがり親分 (鷹揚に)カエルだろうがカカシだろうが腹はへる。何はともあれ食ってからだ、なあカカシ君。
ウィル いやカカシじゃないけど…
あがり親分 (ムリヤリ)よおし、じゃあみんな、あらためて、いただきます!
みんな いただきまぁす!

のどかに食う。

大まさ おい小まさ、そろそろあれやれよ。
小まさ あれ?
大まさ 自慢のノドだよ。(みんなに)オイみんな、出るぞ、例の美声が。
みんな おー、待ってました(拍手)
小まさ (テレて立ち)じゃじゃじゃじゃ、おみみみ耳汚しに。(と、どもってから歌う「お気に召すまま」。みんなも適当に合わせて歌う)

♪森で暮らせばカエルになる
 僕らのあこがれさ
 ピカピカ夜あけの小石は
 ヘンゼルの道しるべさ
 あしぶえのメロディ
 跳びこそうよ小川

 (山岳に霧わいて
  森に降りくるだろう)

 恋もいくさも城では
 ハンパ者のおあそびで
 グツグツ熱いシチュウさえも
 猫舌で食えなかった
 あしぶえから流れだす
 豆のこずえの歌

 (はるか海原みえて
  胸はドキドキしても)

 木もれ日にめざめれば
 鹿のあしあと踊るよ
 ケロケロおはようコマドリ
 顔をあらおうぜ

 (今日も 今日も あそぼう!)

みんな ひゅー、やんややんや(拍手)
子分1 歌だけぁ達者だね、おめぇは。
小まさ きょきょきょきょきょ…(と、どもる)
みんな 恐縮デス(と、いってあげる)
小まさ …ウン。
大まさ ははは。まあ食おうや(みんな、まったり食べる)
ウィル ――ところで、みんな、何でこんなとこでカレー食ってるんです?
子分1 (傷をほじられて)悪ぃかよぉカレーで悪ぃのかよぉこのぉ。
大まさ 落ちつけカメヤマ(とか役者の名前)
ウィル いや、おいしいけど。
大まさ 実はこういうことなんだ。小まさ、説明。
小まさ エ…つ、つ、つ、つまり、かくかくしかじか、終わり。
ウィル なるほど。――分かんない。
小まさ 分かんないそうです。
大まさ じゃ、俺が話そう。つまり、スペスペパゴパゴチーン。そういうことさ。
小まさ 分かんねーよ。
ウィル よく分かりました。
小まさ (驚いて)分かったの?!
ウィル つまり親分の弟さんと喧嘩して、負けて追んだされたと。
みんな おおー。
ウィル 長年の争いは、はじめはささいな行きちがいでした。カタツムリはおいしいかまずいか? たしかにおいしく料理すればおいしいらしい、でもナマのやつを、食べたくないっていってる人にまで無理やり口あけて食べさせたのがいり親分です。それ以来、あがり親分たちはカタツムリよりおいしい料理を捜して歩きまわってる、いり親分とその一党はカタツムリとかおいしいツマミをツマミながら、宴会ばっかりやってる。――なるほどそうですか。
みんな そんなに分かったの?!
あがり親分 (考え深く)その通りだ。
みんな ほんとかよ。
あがり親分 で、まあ、俺たちゃ仲が悪いわけさ。そこでウィル。
ウィル 僕、名前いってないよ…?
あがり親分 え? あ、あははは(とゴマカシ)まーぁいいじゃないか。で、君、腕っぷしも強そうだ、うちの用心棒にならんかね。
ウィル はあ。はい、でも…。
あがり親分 何か、気になることでもあるのかね。
ウィル それが実は、用心棒とかより、ス、ス、ス、
あがり親分 ――酢が飲みたい?
ウィル いえ、その、す、す、す、

みんな、小指立てて親分に知らせてる。

あがり親分 (気がついて)ああそうか…こりゃまた…ごちそうさまでした。

と、みんなして抜きあし差しあし、去っていく。ウィル、まだ「す、す、す…」といっている。

ウィル (やがて)…好きな子がいるんです!…ていえたら…あーあ、楽なのになぁ。
声 (突然)いえばいいじゃないか。
ウィル (ドびっくりのポーズ)ぎょぎょぎょっ。誰だ。
声 私だ。
ウィル 私って? 出てこいよ。

出てくる、かやほ。ただし覆面かぶって男のフリしてる。たでほも一緒に来ている。







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