これは、「ライトハウス」のロバ−ト・エガース監督が、ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」を原作にF・W・ムルナウ監督が製作したサイレント・ホラーの傑作「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイクしたもの。
出演は、「IT/それ」のビル・スカルスガルド、「陪審員2番」のニコラス・ホルト、「ヴォイジャー」のリリー=ローズ・デップ。
19世紀、ドイツの港町ヴィスブルグ。エレンは、孤独だった少女時代から、夢の中で訪れる<彼>の幻影に悩まされていた……それは、エレンの孤独を癒し、且つ恐怖に陥れるものだった。
ある日、エレンの新婚の夫、トーマスが重要な仕事を任され、トランシルヴァニアに赴く事になる。
トーマスは、そこでオルロック伯爵と出会い、“契約”をする……それをきっかけに、エレンの住む街には様々な災難が降りかかって……
ノスフェラトゥと言えば、禿げ頭に長く伸びた爪と言う異形の姿が印象的で、数多あるドラキュラ映画の中でも異色の存在として知られている。そんなノスフェラトゥを100年ぶりにリメイクする、と言う事で期待をされた本作だが、これは期待を裏切るもののように思う。
確かに、本作は19世紀前半のドイツを、確かな考証と、丁寧な美術や衣装で再現し、当時の社会や人々を描く事で、科学がまだまだ拙く、そこに中世の錬金術や、古い迷信などが混じって、オカルト的な様相を生む世界観に説得力を出している――作中で描かれるペストの拡大など、それを人々が悪魔の仕業や呪いとするのも理解出来る。
ただ、この映画が魅力的なのはそこまで(アカデミー賞でノミネートされたのも美術に衣装デザインなど)。ホラーとしてはあまり怖くなく、終盤、姿を現すノスフェラトゥも印象的なものではない。
映画の結末も同様だ。エレンの自己犠牲でノスフェラトゥを滅すのはオリジナルを踏襲してはいるのだが、本作はそこに新しい何かを盛り込めているのだろうか?
それが、エレンとノスフェラトゥのセックスシーンだ、と言うのはいささかお粗末ではないか、と思う。
むしろ、エレンは、自身の孤独を癒した存在と結ばれ、ノスフェラトゥも運命の女と共に死ぬのだから、これを、怪物退治の裏面に、悲恋の結末を置く、重層的な描写も出来たように思うのだが……
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