これは、深水黎一郎の推理小説を、「TRICK」シリーズや「SPEC」シリーズを手がけてきた堤幸彦監督が映画化したもの。
出演は、唐沢寿明、芦田愛菜、三浦透子ら、なかなかの豪華キャスト。
巨大製薬企業のトップの樺山桃太郎が、自ら製作して司会を務める、大みそか恒例・全国民熱狂のド派手な推理クイズ生放送番組「ミステリー・アリーナ」。
難攻不落の推理問題の正解者は、この10年間現れず、キャリーオーバーにより賞金は100億円まで膨れ上がっていた。今回の問題は「嵐により孤立した洋館で起きた殺人事件」。
推理力に自信のある選りすぐりの6人の解答者たちは、このミステリーを解き明かすことができるのか……
この映画は、先日公開された「劇場版『君のクイズ』」に近しい内容と構成の映画だが、「早押しクイズ」への理解と愛情を踏まえ、その解き方を説明した上で謎解きを行う「君のクイズ」に対し、本作は“信用出来ない語り手”による叙述ミステリーで、あちこち穴だらけの杜撰な謎を敢えてミスリードさせ、正解に近づくと物語の方を書き換えてしまう、と言う“絶対に解けないミステリー”が、「ミステリー・アリーナ」の題材なのだ……勿論、そうして“ミステリー”と言う物語ジャンルをぶち壊すような事をした者がしっぺ返しを食らう、と言う展開には痛快さはあるし、そこに物語としてのミステリーへのリスペクトもあるのだろう――だが、原作は未読だが、少なくとも映画には、かなり設定に無理があり、肝心の「ミステリー・アリーナ」の説得力が皆無なのが痛い……特に題材のミステリーの出来が悪いのには呆れるばかりで、こんな内容で10年も番組が続いているなどあり得ないだろ、と呆れてしまった。
この根本的な問題に比べれば、番組内容と演出がまるで昭和の深夜放送レベルで、現代ではコンプラアンス上許されないもの、と言う事など些細な瑕疵に過ぎない。
また、キャストはなかなか豪華で、実力者揃いなのに関わらず、「目を剥いて喚き散らす」ような安い芝居をさせるわ、お涙頂戴の臭い展開をやたらと引っ張る、くどい上にテンポの悪い演出と展開にもうんざりさせられた――これは、ほんと芦田愛菜と三浦透子の無駄遣いだろう。
「君のクイズ」には、その出来のよさに感心したが、これは対照的に出来が悪い……まぁ、自分は堤幸彦監督作品とあまり相性がよくないのだが、それにしても、どうにも楽しめなかった映画だ。
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