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2009年12月10日21:02

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芸術とは何か(応用「自己評価」27)

 後輩と話していたら「映画っていいっすよね。いい映画を見たあとは心が空っぽになるっていうか、胸んなかが空虚感で満たされるというか」というので一瞬混乱して、いろいろ訊くうちに芸術について一つの認識を得た。

 後輩は映画館でよい映画に没入したあとは、感動や感銘にうたれそれがこころを満たしてしまい、その他の日常の心配後や雑事雑念はどこかへふっとんでしまう夢見心地の境地になるのだという。そしてそその状態は長いこと続く、少なくとも家に帰るまで、あるいは寝るまで。

 この話を聞いて、これは音楽でも同じだと思った。生演奏(例えばオーケストラ)を聴いたあともまったく同じ状態になる。という話をしたら「絵画を見ても同じですね」といっていた。ぼくは美術には音痴だからわからないが、よい小説を読んだ後も同じ状態になることにも思い当たった。

 これらのことから、「芸術とは何か」というのは、つまりはそういう状態。すなわち、感動や感銘にうたれそれがこころを満たしてしまい、その他の日常の心配後や雑事雑念はどこかへふっとんでしまう夢見心地の境地になり、そしてそその状態は少なくとも寝るまで保たれる、と云う状態。そういう状態を人間に生じさせるものが芸術なのだといってよい。富士市あたりで見える富士山も芸術だし、マンデルブロ集合も芸術だし、宇宙論も量子論も芸術だし、「自己評価の心理学」も芸術だ。飼犬の死も芸術だし、生命の誕生も芸術だ。

 「自己評価」ということで付け足せば、上記したような「芸術的体験」というものは、「自分などのようなちっぽけゴミのようにつまらない人間以下の人間が、こうのうように崇高で至福な体験をすることを許可されているなんて、まるで自分が祝福された特別な存在であるかのようではないか」と感じさせてくれるのであり、自己評価を高める作用がある。とくに自己評価が低い人にとって芸術はとても有効に働く。

 芸術が何故必要とされてきたか、といえば、人々を幸せにする(自己評価を高める)からであり、芸術家が何故尊敬されるか、といえば、人々を幸せにさせる(自己評価を高めてくれる)からである、という一面は確かにあるといえる
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