これは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのクリス・プラット主演のリアルタイムリミット型アクションスリラー。共演は、「ミッション:インポッシブル」シリーズのレベッカ・ファーガソン。
監督は「search/サーチ」で製作を務めたティムール・ベクマンベトフ。
治安統制のためにAIが司法を担う近未来。LA市警刑事のレイヴンが目を覚ますと、妻殺しの容疑で〈マーシー裁判所〉に拘束されていた。彼が覚えているのは事件前の断片的な記憶のみ。無実を証明するには、自ら世界中のデータベースから証拠を集め、AI判事マドックスが算出する“有罪率”を規定値まで下げなくてはならない。制限時間は90分、過ぎれば即処刑となる。果たしてレイヴンは証拠を集められるのか……。
これ、ミステリー、そしてサスペンスとして、すごくよく出来ている。ほとんどがリアルタイムで展開する中、観客は昏睡状態から目覚めたレイヴンと共に、状況が全く掴めていない所から、突き付けられた犯罪容疑を打ち消さねばならないのだ。この設定は素晴らしく巧い。
本作は「安楽椅子探偵」のスタイルで、監督の過去作である「search/サーチ」、「search2/サーチ2」の発展形であるのは当然なのだが、これを「search3/サーチ3」とせずに、大きく設定を変えて、「search/サーチ」を初見した時の、或いはそれ以上の衝撃力のある映画として来たのは、賞賛に値するだろう。
「search/サーチ」の延長線上にある、ディスプレイに展開される膨大な情報量を、AIと言う最強アシスタントを得て、手際よく整理し、捜査を深化させる面白さに、タイムサスペンスも重なって、正に片時も目を離せない程にテンポよく、サスペンスフルに展開して行くのには引き込まれた。
だが、本作の問題は、肝心の「AI裁判」が、どうにも納得出来ない事にある。裁判の審理をスピーディーに行う事が治安統制に役立つのかが判らないし、1件に90分しかかからないと言うのに、これまで18件しか処理していないのも腑に落ちない。
また、AI裁判がどうにも無理があるのだ。レイヴンは刑事と言う捜査のプロで、相棒の刑事を手足のように使って現場検証も証拠集めも、別の容疑者の追跡や尋問まで出来てしまうが、一般人ではそうはいかないだろう。
そんな問題があるシステムを、こちらも「守ろう」と全く思えないので、レイヴンにかけられた冤罪を晴らすのはともかく、犯人の計画を阻止し、〈マーシー裁判所〉を守ろう、と言う気にどうにもなれず、むしろ白けてしまう部分があった……本当に、レイブンによる近未来の「安楽椅子探偵」の仕事っぷりには夢中になれただけに、〈マーシー裁判所〉に説得力を与える事が出来ていない辺りは非常に残念に思えた。
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