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2022年07月26日21:53

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エルリック・サーガ2 この世の彼方の海

を読んだ。
マイクル・ムアコック著/井辻朱美訳

未来への旅
 新王国へ見聞の旅に出たエルリックだったが、もちろんメルニボネ人を歓迎する者など無かった。
メルニボネのスパイと決めつけられて幽閉されるも脱走し、身も心もボロボロになって荒涼とした海岸に逃げ延びる。
そこにやってきたのは奇妙な船で、それに乗っているのは更に奇妙な男たちだった・・・。

現在への旅
 目を覚ましたエルリックにはあの船に乗ってからの出来事は夢としか思えず、その記憶も急速に失われていった。
再び荒野をさまよう彼の前に現れたのは、時代も場所もバラバラと思える風体の傭兵らしき男たちだった。
食料を分けてもらおうと話しかけたエルリックだったが、彼らの反応は芳しいものではなく、ストームブリンガーを抜く羽目に。
しかし多勢に無勢で生き残ることを諦めかけたとき、意外な加勢が現れ・・・。

過去への旅
 ようやく自分の見知った世界に戻ってきたエルリックだったが、彼を助けた男アヴァン・アストラン公爵の依頼で、彼の祖先の秘密に通じる冒険に旅立つことに。
その旅が自分の問いへの答えになるのではないかと期待していたエルリックだったが・・・。

 シリーズ2巻目なのだが執筆順では末期にあたるだけあって、いきなり1巻目との繋がりを吹き飛ばすような永遠の戦士(エターナル・チャンピオン)全開の話で幕を開けたのでびっくりした。
<ここよりネタバレ>
なにしろいきなりエレコーゼとコルムとホークムーンとの共闘である(笑)
1巻目の斜陽のメルニボネの皇帝の悩みなど歯牙にもかけない超スケールな展開に、呆れるやら笑うやら(笑)
 そして続く「現在への旅」では盟友スミオーガンと出会い、メルニボネの過去の狂った魔法使いとの対決に。
このへんでエルリックの設定の面白さに気づく。
太古より続く謎めいた残虐な魔法の帝国の末裔でありかつ皇帝で、本人も強大な魔法使いであるって、普通ならラスボスとして登場するやつである(笑)
これがトチ狂った悩みを抱えつつ自分のルーツにもつながる過去の魔法使いと対峙するって、ちょっと設定がいかしすぎじゃなかろうか。
今見てもそう思うのだから、発表当時の衝撃度はすごかっただろう。
その上過去のメルニボネのトチ狂った魔法使い(笑)であるサクシフ・ダンがこれまた雰囲気抜群に描かれていて、かつエルリックとの共通点も多いという多面的な描写が想像力を刺激する。
 最終「過去への旅」では、メルニボネの民自体の出生の秘密に迫るのだが、結局はストームブリンガーの暴走で収まるところに収まってしまうのが実にこのシリーズらしい(笑)
しかしそこに至るまでの展開も「インディー・ジョーンズ 最後の聖戦」を思わせるようなキャラクターとか、いつでも嫌そうなアリオッチ(笑)とか、見どころが多い。
というわけであらためて読み直してエルリックってこんなに面白かったっけ(笑)?っと驚いているのだった。
 ところで表紙だが、こんなヒロインいたっけ?っと思ったがよく見ればこれエルリックだな(汗)
言っておくが内容からすればエルリックのキャラクターはこんなイメージとは断じて違うし、物語もこんなイメージとは断じて違う(笑)
エルリックは大波で揺れる船の中では「心臓が口からとびだすような気が」するような人物である。
ここではぜひ驚いた21エモンのゴンスケの顔を思い出してほしい(笑)。
化夢宇留仁の感じるエルリックはまさにそれなのだ。
訳者は猛反対すると思うが(笑)
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