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2021年06月21日21:51

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屋根裏の散歩者

を読んだ。
 実は前に春陽堂の江戸川乱歩文庫を全巻買い揃えていたのだ。
買ったはいいけどなかなか読み始める機会がつかめずにおいてあったのだが、今回の色々シリーズ読みまくり大会(笑)開始にともない、似たようなものを続けて読むと飽きるので、1冊おきに関係ないものを読むということをしていて、次に何を読むかと本棚を眺めていて本全集の背表紙が目に入った次第。
そこで今回の乱歩の最初ということで、短編集を選んでみた。

鏡地獄
 幼少の頃からレンズやら鏡やらに夢中な変人が、両親が資産を残して他界したことからより一層奇怪な趣味に夢中になり、やがて・・・
 この手の短編でよくある変な趣味が高じて行くところまで行ってしまい、自滅するというパターン。
最後に示された視界はどんなものか、一度観てみたいものである。

押絵と旅する男
 客が2人しか乗っていない客車の、語り手以外のもう1人は、奇妙な絵を大事そうに抱えた老人だった。その老人が見せてくれた不思議な押絵と、老人が語るそれにまつわる奇怪な物語・・・。
 なんとなく読んでいて映画「夢みるように眠りたい」を思い出した。
幻想的な物語で、ビジュアル的な見どころが多い。
悪くない。

火星の運河
 暗い森の中を歩き続ける男。やがて男は森の中の静かな沼に達し、そこで女体の自分が沼の中にいるのを発見する・・・。
 高橋葉介が江戸川乱歩の影響を受けているとありありとわかる作品。
ほのぼのラストに逆にびっくり(笑)

目羅博士の不思議な犯罪
 立て続けに首吊りが起きたアパートでなにが起きていたのか。奇怪な現象とその顛末を、男が江戸川乱歩に語りかける。
 ビジュアル的に面白いイメージを作り出している。最後の悪夢のようなビジュアルイメージがよくできていてなかなか楽しめた。

虫
 人嫌いの青年がある女優に恋をするが案の定相手にされず、彼の愛は増悪と殺意もないまぜになり、とうとう実行するが・・・。
 前半と後半が別の作品のような印象。自動車のシート改造が大して役に立っていなさそうだったのと、後半の展開は予想通りすぎてもう一つつまらなかった。

屋根裏の散歩者
 何をやっても本気になれない男が、アパートの屋根裏の散歩という奇怪な趣味に夢中になり、やがては単なる趣味の延長で殺人を犯す。
完全犯罪になるかと思われたが、唯一明智小五郎は奇妙な点に気付いていた・・・。
 不自然なところに明智が気づくのはよかったが、その後の犯罪の証明手段が面白くない。全然スカッとしない。

疑惑
 酒乱の父親が何者かに庭で殺され、家族同士が疑い合うような状況になってしまい、頭を抱える語り手。果たして父親を殺したのは兄か、妹か、それとも母親か。
 思い出したのは藤子不二雄の「ころり転げた木の根っこ」
しかしこの話は男とその友人の会話だけで成立させるなど、実験的な試みがうまく機能していて面白かった。

 ちうわけで全体的にはまあまあといった感じ。
江戸川乱歩はこういう怪奇短編も雰囲気があって面白いのだが、やはりメインは長編かと思う。
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