これは、芸術家モディリアーニの人生を変えた激動の72時間を描く、ジョニー・デップが監督する長編映画2本目にして約30年ぶりとなる新作。アル・パチーノの声かけから実現した、と言う。
原作はデニス・マッキンタイアによる同題の戯曲。
モディリアーニを演じるのは「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」のリッカルド・スカマルチョ。アル・パチーノは本作への出演もしている。
1916年、パリ。イタリア人芸術家アメデオ・モディリアーニは、肺病の為に従軍せず、英国人文筆家のベアトリス・ヘイスティングスと共に暮らしながら、画家仲間のモーリス・ユトリロ、シャイム・スーティンとバカ騒ぎを繰り広げていた。
そんなある日、画商のレオポルド・ズボロフスキが、著名なコレクター、モーリス・ガニャを紹介する、と言って……
この映画だが、かなり雑然と言うか、混沌とした印象を受けた。
モディリアーニだけでなく、ユトリロ、スーティンも、ずっと酩酊している感じだし、更に、麻薬に幻覚キノコで、夢現の中を彷徨ったり……まぁ、確かに、ジョニー・デップっぽくはあるのだが……
物語としては、モディリアーニが、絵画に本格的に取り組むようになった、そのきっかけを描くと言う事になると思うのだが、ちょっと判り難い、と言うか、巧く表現出来ていないように思う。
ガニャに酷評され、ベアトリスは去り、癇癪を起して過去作を全て擲って、と言う描写と、ガニャへの「批評は無意味だ、自分には生み出す事が出来る」と言う捨て台詞がどうにも腑に落ちない――実際には、その境地になるのは、此の後、”最後のミューズ”となるジャンヌに出会ってからの事ではないのだろうか、と思ってしまった……
映画としては、如何にもジョニー・デップらしい、酒と麻薬による幻想と夢現の描写、そして、過去の撮影技法を巧みに取り入れているのも面白いし、コミカルなシーンにもそのセンスが光る。また、1916年の、エコール・ド・パリの時代を、彼なりの解釈で描いているのにも見るべきものはある。
起用された俳優も、エンドロールで写される本人のイメージとも重なる……など、作りのよさはあるが、前述したように(だから、原作のせいかもしれないが)、何故、この72時間だったのだろうか、と言う疑問を感じてしまった。
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