これは、「小説 野生時代」新人賞を受賞した君嶋彼方の同題小説を、「雪の花 ―ともに在りて―」の芳根京子とアイドルグループKing & Princeの高橋海人のW主演で実写映画化したもの。
監督は「決戦は日曜日」の坂下雄一郎。
高校1年の夏、坂平陸と水村まなみは、プールに一緒に落ち、心と体が入れ替わってしまう。
ふたりは、入れ替わったことは周囲に秘密にすると決め、異変が発覚しないように情報を交換しながら、元に戻る方法を模索するが、月日だけが流れて行く――まなみは、坂平陸としての暮らしに順応、それどころか“モテ男”となって傍目には楽しそうな学生活を過ごしている一方、陸は、水村まなみの人生を生ききれず、戸惑う日々が続いた。
高校卒業後、進学、初恋、就職、結婚と人生が変化して行く中でも、ふたりは年に1度、入れ替わりの日には会って情報交換と元に戻る為の調査結果を話し合っていた……そして、15年目の夏、陸が「元に戻る」為の調査結果を報告するが……
「時をかける少女」再解釈だった「リライト」に続き、こちらは「転校生」の再解釈、と言う所か……本作の特色は、キーとなる男女の入れ替わりを、「起きてしまった事」とする事にある……物語は、入れ替わりの15年後に始まり、入れ替わりが「ある」のを前提として、その入れ替わりにより起きた事を回想形式で描いて行くものとなる。
この物語、入れ替わったふたりが恋愛関係にならない展開もそうだし、時間軸を長くとった事で描き出される、家族や友人ら周囲の人々の状況もしっかり描写され、異色の設定で引っ張る「ラブコメ」や、入れ替わりの謎を解く「SF」とはせずに、人間関係を描くドラマとしているのは見応えがある……これは、原作の力もあるが、安易に「転校生」や「君の名は。」を追わなかったのは評価出来る部分と思う。
あと、中身がまなみの陸がモテモテとなると言う展開には苦笑――そりゃ外見が高橋海人で、中身は女性、だから女性を理解して好きな事をしてくれる、となったら……アイドルオタクでなくとも「それなら」と、なる女性は多そうだ。
気になったのは、W主人公で、時間軸も長期となる為、どうにもダイジェスト感が出てしまうと共に、物語の視線が定まらず、最後の展開もすっきりしなかった事……原作小説は、陸の一人称となっているそうで、これは映画脚色の問題とも言えそうだが……
あと、最後まですっきりしなかったのが主人公2人の性自認の問題――これは正に「性同一性障害」の状況になるのではないか、と……物語は、性自認は肉体に付随する、としているようだが、どうにももやもやが晴れなかった。
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