これは、2024年に劇場アニメ化もされた藤本タツキによる同題漫画を、是枝裕和監督が実写化したもの。
小学4年生の藤野は、学校新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメートからは絶賛を受けていた。
ある日、先生から不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと告げられ、彼女の絵を見た藤本はその画力に打ちのめされ、ひたむきに絵を描き続け画力を向上させて行くが、京本には届かない。だが、その京本は藤本の描くマンガの熱狂的ファンだった。
そして、ふたりの少女は、中学・高校の6年を共に漫画を描いて過ごし、高校卒業後は漫画週刊誌への連載も決まった。
だが、京本は、更なる絵の高みを目指して美大へ進学、プロの漫画家となった藤野とは違う人生を歩み出して……
本作については、アニメも鑑賞、原作漫画も読んで、そのひたむきな“絵描きの物語”には胸が熱くなった。
そんな物語の実写化だけに、期待半分、不安も半分で劇場に足を運んだのだが、さすが名匠・是枝裕和、これは期待以上で、漫画・アニメの実写化映画としても、これはほぼ最高水準と言っていいのではないだろうか。
58分だったアニメに対し、実写版は99分――間延びするのでは、とも思ったが、そこは実写ならではの力。台詞を抑え、美しく、生命に溢れた四季折々の風景で、その心象を描いているのはさすが、と言うしかない。
また、本作についてはキャストも文句なし。小中校生時代と高校生以降を2人の女優が演じているのだが、これがほぼ違和感なく見えるのには感心したし、特に、藤野の小中校生時代を演じた七瀬ふうりのハマりっぷりは見事だった。
物語は漫画/アニメと殆ど同じで、展開も同様なのだが、1か所、実写版オリジナルの部分がある――それは、京本の葬儀の後、藤野が再びペンを手にするモチベーションを得るシーン。そこで藤野は京本の残した絵が、生き生きと動き出すのを幻視する。本作はそのシーンをアニメーションとし、正に絵に生命を与えて動かす(=アニメーション)のを見せ、それが藤野の夢であった「自分の漫画をアニメにする」のを思い出させ、その気力を揮い立たせるのだ――これは確かに感動的ではあるけれど、然しながらこれは“カツドウ屋”(活動写真、つまり映画)である是枝裕和の想いが強く出てしまっているように思え、藤本タツキと言う“絵描き”の生み出した物語のテーマを少し変えてしまっているようにも思えた。
それでも尚、「傑作」と称されるアニメ版が存在するのに、それに敢えて実写で挑んだ、その挑戦が、この見事な映画を生んだ。海外での評価も悪くないようだし、自分的にも、これは是枝裕和監督の中でもかなり上位に入るものと思う。
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