これは、「呪術廻戦」、「チェンソーマン」などでオープニング映像の演出に携わっていたアニメクリエイター・山下清悟の初の長編アニメ。
アニメ制作は、「ペンギン・ハイウェイ」のスタジオ・コロリドと、山下清悟監督のスタジオクロマトの共同。
本作は、今年1月にNetflixで配信開始され、2月から完成披露キャンペーンで1週間の特別上映がされたのだが、満席を続出させる大人気となり、その後、拡大公開が決定した、と言う経緯がある。
更に9月、MX4D/4DX/ScreenX/ドルビーアトモスなどの劇場用フォーマットも準備されて、追加上映となった。(この9月の追加上映の興行収入が30億円突破とか……)
今回、追加上映の最終上映をScreenX版で鑑賞。
今から少し先の未来。17歳の高校生・酒寄彩葉は、親と衝突して家を飛び出して以来、ひとり暮らしをバイトで支えつつ、優れた学業成績を修めるべく超絶多忙な日々を送っていた。唯一の癒やしは、インターネット上のVR空間<ツクヨミ>のトップアイドル・月見ヤチヨの配信を見ること。
ある日、彩葉は光り輝く電柱に出くわし、その中にはひとりの赤子がいた。放っておけず連れ帰り、やむを得ず保護するのだが、その赤子はあっと言う間に成長し、同じ年頃になってしまう。
やがて、彩葉は、かぐやと名付けた少女と共に、<ツクヨミ>にアクセスするようになって……
これはやはり面白い、「竹取物語」を、見事に現代(と言うか少しだけ未来)の物語にアップデート。
美少女にケモ耳、VR空間、音楽とダンス、そしてゲーム(=バトル)と、最近のオタク層向けエンタメ要素をこれでもかと盛り込み、更に、伝統的な和風とモダンを掛け合わせ、そこに“海棲生物”と言う要素(これも伏線)を加えて、テンポよく、まるでマンガのように軽妙に見せて行く……この華美な<ツクヨミ>ビジュアルは、正に圧倒的であり、これは劇場の大スクリーンで観る価値が確かにあり、既に配信で観ていたファンが劇場に押しかけたのにも納得だ。
山下清悟監督は、現実パートのマンガチックな演出と、背景までCGを多用する<ツクヨミ>を、作画監督まで別とし、正に“別世界”として創作。フルCGのライブやバトルシーンは、自在に動くカメラで観客を振り回す……こうした映像に見慣れていないと目がついて行けない、こうしたアニメーション演出にも新世代らしさを感じた。
しかも、「竹取物語」らしいエンディングを迎え、エンドロールまで表示しかけて、そこからちゃぶ台返しをする急展開……そこからの怒涛の勢いで見せる大河ロマンは一度で把握出来るものではなく、自分自身、2度目で漸く把握出来たくらい。
そこで語られる、時空を超えた友情――いや、そんな言葉を超えた繋がりに心打たれるだろう。「もう一度、会いたい」などと言う、陳腐な事は言わず、ただ思いのままに発せられた言葉に、苦笑いしつつも涙した。
ラストも、まだまだ、と終わりを惜しむようにあれこれ盛り込み、最後のステージで締めくくる……これは、満足の1本だった。
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