これは、「ほどなく、お別れです」で多くの観客を泣かせた三木孝浩監督によるラブロマンス。
出演は、「モエカレはオレンジ色」の生見愛瑠、なにわ男子の道枝駿佑。
冴えない高校生の水嶋春人は、密かに詩作を趣味にしていたが、ある日、お節介な担任教師が課題の詩を読み上げてしまう。それを耳にした転校生の遠坂綾音は、春人に「詩を書いて欲しい」と頼む――綾音は、音楽の才能があるが、発達性ディスレクシアと言う障害を持ち、読み書きが出来ない……だから、春人に作詞を頼んだのだ。「わたしに言葉をください」と――
春人が言葉を紡ぎ、綾音が歌う……そんな2人の前に新たな道が拓けるのだが……
本作を、人気アイドルグループの道枝駿佑、人気タレントの生見愛瑠と言うキャスティングから、よくあるキラキラ青春ラブロマンスと油断していると、これは一筋縄では行かない。
監督が三木孝浩だから、泣かせに来るのは判っていたが、難病による死別、障害と恋愛、更に音楽と子供、と言うキラーアイテムまで存分に使い、それを映画内で10年と言うスパンの長い物語としている――正直、映画3本分くらいの内容を2時間に押し込んだ盛沢山の内容で、クライマックスが幾度も来るような展開に打ちのめされる。
自分的には見え見えの仕掛けで醒めてしまった部分もあったのだけど、幾度も感情を揺さぶられ目頭が熱くなったのは事実。
映画で特筆すべきは、やはり生見愛瑠の存在感。彼女の映画は初見になるが、よく見るTVバラエティやCMとは異なり、人見知りで努力家(彼女は事務所の先輩などから怒られると小言をスマホに記録しておくのだそうだ。「わたしはバカだから、こうやってまた怒られないようにしている」と)の彼女らしく、1年にも及ぶギターレッスンとボイストレーニングにより、映画内の楽曲4曲全てを自身で歌い奏でているのだ。こうした役作りは日本映画ではなかなか見られず、大したものだ、と思うし、実際、歌唱シーンは印象的なものとなっている。
(それに対し、本業が歌手の道枝駿佑の体たらくと来たら……)
その一方で、これも三木孝浩監督らしく、現実味に欠ける設定と展開、そして、下手な演出が、時に醒めさせてしまうのがあるのは残念――発達性ディスレクシアは、稀な障害ではなく(人口の3〜7%が該当する、と言う説もある)、学校で何のサポートもされていない、と言うのがおかしいし、随所に物語を進める為のの無理な仕掛けも目立つ。
確かに、10年にも及ぶ長い物語を1本の映画で語るのには最初っから無理があり、これはドラマシリーズか、映画なら上下2本くらいにしないと、どうしてもダイジェスト感が出てしまうだろう。
時間をしっかりかけた生見愛瑠の役作りに応え、映画の内容もそれに相応しいものにして欲しかった所だが……
タイトルの「君が最後に遺した歌」は、言葉を残せない綾音が残した遺書……これは涙なくしては聴けなかった。
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