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2026年09月12日11:29

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「ザ・コラール 希望を紡ぐ歌」感想

 これは、「教皇選挙」のレイフ・ファインズ主演、第一次大戦中のイギリス・ヨークシャーを舞台に、合唱団が戦争で疲弊した町の人々をひとつにして行くのを描く人間ドラマ。
 監督は舞台版・映画版「英国万歳!」などを監督したニコラス・ハイトナー。

 第一次世界大戦下のイギリス北部ヨークシャー。徴兵で多くの団員を失った合唱団は、存続の危機に瀕していた。更に指揮者まで出征し、代わりの指揮者に選ばれたのは、敵国であるドイツで活動していたヘンリー・ガスリー。
 偏見と不信を背負いながら、ガスリーは傷痍軍人、売春婦、徴兵を控えた若者たちなどによる寄せ集めの合唱団を再編、彼らと向き合い、町の人々につながりと希望を取り戻していくが……

 この映画、なかなか見所のある内容となっている。タイトルの「ザ・コラール」とは讃美歌の事で、合唱団の最大のイベントであるクリスマスの教会での合唱を目指すのだが、合唱団が予定していたバッハの「マタイ」が敵国の音楽、と言う事で人々の反感を買ってしまった事から、ガスリーは、それを英国の巨匠・エルガーのオラトリオ「ゲロンティアスの夢」に切り替えて歌うのが主となるエピソードだ。
 更にガスリーは、楽曲をオペラ仕立てとし、主人公を老人から傷痍軍人に変えて、そこに反戦のメッセージと平和への祈りを込めて歌う、と言うのは、正に現在の世界ともリンクしたものでもあり、クライマックスでの歌唱シーンはなかなか感動的でもある。

 しかし、この映画、そんな物語を盛り上げるドラマの弱さが問題のように思う……多彩な登場人物による群像劇としたが故に、人物の掘り下げが出来ておらず、クライマックスに至っても盛り上がりと感動に欠けるし、そんな感動の弱さが、ガスリーと町の人々で作り上げた音楽が、一時の高揚感を与えただけに見え、空虚にも感じられてしまう。
 実際、映画の中でガスリーの音楽が、何か”成し遂げる”事はないのだ――エルガーには受け入れられずに否定され、若者が戦場に行く事にも無力で、合唱の後、共に歌った若者達も去って、合唱団は崩壊……孤独となったガスリーが残される、と言う“その先”にどうにもすっきりしない気持ちになってしまった。
 確かに、それが現実かもしれないが、せめて映画くらい気持ちよくさせて欲しいものと残念に思う。
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