mixiユーザー(id:124952)

2025年11月03日20:52

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「火の華」感想

 これは、2016年に国会論争となった自衛隊日報問題を題材に、「JOINT」で注目された小島央大監督の社会派アクション・サスペンス。
 出演は「JOINT」の山本一賢。
 尚、本作は昨年公開の予定だったが、主演者兼プロデューサーのキム・チャンバの起訴により公開は11か月延期、規模も縮小されての公開となった。
 
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 2016年。国連の平和維持活動(PKO)のため、南スーダンに派遣された陸上自衛隊の島田東介は、難民保護の際、反政府勢力の銃撃戦に巻き込まれる。同期で親友の古川が銃弾を受けて死亡、島田は反撃して少年兵を射殺。更に、隊長の伊藤が行方不明となってしまう。
 だが、日本政府はこの“戦闘”を隠蔽、古川は事故死として処理され、緘口令が布かれた。
 それから2年……帰国後に自衛隊を辞めた島田は、PTSDによる悪夢に悩まされる中、古川の遺族への償いの為に裏稼業にも手を染めつつ、花火工場の仕事に就いていた。
 そんな島田の前に、伊藤隊長が現れ、この国と自衛隊の為に、ある企みへの参加を呼び掛けるが……

 この映画、南スーダンにPKO派遣された自衛隊が戦闘状態に直面しつつも、自衛隊は戦争をしない、と言う建前から「戦闘」を「衝突」と言い換え、「戦闘状態」と記録された日報も破棄させた、と言う安部政権の欺瞞を発想元にし、そんな政府の説く“偽りの平和”を押し付けられる自衛隊員の苦悩を描くもの。これを日本映画にはあまり見られない社会派、と評する人もいるようだが、自分はこれは「機動警察パトレイバー2」と同じ事をやろうとしたように思えた――とは言え、本作ははるかに低予算であり、その表現も限定されたものとなってはいるが…… 

 「パトレイバー2」が、押井守の饒舌な語りとアニメで描く“日常を侵食する戦争”により、現代日本における“戦争と平和”の形を見せたのと対照的に、本作は火薬をモチーフに、銃弾を発射して人を殺す火薬が、夜空を彩る花火となって人の心を潤す、と言う二面性を描いており、更に平和の名の下に武器を持ってスーダンを訪れた主人公が花火を持って再び訪れる、と言う展開で見せる“戦争と平和”の構図はなかなかだ、と思う。
 また、花火作りのプロセスは興味深く、映画ならではの大スクリーンで見せる夜空を彩る花火の映像も魅力的だ。

 その一方で、伊藤隊長以下が起こす企みは、その主張と行いの差異が大きく、映画の中でいささかとってつけた感が出てしまっているのが残念――現状では、最後のカタストロフシーンを生み出す為の“理由”になってしまっているように感じられてしまった。
 低予算の映画で出来る事に限界があるのであれば、ここは無理をせず、心に傷を負った主人公の再生の物語に絞り込んだ方がよかったのではないか、と思う。


PS
 映画鑑賞後、映画館を出たら人だかりが出来ていて、なんだ?と思っていたら次回上映前に行う舞台挨拶の為に待機していた出演者らであった。
 丁度、主演の山本一賢氏と目が合い、会釈されたのだけど、咄嗟の事でドギマギ――そりゃあ、さっきまでスクリーン上で観ていた本人に出会うとは思ってもいなかったもので……
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