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2026年02月13日09:07

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「マーズ・エクスプレス」感想

 これは、23世紀の火星を舞台に、ロボットと人間の関係性を描くフランスのSFアニメ。
 監督は、フランスでMVやTVアニメを手がけてきたジェレミー・ペラン。
 フォト

 西暦2200年。半導体を用いた従来型のコンピューターが限界に達し、合成生命体による生態コンピューターが普及の兆しを見せる中、従来型コンピューターとロボットが人間の制御を脱して暴走する“脱獄”が社会問題となり、人々の間ではロボット排斥運動が広がっていた。
 地球で、“脱獄”に関わった大物ハッカーを拘束する仕事を終え、活動拠点である火星に戻って来た元軍人で私立探偵アリーヌは、行方不明になっている大学生の娘を探す、新たな依頼を引き受け、元同僚の人格をコピーしたロボットの相棒、カルロスと共に捜索を開始する。
 調査の過程で二人は、“脱獄”を仕掛けた理由と、“脱獄”が引き起こす大きな社会変革に直面する事になる――

 この映画、1回目観た時には寝不足が祟って(映画は面白かったのだけど)、中盤で完全に寝入ってしまって話が繋がらず、2回目を観て、漸く物語を把握、感想を書き上げる事が出来た……まったく、何をやってるのやら。

 さて、そんなアニメだが、本作の印象を一言で言えば「フランスで作った『攻殻機動隊』」と言える。
 背景美術やメカ描写には3D・CGを多用、人物キャラクターをセル画風2D画像で描く、と言うのは日本流アニメ的で、漫画・アニメ的なデフォルメの少ないキャラクターは、まるで大友克洋の描くそれであり、本作の日本語吹き替え版を「大友克洋の新作アニメ」と言っても、納得してしまいそうな感じ、でもある。
 もっとも、フランスには、その大友克洋にも影響を与えたバンド・デシネの伝統があり、その延長線上に本作がある、と言う事も出来るだろう。
 アニメとしての完成度は非常に高く、正に「攻殻機動隊」が描いて来たようなサイバー世界や、キャラクターの動き、繊細な表情の描写など、文句のつけようがない出来と思う。

 物語の方は、これは、よくある“ロボットの反抗”なのが、これが人間と立場を変え、支配者になろうとするのではなく、人類支配下から脱出、宇宙に旅立つ、と言うのが面白く、これではまるで「楽園追放」ではないか、と思ってしまった。
 もっとも、この物語は幾つもの現実を重ねている、とも言える――人間が労働力として酷使して来た半導体コンピューターとロボットを、生体コンピューターと合成生命に切り替えようとしているのは、移民労働者を切り捨てAIによる自動化を図ろうとする現代社会を反映させたもののように思えるし、更に、そうして自分たちの支配を脱出した者が星の大海を超えて新世界を目指す、と言うのは、新大陸を目指した移民たちと、欧州に残った支配者、と言うかつての構図をも彷彿とさせるのだ。

 映画は、そんな旅立ちを美しくも乾いた描写で描いて終わるが、自分的には、アリーヌとカルロスの決別をきちんと描いて欲しかったなぁ、と思ってしまった……勿論、それは日本人的な感傷なのかも知れないけれど。 
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