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2008年12月27日13:29

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“サプサン” ―― ロシアン新幹線。

 


新幹線 今朝、ぼーっとしながら、TVのニュースで見ましたがな。モスクワ――サンクトペテルブルク間に、ロシア版新幹線が導入されるのやそうな。実際に運行を始めるのは、2009年の12月、すなわち、1年後やそうな。

新幹線 日本語でも、いくつかこのニュースを取り上げているサイトがありやす。どういうわけか、

   最高時速 350km/h だが、当面は 250km/h を目指す

という説明が見られるのだけれど、ロシア語のニュースソースでは、350км/ч という数字をあげているものはなく、

   現在の最高速度は 200km/h だが、250km/h まであげられるだろう

という表現になっちょる。


新幹線 もう、何年前になるか、ちょいと勘定できないくらいでやすが、ペテルブルクが、まだ、レニングラードと称したころ、

   モスクワ → レニングラードを
   「赤い矢号」 «Красная стрела»
   [ ク ' ラースナヤ ストリェ ' らー ]

という寝台列車で旅行したことがあります。当時のことは、ちょいと覚えておりませんが、この列車は、現在も運行していて、

   モスクワ 午後11:55 発
   ピーテル 午前 7:55 着

であるらしい。当時も、そんな時間でした。新幹線なるものが運行を始めたら、夜行列車も廃止になったりするんだろうか。


新幹線 ロシアの鉄道も、国営から株式に変わっているのだなあ。

   ОАО «РЖД» 「株式会社 ロシア鉄道」

だそうだ。読み方は、「オアオー・エルジェデー」 でいいと思う。РЖДは、容易に察しがつきます。

   Российская железная дорога
   ラッシースカヤ・ジェレーズナヤ・ダローガ

です。「ルースカヤ」 ではなく 「ラッシースカヤ」 です。


新幹線 ОАО は、ソ連時代にロシア語を勉強した者たちを悩ませる、新興略語群のひとつです。何が何だか、さっぱり。

   открытое акционерное общество
   アトクルィータヤ・アクツィアニェールナヤ・オープッシェストヴァ

すなわち、

   open stock company

だそうでげすよ。社長が、「ヤクーニン」 だそうであせあせ ロシアの推理小説作家には 「アクーニン」 とうヒトもいます。もっとも、こちらは、日本語の 「悪人」 をもじったペンネームでげす。


新幹線 ロシアの新幹線は、ドイツ製で、

   «Сапсан» Sapsán [ サプ ' サヌ ]

という名前だそうです。日本では、たぶん、今朝のニュースのセイかもしれませんが、「タカ」 ということになっちゃってます。

   сокол 「ソーコル」 ハヤブサ属
   ястреб 「ヤーストリェプ」 タカ
   орел 「アリョール」 ワシ

ですわ。сокол のうち、falco peregrinus の種 (シュ) のみを指して、ロシア語で、

   сапсан 「サプサン」

と言います。和名でも、ハヤブサ属の中でも falco peregrinus を正式に 「ハヤブサ」 と呼ぶので、

   сапсан = ハヤブサ

で、100%まちがいありません。つまり、

   「ハヤブサ号」 という新幹線

ですわいな。


新幹線 この単語は、19世紀にロシア語に現れた単語で、実は、どこから入ったか、よくわかっていないんです。1882年 (明治15年) に刊行されたダーリの辞典には載っていないんです。

   カルムィク語か、チュルク語から入った

という説がありますが、いずれも、原語を示していないので、信用に足りません。ただし、ポーランド語も、

   sokół-sapsan 「ソクウ・サプサン」 ハヤブサ

という単語を使うので、おそらく、ウクライナがポーランド領であった時代に、カスピ海沿岸の低地に住む異民族から借用された、というのは、蓋然性のあるシナリオです。だから、

   カルムィク語か、チュルク語 (カザフ語など)

と言われるのでしょう。


新幹線 カルムィク人というのは、現在、ロシア連邦共和国内に、カルムィク共和国をつくっています。同国の半数以上をカルムィク人が占めます。

新幹線 イスラーム一色の中央アジアの端に位置し、その出自はとてもユニークです。

新幹線 現在のモンゴルの西部には、オイラト人と言う 「アルタイ諸語 モンゴル語族」 に属する (モンゴル人とは兄弟関係) 民族が住んでいますが、17世紀の民族内紛の時代に、これを避けて、現在のカスピ海沿岸まで移動してきた集団がいました。これが、現在のカルムィク人なんですよ。だから、彼らの話す言語は、モンゴル語に似たカルムィク語であり、宗教はチベット仏教です。

   「ヨーロッパ唯一の仏教国」

です。(ウラル山脈までをヨーロッパとするなら)


新幹線 しかしねえ、сапсан という単語は、どこから湧いたものか、カルムィク語、モンゴル語、トルコ語などを当たっても、それらしいのがないんだよねふらふら
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