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2015年06月03日11:03

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翻案 300万通の絵葉書 1/

日本ゴルギアン協会
300万通の絵葉書





時 1999年9月7日をはさむ数ヶ月

場 ザイールなど

人 デューク・トウゴウ
  ADFLゲリラ1〜5
  スローン老人
  旧ザイール大統領モブツ・セセ・セコ
  大統領補佐官ヘセロ
  ペンザンス市郵便局員1〜4
  郵便局長
  ハリファックス海軍基地参謀ラクイエー
  ロジャー士官
  空港管制官1〜3  
その他





第一幕 五匹の女豹

クリスチナ (見えない翼)
リンダ (レディ・ビッチ)
キャサリン (冷血キャサリン)
シモーヌ (戦場に漁る者)
モーリィ (駅馬車の通った町)


第二幕 レポート・ザイール紀行


第三幕 300万通の絵葉書

プロローグ

G 世界に俺がいるからテロが起こるのでは、ない。テロが起こるから、俺が、存在するのだ…。
ヘセロ もううんざりだっ!! 君の手は借りぬよ…。

ドウッ ビシッ

G 俺に敵対する者…裏切る者は俺の手でカタをつける! それが俺のルールだ…。

ウクレレによるトロピカルな伴奏…。

声 コンゴ民主共和国(旧ザイール)の見どころ・行きどころ。ハートフル・アフリカ。ザイール――何と魅惑に富んだ国名だろうか。この国を陸路や水路を使って旅した者にしか分からない、胸が締め付けられるような哀愁と、過酷な旅を思い返させる名前だ。現在は「コンゴ民主共和国」と国名は変わっている。しかし国名が変わろうと大統領が変わろうと、この国を流れる幅10キロを超えるザイール川も、何もかも呑み込んでしまう広大な熱帯雨林も、村々に住む人々のおおらかさもなにも変わらない。良くも悪くも、アフリカの最もアフリカらしい国であろう。
声 ザイール共和国大統領、モブツ・セセ・セコ。
コンゴ民主共和国大統領、ローラン・デジレ・カビラ。

テーマ・ソング『パパ・ナショナル ――モブツ・セセ・セコ氏に』

♪河はとうとうと流れてる パパ
 大統領になって何年たつ パパ
 マンゴーのジュース ジンで割ろう パパ
 チェスの腕前はどうだい パパ

 ブラザビル 影 川むこうから
 櫓を押す 船頭の黒肌よ
 ピローグは 半分沈むよう
 蒸気船は 二千キロゆく パパ ah――

 チェスのひと駒に裏切られ
 軍用機で国を捨てる パパ
 いくさを起こさなかったね パパ
 僕らはしあわせだったよ パパ

タイトル 超A級スナイパーのスーパー・アクション! ゴルゴ13シリーズ第378話『300万通の絵葉書』。

×

第1場 前大統領暗殺計画
コンゴ民主共和国ザイール川下流、ADFL解放勢力根拠地。

ゲリラ1 了解。では、連絡終わる。
ゲリラ2 やるのか?
ゲリラ1 ああ! 実行に移せとのことだ!
ゲリラ3 俺は反対だ。モブツは、もうモロッコに亡命しているし、その上ガンで死にかかってるんだ! そんな男をわざわざカネを払って始末しようなんて!…それも、雇う相手の報酬は、何十万ドルだぞ!
ゲリラ2 しかし、モブツがガンだという情報は、モブツ側の流した偽情報かもしれん。あいつならそれくらいの事は、やる!
ゲリラ4 それに、この国には、モブツのシンパがかなり残っている。モブツが死ねば、奴らも大儀を失っておとなしくなるはずだ。モブツは始末すべきだ!
ゲリラ5 それに、モブツが死ねば、モブツが隠している財産を全部、新政府が接収できる…そのカネで一日も早く、人民のために平和な国家を、建設しようじゃないか!
ゲリラ3 …。
ゲリラ5 で…ゴルゴ13へはどうやって連絡をとるのだ…?
ゲリラ1 ああ、俺の聞いた「やり方」では、こうするのさ!

×

第2場 送られた絵葉書
イギリス、大ブリテン島南西端、ペンザンス。

郵便配達 トトトト… トトトト…
スローン アフリカからか…。
絵葉書 『ウィリアム・パートリッジ君へ お見舞い申し上げます。君が、絵葉書のコレクションで、ギネスブックに載るのを励みにして、闘病生活をしていると聞きました。これは、アフリカ象です。こんなに大きな象がアフリカには二五万頭もいるんですよ。元気になったら私の国に来てください。歓迎します』
G うむ…わかった…。ガチャ… 旧ザイール…コンゴ民主共和国から、か…。
飛行機 …バロロロロ…
ゲリラ1 よく来てくれたMr.ゴル、いや、デューク・トウゴウ。
G …要件に入ってもらおうか…。
ゲリラ1 先に、謝礼に関して交渉したい。あんたの仕事は二五万ドルほどの前払いが相場と聞いたが…私たちは前払いすることができない…。
G …。
ゲリラ1 しかし、もしあんたが仕事に成功すれば、モブツの一切の財産、欧州に数十か所ある別荘やダイヤモンド、金の延べ棒などを新政府が接収できる…。その額は最低でも四〇億ドル、と見積もられている…。あんたが引き受けてくれるなら、相場の倍額、五〇万ドルの支払いを約束する! この条件で引き受けてもらえまいかっ!?…
G …。
ゲリラ3 チッ…。
G …。その約束が履行されなかった場合、あんたらが俺を雇ってモブツを消させた事を全世界に公表すると共に、…全員の命で埋め合わさせてもらうが…その覚悟はあるな…?
ゲリラ3 ふざけるなっ!! 俺はいやだぞっ!! こんな奴に頼まなくても、俺たちの手でやればいいんだっ!!
ゲリラ2 お、お前は黙ってろっ!!
G 意思の疎通が十分ではないようだな…。
ゲリラ1 ま、まってくれっ、Mr.ゴルゴ13ッ!! 報酬は、命にかえても必ず払う! スイス銀行とも接触しモブツが死んだ場合は、財産を新政府に渡す約束もできている! だから引き受けてくれ!
G …。標的は前大統領のモブツ・セセ・セコひとりか?
ゲリラ1 そうだ! モブツが生きている限り、この国の政情は安定しない!
ゲリラ2 新政権を樹立した今こそ、モブツを消し去り、確実に民政を軌道にのせたいのだ!…
ゲリラ1 モブツの、腹心の部下で、ヘセロという切れ者の補佐官が味方についた…この男が、狙撃しやすい位置の個室へ、モブツを移した…。狙撃自体はあんたの技術ですれば、それほど困難なものじゃあないはずだ…。引き受けると言ってくれ! Mr.ゴルゴ13!
G …。

×

第4場 「ガンで逝去された」
モロッコ、ラバト。

オリエンタルな感じの(西ゴート風の)オルガン伴奏…。

モブツ ヘセロよ…わしはもうながくないのか?
ヘセロ 大丈夫ですよ大統領! 今は、いい薬もあるんですから病気になんか負けないでください!
モブツ …。
ヘセロ 外は…いい天気ですよ…。…。

ドウッ ビシッ

モブツ (死ぬ)
ヘセロ 何万人もの国民があなたの警護部隊「ドラゴン」になぶり殺しにされた!…あなたが最高権力の座について以来この三十二年間、国民は皆、あなたの専制と、わがままにおびえて、暮らしてきたのだっ!! 大変だっ!! だ、大統領がっ!!

×

第5場 ルート崩壊寸前
ペンザンス。

スローン 「モロッコに、亡命中のモブツ前コンゴ大統領が死去…」やれやれ…。「アフリカの最後の独裁者」もガンには勝てなかったようだな…。さて…ぼちぼち散歩に行くか。今日は無かろうさ…なにせ絵葉書が入っているのは、今までで一番短い時でも、ひと月も間があった…。平均すれば半年に一度くらい、だからな…。 カチャ! ! こりゃ珍しい事があるもんだ!…
声 数日後…。
スローン どうしたというのだ…? 最近は、毎日、絵葉書が入っている…しかもだんだん枚数が増えてきている…今日はついに十枚だ! 詮索するなと、きつく言われてはいるが、なんとも気になる。いかんいかん、何も考えない事だ!わしは黙ってこれを転送すればいいのだ! 「彼」とはそういう約束なんだから!
女秘書 今日はとうとう箱一杯分、届いています! ええ、一〇〇〇枚はありそうですが、いかがいたしましょうか? とても読みあげるのは、無理ですが!
G …わかった…葉書は、全部処分してくれ…。…。…アクシデントで、こんな事態になっているのか? それとも、何者かが俺の依頼ルート潰そうとして故意に、何か仕掛けてきたのか?
郵便車 …ロロロ…
配達夫 ドサ…
スローン キコ・キコ キコ… うわわっ!! ついに箱が三つかっ!!
G ス―― キ…
スローン あ! あんた…か! …あんたに郵便物の転送を頼まれてからもう十五年だ…。早いものだよ…。以前同様、男の一人暮らしだから遠慮なく、くつろいでくれたまえ。
G …今度の事について、あんたの知っている事を、全部話してくれ…。
スローン ああ…。ええとだな…今からふた月程前までは、なんの問題もなかった。十五年前からふた月前までは、ポツリ、ポツリ、と絵葉書が来るだけだった…内容はいつも同じ、ウィリアム・パートリッジ宛で…。
G …続けてくれ…。
スローン 来た絵葉書は、約束通り、いつも指定された住所へ航空便で送っているが…手元に届いているだろうね?
G それに関しては、信頼している…。
スローン なら、よかったが…なんだか調子がおかしくなったのはそうさなァ、ふた月前くらいからだよ! 確か、アフリカ象の絵葉書が来た…それからほどなくして、アフリカの何とかいう国の首都の、風景の絵葉書が来て…。
G これか?
スローン ああ、そうだ! それだよ!
G これは、アンゴラ共和国の首都・ルアンダだ…しかし、これは、ノイズだった…。
スローン ノイズ…?
G 続けてくれ…。
スローン その絵葉書が来た時は…わしゃあちょっと驚いたよ! あとは増える一方だ! ひと月ほど前に、一日一通になった、半月前には、一日十通になった。毎日どんどん増えてゆき、そして、今日はあんたもご覧の通り、段ボール箱三つ分だ! あれは一万通はあるぞっ!!
G …。状況は、分かった…あんたは、もう二度と、あそこには近づかないでくれ…。
スローン ああ…て、事は…つまり、わしはおはらい箱かね?
G カネは、約束通りあんたが死ぬまで払い続ける。その代わり、今までの事は忘れてくれ。この事について、誰が聞いても一切知らない、で通すんだ。できるかスローン…?
スローン ああ、いいともっ!! 年寄りはもの忘れするものさ!

×







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