これは、「クリスマス・キャロル」で知られる英国の作家、チャールズ・ディケンズが、我が子のために書いたキリスト伝「我らの主の物語(The Life of Our Lord)」を原作にした、韓国・アメリカによる長編アニメーション映画。
製作・監督・脚本はチャン・ソンホ。声の出演は、ケネス・ブラナー、ユマ・サーマン、オスカー・アイザック、マーク・ハミル、ピアース・ブロスナン、フォレスト・ウィテカー、ベン・キングズレーと言う豪華キャストだ。
クリスマスイブ、「クリスマス・キャロル」の公開朗読を、舞台に乱入してきた5歳の末息子ウォルターに台無しにされる。厳しく叱咤したディケンズだが、妻のキャサリンに説きほぐされ、帰宅後も不貞腐れているウォルターに、我が子のために書いた物語「キング・オブ・キングス」を語り聞かせる事になる。
それは、2000年前、ベツレヘムで誕生したマリアの息子、イエスの物語――12歳で“神の子”としての使命を自覚し、30歳で洗礼を受け、多くの奇跡を起こし、イエスは人々に愛と赦しを説き続けのだが……
韓国の3D・CGアニメ、と言うと、アカデミー賞受賞の「K−POPガールズ! デーモン・ハンターズ」を連想するが、本作の製作は、独立プロダクションによる。そのプロダクション「Mofac Studios」は、AIの製作過程への導入を進めている、と言う。具体的にどの辺りにAIの効果が出ているかは判然としないが、確かに、アメリカのCGアニメに劣らない映像構築をしているのは確か。そうした結果には繋がっている、と言う事か……
「キング・オブ・キングス」は聖書の中の言葉で、地上の王権の上に立ち、すべてを統治する唯一の神ヤハウェ(エホバ)を意味するもの……これが新約聖書ではキリストの意味にも使われるようになった。
自分はキリスト教徒ではなく、聖書を通しで読んだ事もないのだが、それでもキリスト伝の映画は、何本か観ているので、その生涯は凡そ頭に入っている。本作は、それらと比べ、特別な部分はなく、変な遊びを入れる事無く、真っ直ぐに映画としているように思う。これは、元々、ディケンズが子供たちに語る為の物語であり、教育目的があるからではないか、と思う。
そんな映画の中でユニークなのは、物語の中にディケンズと子供が入り込むという構成だ。ウォルターが物語に影響を与える事は出来ないが、ディケンズの方は時にキリストその人に重なり、叱られて反発していたウォルターが、父・ディケンズを自然に敬うようになって行くのを見せるのだ。
気になったのは、冒頭、父の舞台をぶち壊すウォルターの振舞いと、それをさせた両親の行動……確かに、無邪気に暴れ回るウォルターも悪いが、5歳児なのだから仕方ない部分もある。そもそも、舞台裏に妻子を入れるディケンズも悪いし、子供たちを全く叱らないキャサリンも悪い……このあまりに不自然な、と言うか不躾な描写に心離れてしまって、その先の物語にもどうにも入り込めなかった。
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