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2026年09月03日13:25

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「ラスト・サバイバー」感想

 これは、ピーター・ヘラーの同題小説を、リドリー・スコット監督が映画化したもの。
 出演は、ジェイコブ・エロルディ、マーガレット・クアリー、ジョシュ・ブローリン、ガイ・ピアース。

 世界的感染症パンデミックで、人類の9割が死滅し、文明社会が崩壊してから数年を経た2035年。生き残った人々は閉じ籠り、あるいは生きる為の略奪を繰り返していた。
 元整備士のヒッグは、元軍人のバングリーと共に、デンバー郊外の飛行場で共同生活を送っている――接近する者はバングリーが排除し、生活に必要な物資は、ヒッグが整備した飛行機で、デンバー市内で調達する、と言う日々。
 そんなある日、ヒッグは、航空無線に応答を呼び掛ける音声を受信して……

 本作の原題は原作小説と同じ「The Dog Stars(犬の星々)」――映画中、繰り返し見せられる人々が消えた都市や宅地を犬が我が物顔で走り回る光景……そんな“世界”を意味するタイトルだろうか……

 映画は、意外と小さな話となる。台詞のある役はせいぜい10人、と言う所だろうか――パンデミックの災厄や混乱する世界などパニック描写はなく、映画はパンデミック後の廃墟に始まり、そこで生きる人に密着していく。物語は、ヒッグが飛行中に傍受した無線発信源に“文明社会”が未だ生き残っているのでは、と期待してひとり旅立ち、その途中で出会った父娘と旅を続ける、と言う展開となる。
 印象的なのは、これは、かなり本格的な飛行機映画であり、ロッキー山脈の雄大な風景の中を飛ぶ、主人公の小型機に、人間のちっぽけさを象徴させるようなシーンが印象的だ。

 気になったのは、主人公らを襲う、他の生存者で、特に「テキサスから来たヤツら」は、スキンヘッドにボディペイント、甲高い奇声を上げて突っ込んで来るのは、まるで、西部劇のインディアンか、「マッドマックス」の悪党と言う感じなのだ。この、既視感のある類型的な“敵役”描写になっていたのは、安易に決めたのか、何かの意図があったのか、と勘繰ってしまった。

 先に述べたように物語は小さくまとまり、丁寧な日常描写は、いささか冗長な印象を与えるかもしれない――だが、この映画は、決して、「アクション」や「サバイバル」を見せる事が主目的ではない。パンデミックによる人類社会崩壊後の、黄昏の時代を描くには、このテンポは確かにあっているように思う。また、無駄な描写のない内容は、さすが名匠、と感心するしかない。
 そんな展開の末に迎える結末も、小さな温もりに落ち着くものとなる……正直、自分は「これで終わり?」と言う物足りなさ感じたが、上手くまとまっている事は否定出来ない。むしろ物足りなさを感じたのは、この「黄昏の世界」をもっと見てみたい、と言う思いだったかもしれない。
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