を昨日読んだ。池波正太郎著
浪切八郎が夢にうなされ目覚めてみると、門人の水野新吾がこっそり帰ってきた気配があった。
ほんとうならそんな時間に帰ってきた門人を問い詰めてもおかしくなかったが、八郎はあることがきっかけで水野にものを言いにくい状況になっていたのだ。
しかしそれは水野をつけあがらせることになり、やがて・・・。
本作は秋山小兵衛が32歳頃に始まり、その後何年もの月日が流れていく。
本作の主人公である浪切八郎は28歳で道場主という立場で、翌年には秋山小兵衛との真剣での果たし合いの約束がある。
ところが門人の水野新吾が辻斬りをしていることを知って成敗してから、その人生が裏道にそれていってしまう。
秋山小兵衛と肩を並べるほどの剣客が、その純粋さ故にハニトラにひっかかったりしつつ(笑)、どんどん闇の中に落ち込んでゆくのに比べ、元々好奇心旺盛で女好きの小兵衛は元の道を踏み外さないという対比も効いているが、なにしろ浪切八郎の置かれた状況の物語が非常に丁寧に描かれ、そこに登場する脛に傷持つ人たちも魅力たっぷりに書かれるので、別に小兵衛の存在が無くても1つの作品として成立しそうな内容になっている。
また面白いのが浪切八郎が巻き込まれた状況を描く本作の前半は完全にミステリーの手法で書かれているところで、いつもと違う物語でも正太郎先生の手腕が光る。
また小兵衛の最初の結婚に至る経緯も楽しめるが、最後に本編とはほぼ関係なく小兵衛の現在に至るまでのことも簡単に描かれており、そこで気に入っていた女中に十両盗まれてトンズラされた小兵衛が、そこには元々二十四両あったので(二十四両、みんな持って行けばよいのに・・・・・・いじらしい女め)と思う件とかもなかなか味わい深い(笑)
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