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2011年10月20日20:51

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かなたへ、君といざかへらまし

高校2年のときのこと
級友の机の上に広げられたノートに書かれた
散文詩(らしきもの)をチラッと見て、次の瞬間
吸い寄せられてしまいました
雅な京都の風物が読み込まれた美しい文章で
その豊富な語彙に驚かされたのです

その友人は受験雑誌(我々の頃は学研の「コース」と
旺文社の「時代」がありましたが、二人とも「コース派」
でした)の文芸欄に応募して入席したこともある文章家
でしたので、てっきり彼の作品だと思いこんで舌を巻きました

彼は苦笑しながら種明かしをして、それは薄田泣菫の
「望郷の歌」を彼なりに口語訳したものだということでした

さて年を経て(40年以上の時間が流れました)
思いついてインターネットで薄田泣菫の原詩をダウンロード
してみました
望郷の歌を含む「白羊宮」の全文は簡単に見つかりましたが
恥ずかしくも悲しいことに、それをそのまま読むことができません
さらに苦労して読み仮名つきのものを求めました
いくつかのWebサイトに載ったものをつなぎ合わせて
どうにか読めるようになったのは昨日のことです

我が故郷(ふるさと)は、で始まり
かなたへ君といざかへらまし、で各連が終わる
格調高い七五調の文語体です
黙読してみて美しい大和言葉に陶然としてしまいました

昨今のお若い方々の言葉
「チョーマジ半端ないっす」とか
何を食べても「ヤバイ」を連発するお嬢さんたちを耳にして
暗澹とした気持ちになるのですが
もう学校では明治の文学は教えないのでしょうかね
(漱石も鷗外も教えなくなったとか聞いたことがあります)

ところで
薄田泣菫の詩は再現できましたが
実は今本当に読みたいのは級友にして旧友の手になる
僕を驚かせた口語訳なのです
K・T君

あの頃 僕らの時代に 君と さあ帰ろうよ
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