これは、日本三大花火大会のひとつである「長岡まつり大花火大会」をモチーフにした真戸香による同題小説を、長編アニメーション映画化したものとなる。
出捐は、アイドルグループ「timelesz」の佐藤勝利、「すずめの戸締まり」の原菜乃華、そして横澤夏子。
監督は「神之塔 -Tower of God-」第2期を手がけた鈴木慧。
高校入学直後、夏目誠は初めて出会った同級生の葉山煌に、本当に出会ったね、と声をかけられた。煌は、曽祖母より一枚の花火の絵を見せられ、いつか夏目誠と出会うと聞かされていたと言う……その古い絵には何故か誠のサインがあった――その絵の謎もそのままに、ふたりの想いはすれ違い、やがて、煌は家庭の事情で故郷の長岡に引っ越す事になって……
この映画、シンエイ動画の梅澤社長が、長岡の花火大会に感動して、これを映画とすべく、まずは真戸香に執筆を依頼した、と言う経緯だそうで、その意味では小説の映画化、と言うよりもオリジナル作品に近いのかもしれない。
実力あるアニメスタジオであるシンエイ動画に、新海誠作品で知られるコミック・ウェーブも製作に加わった本作は、確かにアニメとしてはよく出来ていて、クライマックスとなる長岡の花火大会は確かに素晴らしい出来だ。
そして、長岡まつりが、昭和20年8月1日の長岡空襲からの復興を願って始められた、と言う歴史を踏まえ、現代の高校生と昭和20年の空襲を重ねる展開も価値あるもの、と思う。
だが、本作の映画としての出来は感心したものではない――本作の要でもあるタイムスリップのご都合主義的な展開辺りはよしとするとしても、脚本と演出があまりに稚拙――一例を挙げると、ひとり絵を描いている誠がいちいち「休憩しよう」、「食事にしよう」と行動を説明するとか、学芸会以下ではないか、と頭を抱えたくなったし、誠と煌の関係性、距離感や会話など、違和感だらけでどうにもついて行けず、更に、誠役の佐藤勝利の素人丸出しの演技(声優初挑戦だと言う)が、それに追い打ちをかける感じ。
クライマックスでの、日本映画の悪癖でもある、感動を呼ぶ為に主人公を走らせる、と言う安易な演出にも辟易とした。
題材は悪くなく、絵も破綻なく綺麗ではあるけれど……この脚本と演出ではとても観られたものではない。これは残念としか言いようがない映画だ。
PS
鑑賞は公開初日であり、舞台挨拶の中継あり。
この舞台挨拶も程度が低く、出演者の3名と、主題歌を歌う「timelesz」ばかりが前面に出ており、鈴木慧監督には30分の舞台挨拶で2回しかマイクが回らず、気の毒に、と思っていたのだが、映画を観た後では弁護する気も喪失……
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