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2015年05月20日17:51

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🟣 青春狂想曲



17歳というのは16歳よりも18歳よりも魅力的な年齢だ。
だから17歳になった時、私は期待した。
なにか、とても素敵なことが起こることを。
青春真っ只中の年齢なのだから、それにふさわしい何かが起こるはずだと。

でも同時にそんな素敵なことは何も起こらないだろうという予感もあった。田舎の高校生にテレビドラマのような青春などあるはずはないと。
そしてその通りだった。

18歳も同じだった。
私は自分がとても不当な目にあっていると思った。

テレビからは爽やかな恋を歌う青春歌謡が流れ、青春ドラマが溢れ、青春スターがもてはやされているのに、何故私にはボーイフレンドが一人もいず、何も起こらないのかと。

私は焦れていた。
「こんなはずはない」と思い、「こうしちゃいられない」と思った。
でもできることは何もなかった。

「二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて僕は誰にも言わせない 」

その頃ポール・ニサンと言うフランスの作家のこの言葉を知ってたら少しは納得できたかもしれない。
若い時が美しいなんて言うのは通り過ぎて思うことなのだと。
でもその時は青春に幻想をいだいていたのだ。

夢も目的もないまま青春の幻想の渦中にいた私はみっともないまでに滑稽で、それに気づかなかった分だけどうしようもないほど愚かだった。

何より私は「ボーイフレンドがいることが正しい青春」と信じていたのに、そんな相手が最後までできなかった事が不満だった。
当然ながら淡い恋は「正しい青春」の必須アイテムだと思っていたのだから。

それがお前の期待した青春だったのか!と呆れられても、聞かれれば恥ずかしながら「その通りです」とうなだれて応えるしかない。

要するに私は少女漫画や、韓流ドラマの王道のヒロインを夢見ていたのだが、身も蓋もない言い方をすれば「サカリガツイテイタ」わけである。
「ハツジョウキ」とも言うが。

自信を持って言わせてもらうが、人間、目的がないと、そういう本能だけでしか生きられなくなるものなのだよっ

正しい青春というのは目的に向かって汗を流し、努力することだということに気づいたのは、悲しいことに二十歳を過ぎてからだった。

それにしても振り返ると、あの頃はなんて青春という言葉が溢れていたことだろう。
おかげで私は青春の幻想に振り回され、滑稽な夢を見て、恥ずかしい思い出ばかりの十代を過ごしてしまった。

それでも青春なんてそんなもの。
大なり小なり、思い出すと叫び声をあげたくなるほど恥ずかしい思い出の一つや二つは誰だってあるだろう。

勝手な思い込みだったとは言え、正しい青春には縁がなかった私。
けれど、穏やかな生活が幸せだと思える「正しい老後」を迎えられて、今はまずまずかな…と思う。

後は孫が…
いやいや、そしたら完璧だなんて、そんなものも幻想に決まっている。

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