これは、マ・ドンソク主演の人気シリーズ「犯罪都市」の日本版スピンオフ作品。残念ながらマ・ドンソクの出演はないが、プロデューサーとして参加している。
監督は、「ナイトフラワー」の内田英治。出演は「火喰鳥を、喰う」の水上恒司、東方神起のユンホ、「ザ・ファブル」の福士蒼汰。
新宿中央署・組織犯罪対策課の新人刑事・相葉四郎は、歌舞伎町育ちの元暴走族総長、と言う異色の存在。血の気の多さからいつも問題ばかり起こしている。
そんな新宿に、国際手配中の凶悪犯を追って、韓国からソウル警察の刑事チェ・シウがやって来る。対立しながらも捜査を進めて行くうち、相葉の追う闇バイト強盗事件と、チェ・シウが追う凶悪犯との繋がりが見えて来る……だが、事件捜査は、強大な権力の前に阻まれてしまい……
現実に起きた凶悪事件や未解決事件を元に、不安や怒りなどの鬱屈する市民感情を、マ・ドンソクの拳ですっきりさせてくれる、と言うのが「犯罪都市」シリーズの特色で、本作は、近年話題の闇バイト強盗事件を取り入れている。
そうした狙いや、刑事が揃ってカジュアルなスタイルである事、そしてお馴染みの「真実の部屋」が登場するなど、シリーズに共通する要素を盛り込まれ、さらに終盤には国家権力に歯向かう姿勢を見せる本作は、日本の刑事もの映画としては異色で、正に韓国映画を新宿でやっているような印象を受ける。
マ・ドンソクが登場しないのは残念だが、水上恒司とユンホのコンビがなかなか悪くない――「アタマを使え」と頭突きをかまし、「刑事はアシで稼ぐんだ」と回し蹴りを食らわせる“暴力刑事”なのだが、これをあっけらかんとやるのが「犯罪都市」なのだ。
また、“やさぐれ女”がキャラのヒコロヒーが、本作では頭脳派を演じているのもちょっと意外。韓国語・英語も流暢に語ってみせるのは、さすがは語り芸の芸人、と言う所か。
アクションもなかなかだし、本作はロケ撮影も頑張っている……夜明けまで人出の途切れないのが新宿と言う街で、それでもアルタ前や歌舞伎町をアクションシーンの舞台とするのだから、よくやったものと思う。
もっとも、それでも日本ではカーチェイスは難しく、青山通りの追走劇は自転車で、と思わず失笑するようなものとなってしまい、終盤の、ランボルギーニで逃げる犯人を追うシーンも、迫力のないただのパレード走行に留まってしまっているのだが……
さらに残念なのは、シリーズの要素は盛り込んだとは言え、日本版オリジナルだと言う脚本がどうにも出来がよろしくないこと……リアリティを欠く、と言うか物語に説得力がないのは、内田英治の悪癖だが、本作は現代の新宿と言う身近な世界を描いたが故に、それが目立つ結果となってしまっている。
また、現実の事件を取り込み、しかも、政治絡みに話を広げるなら、最後の巨悪は、韓国財閥とカジノ利権ではなく、カルト宗教と政権与党にすべきだろう……最後、教団の日本本部に殴り込み、教団と関わりのある政治家に頭突きをくらわせてやれば、それこそ日本の庶民の留飲も存分に下がるだろうに……
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