これはアジア各国で大ヒットした、台湾のノンストップサスペンス。
元警官で、爆発物処理班だったカンレンは、台北で起きた爆破事件の慰霊祭に参列する――この連続爆破事件は、カンレンにとって悔いの残るもので彼が警官を辞めるきっかけとなった事件だった。
そして、カンレンが台北から高雄に戻る為に乗り込んだ台湾新幹線で事件は起きる。かつての上司から「この列車に爆発物が仕掛けられた」と知らされ、カンレンは経験を活かして秘密裏に処理するよう、依頼されるのだが……
この映画、これはどう見ても「新幹線大爆破」の台湾版、としか言えない内容で、タイトルがこれまた「96時間」のもじり、と言う……タイトルの方はともかくとして、「新幹線大爆破」を元にしているなら面白くならない訳がない、と観る事にしたのだが……これが、「トロッコ問題」をテーマとした、なかなかオリジナリティの高い物語としているのには感心をした。
多数を救うために少数を犠牲にする、それは警察や国と言う「公」の判断としては間違ってはいない……だが、切り捨てられる側にも反論はあるだろう。「じゃあ、お前が切り捨てられる側なら納得出来るのか」と――これは、正に、その判断を主人公に、そして観客に突き付ける物語なのだ。
しかし、この映画、このテーマを描くのに、必要以上に設定や物語をこねくり回し、複雑怪奇にしているのが問題だ、と思う――新幹線の列車2編成を舞台とする、これは作品テーマを語る為に必要だったとしても、発端となる鉄道事故、さらに連続爆破事件を重ねたのはやり過ぎに思えた。
車速が落ちると爆発が“早まる”と言う設定、犯人側の描写も、必要以上に複雑にしてるようにしか思えないし、事件の対処が、車両に偶然乗り合わせた警官の独断で行われ、警察上部や、鉄道管制室の描写がないのも不自然だ、そして最後の爆弾の処理方法についても、それしかなかったのか?と疑問に思ってしまった。
その他にもタイムサスペンスの盛り上げ方が下手、それに、やたら感傷的なシーンを入れるせいで、話がもたつく、と映画の作り方と言うか、出来は誉められたものではない、と思う。
テーマとしては語るべきものがしっかりあったのに、あれこれ要らぬ工夫をしたせいで映画は混沌としたものとなってしまった……正に「策士、策に溺れる」と言う印象を受けた。
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