これは、香港・アクション映画の巨匠ツイ・ハークが、武侠小説の巨匠・金庸の長編小説「射�蟇冤催繊廚魃撚莢修靴燭發痢�
12世紀前半、金の侵攻で北宋は滅び、南京で南宋が建国されたものの、金への従属を強いられていた。そして、蒙古ではチンギス・ハーンが台頭、金との戦いを激化させていた。
そのような中、蒙古で育った宋人の青年・郭靖は、桃花島で武芸の修行に励む日々の中、天下五絶(五大武術家)の一人・黄薬師の愛娘・黄蓉と出会い、恋に落ちる。だが、郭靖の師である江南七怪が殺され、そこに黄薬師が関わっていると誤解した彼は、桃花島から去るのだった。誤解は間もなく解けたが、ふたりは離れ離れになってしまう。
やがて、郭靖は金へ進攻する蒙古軍に合流。一方、黄蓉は武術の秘伝書・九陰真経を託されていたが、それを狙う欧陽鋒に追われ逃避行を続けるうちに、チンギス・ハーンの娘・コジン姫に救われて……
ワイヤーアクションの活用、VFXにアニメと、香港映画に様々な新機軸を持ち込んで来たツイ・ハークだが、同時に武侠小説にも傾倒しており「七剣下天山」を映像化した「セブン・ソード」で、中国武侠映画ブームの礎を築いたとも言われる。本作もその延長線上にある武侠小説の映画化だ。
映画前半、郭靖と黄蓉の出会いから別れまでは、えらくハイペース……まるで総集編のような勢いで、ひょっとしたら連続ドラマの総集編なのか、と思ったが、そうではないらしい――原作小説は、中国で幾度もドラマや映画になっているので、状況説明となる前半は手際よく済ませ、後半のメロドラマ&スペクタクルをたっぷり見せよう、と言う事のようだ。
そのメロドラマとは、郭靖と黄蓉のすれ違いに、コジン姫の片想いが絡む三角関係……このうじうじした昼メロのような話に、黄蓉が持つ秘伝書を追う欧陽鋒(西毒)が絡んで、クライマックスでは、その秘伝の技が激突するスペクタクルとなる――この、基本4人の物語の背景に、南宋と金の確執、チンギス・ハーン率いるモンゴル軍の来襲と言う一大スペクタクルが描かれる、と言う何とも豪勢、と言うかアンバランスな話なのだ。
自分的には、そんなアンバランスさと、背景設定の方に関心を引っ張られてしまったのと、郭靖と黄蓉のすれ違いを延々と描き、互いに再会を望みながらも、いざ、出会いそうになると踏み止まってしまう黄蓉に、もどかしさを超えて苛々してしまい、中心となるメロドラマをどうにも楽しめなかった感じ。
とは言え、本作は歴史スペクタクルとして、スケールは大きく製作費もかかっていそう。そして、ツイ・ハークならではのワイヤーアクションに、VFXによる妖術描写を組み合わせたアクションシーンはまるでアニメのようで、これはこれで見応えがある。
また、チンギス・ハーン以下、モンゴル軍将兵を演じているのはモンゴル人俳優であるなど、中国映画らしからぬポリコレ配慮も見せる辺りは興味深くもあった。
中国伝統の武侠ものにメロドラマを加えた内容だが、歴史ものでもありプロバガンダ色は薄い。娯楽性の高さは確かなだけに、思いっきり中国向けな味付けが受け入れられれば、これは楽しめる映画と思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する