これは、横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞した原浩の同題小説を、本木克英監督が実写映画化したもの。
主演は、「九龍ジェネリックロマンス」の水上恒司で、意外な事に本作が単独初主演、となるそうだ。共演は、「ファブル」の山下美月。そして、人気アイドルグループ・Snow Manの宮舘涼太。
信州の大学で科学研究に従事する久喜雄司と夕里子夫妻の元に、祖父の兄で、ニューギニアで戦死した久喜貞市の遺品の日記が届けられる。
その最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」の文字が綴られていた。その日以来、ふたりの周辺で不可解な出来事が起こるようになる。
雄司は、夕里子の学生時代の知人で、超常現象専門家だと言う北斗総一郎に相談を持ち掛け、共に真相を探り始めるが……
この映画、田舎を舞台に、かつてのホームドラマの舞台のような古風な民家に住まう家族と、戦時中のニューギニアのジャングルを彷徨う日本兵を対比させ、その2つの世界を、生きる執着を込めた結果“呪物”となってしまった手帳が繋ぐ……と言うホラーなのだが、これがあまり恐怖を演出出来ておらず、どちらかと言うと、別の世界線からの世界の侵食を描くパラレルワールドSFとなっている感じがした。
本作にホラー映画を期待すると、物足りないだろうとは思うが、見方を変えてSFミステリーとして観れば、これはなかなかよく出来ているのではないだろうか?
惜しいのは、ホラーに格好の舞台設定を活かせていないのに加え、SFとしても、平行世界が干渉し、入れ替わろうとしている、と言う説明と見せ方が下手で、これが、本作に対する「判らない」と言う評を生んでいるように思う。
それより問題なのは、手帳に込められた生への執着を利用して、利己的な目的の為に、世界を変えた男への報いがない事であり、映画はこれを描かない代わりに、作中の世界線の入れ替わり設定に反して主人公を消滅させなかった……これは、ただ感傷を誘うだけのラストを演出するだけの安易なものと想え、さすがに理解出来なかったし、映画世界の倫理観としてもどうか、と思う。このラストシーンが、本作最大の問題ではないだろうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する