これは、死者の魂が冥土に送られる前に訪れる美容室を舞台にしたヒューマン・ファンタジー。
出演は、桜井日奈子、日穏、岡部大。監督は、「れいこいるか」のいまおかしんじ。
職場でもプライベートでもうまくいかず、イライラしていた美容師の美帆は、帰宅途中に階段で足を滑らせて転落。目を覚ますと、サクマと名乗る死神がいた。
サクマは、美帆に死を宣告すると、死神の美容室「冥供愛富(メイクアップ)」に連れて行く。そこは死者が冥土に旅立つ前に訪れる場所で、最後に髪を整え、家族や大切な人に、最期の別れを告げる手助けをしているのだ、と言う。
だが、そこで、サクマのミスが判明、美帆の本当の死は数日後であることが判って……
これは、いかおかしんじらしい、ちょっと緩めのオフビートなコメディ。B級娯楽作と割り切り、格調高くもなく、変に格好よくする気もない作りは潔い、とも言える。
本作も、新人死神サクマの凡ミスで、死神に出会ってしまったもののまだ冥途に旅立つ事の出来ない美帆が、成り行きでサクマの仕事を手伝う事になる……と言う展開で、それから幾つかの「死別」のエピソードを繋いで、美帆とサクマの心の変化を描いて行く、と言う展開は「ほどなく、お別れです」に類似しているのだが、決してお涙頂戴の泣かせ演出に走らず、人の心の機微を掬い上げ、くすくす笑えるコメディに終始するのもならでは、だ。
ちょっと考えると、あれこれ矛盾のありそうな設定と展開だし、このノリなら最後はどうなるか、と先が読めてもしまうのだけど、作品の緩い雰囲気が、これはこれで悪くないと思わせる。
そんな所も、いかおかしんじ監督らしく、これは楽しい1本で、公開規模の小ささが勿体ないなぁ、と思ってしまった。
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