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2025年08月09日20:07

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「未来への警鐘 原発を問う」感想

 これは、「プラトーン」、「JFK」などで知られるオリヴァー・ストーン監督が、地球温暖化対策とエネルギー問題について論じ、「今、人類が選ぶべきエネルギー」について提言するドキュメンタリー。

 2017年、トランプ大統領は、気候変動をでっち上げだとし、アメリカをパリ気候協定から脱退させた。
 だが、実際には気象変動は生じており、その原因は「人為的である事に疑いの余地はない」と結論が出ている。気候変動に関する締約国会議(IPCC)では、30年以内に炭素排出をほぼ100%削減しなければ、生態系と経済に深刻な被害が及ぶと示した。
 そこで、世界の多くの人々は、再生可能エネルギーという形のクリーンエネルギーを選んだ。だが、現実的に見て再生可能エネルギーではこのギャップは埋まらない。
 そこで期待されるのが原子力だ。広島・長崎への原爆投下と言う最悪の形での利用が始められた原子力エネルギーは、1953年以降、原子炉として平和利用出来るエネルギー源となった。だが、石油・ガス業界が率先して行ってきた原子力エネルギーに対する大規模なネガティブ・キャンペーンに加え、チェルノブイリ原発事故、福島第一原子力発電所事故などにより、各国の原子力エネルギー利用は停滞している。
 しかし、それはネガティブキャンペーンにより、核に対する恐怖心を煽られた一面もあると、社会派監督のオリヴァー・ストーン監督は指摘。自ら原子力発電所などに出向いて取材をし、エネルギー問題を見つめ直す――

 本作の立ち位置は明確であり、地球温暖化対策としての脱炭素エネルギーを、はっきりと原子力エネルギーだと語っている。
 原子力はこれまでに幾度も被曝事故を起こしてはいるが、決定的なものはない――福島第一原子力発電所にしても、被曝による死者はゼロで、強引な避難で600人以上が亡くなったのみだ、と本作は主張する。
 
 確かに、適切に管理された原子炉が安全に運転出来ている一方で、既存の化石エネルギーである石炭・石油は、大きな環境影響の他、粉塵やばい煙で、数百万人に及ぶ健康被害と多くの死者を出しているのだ。
 それを考えた時に、期待できるエネルギーはやはり原子力だ、と言う主張には説得力がある。

 もっとも、日本人として、また、広島・長崎の原爆忌の合間に本作を観た事もあって、その主張を受け入れる事には躊躇せざるを得ない。
 だが、仕事柄、エネルギーの脱炭素化の絶望的なまでに遅々とした進展を知る事もあって、反論もまた難しい。
 放射性廃棄物の確実な処理や、より安全な次世代炉の普及、と言う前提が必要ではあるが、検討には値する主張と認めるしかないように思う。

 尚、本作は2021年に製作されたものであり、現在の状況(特にアメリカ)はどうなっているかを注視する必要はあるが、地球温暖化対策としての原子力エネルギーの有用性をあらためて認識させられたように思う。
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