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2026年10月02日00:03

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「ハート・オブ・ビースト」感想

 これは、「フューリー」のデビット・エアー監督が、再びブラッド・ピットを主演に迎え、アラスカを舞台に退役軍人とその愛犬が繰り広げるサバイバル・アクション。
 エグゼクティブプロデューサーには「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルが名を連ねている。
 
フォト


 元陸軍特殊部隊のジェームズと、軍でパートナーだった偵察犬のオーディンは、負傷して退役後、アラスカの大自然の中で、他者を寄せ付けず、静かに暮らしていた。
 そんなキャンプ地に嵐が迫り、自家用機で嵐を避けて移動中、心臓発作を起こしたジェームズは、人里離れた奥地の湖に墜落してしまう。
 心臓に不安を抱え、更に墜落で負傷した身体で、“魔の領域<ハート・オブ・ビースト>”と呼ばれる険しい奥地から、ジェームズとオーディンは生きて還る事が出来るのか――

 映画は、冒頭で、救いを求めるように道路の真ん中に立つ、一頭の犬の姿から始まり、その7日前に戻り、何でそう言う事態になってしまったのか、を描くと言う構成――ある意味、結末を半ば明かしてしまっている訳だが、これで少なくとも犬は死なない、と判る愛犬家にも安心(?)の作りでもあるだろう。
 雄大な大自然の中を飛ぶ軽飛行機、操縦席には男と犬、と言うのに既視感があるのは、勿論、先日観た「ラスト・サバイバー」だが。本作の事実上の主役オーディンもまた、「ラスト・サバイバー」のジャスパーに負けない、と言うかそれ以上によく躾けられた犬であり、これもまた既視感。
 
 物語は、そんなオーディンを連れたジェームズが飛行中に心臓発作で意識不明となり、人里離れた険しい山奥に墜落する所から動き出す……そこから、ヒッチハイクの出来そうな道路に辿り着く5日間の物語となるのだ。
 美しくも険しい大自然(実際には多くのシーンがアラスカではなくニュージーランドで撮影されたようだが)の中、軍隊仕込みのサバイバルスキルで帰還しよう、と言う一人と一頭の悪戦苦闘……まず、墜落のダメージを抜く所から始まり、クマとの遭遇、急流への転落、更なる怪我に、狼との死闘、と苦難の連続となるその道程は確かに見応えがあるが、いささかゲーム的でもある。
 また、ジェームズがあまりに寡黙である為、決して難しい話ではないのにも関わらず、状況が判り難いのも問題と思う――冒頭、カヌーで旅する老人(J・K・シモンズだとは判らなかった!)との対話に状況説明を含ませたり、最期の伝言など、工夫しているのは判るが、中盤にもう一工夫あってもよかったように思う。

 兵士だけでなく、犬もまた戦場PTSDになるのだ、と言う事に加え、現代の戦争において尚、多くの犬が戦場に駆り出されている、と言う事実の気づきはあるし、デビッド・エアーらしい確かなミリタリー描写には唸らされる。
 それだけでなく、本作は終盤に見せるオーロラを、オーディンの目の反射の中に描くなど、美しく繊細な描写も印象的であり、最期にはほろりとさせられる……デビッド・エアー監督映画で泣けるなんて、と思うかも知れないが、本作の最期は、本当に涙を誘うものなのだ。
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