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2025年12月16日07:54

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「エディントンへようこそ」感想

 これは、「ミッドサマー」のアリ・アスター監督が、「ボーはおそれている」のホアキン・フェニックスと再びタッグを組んだブラックコメディ。
 共演は「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」のペドロ・パスカル、「哀れなるものたち」のエマ・ストーン、「エルヴィス」のオースティン・バトラーと何れも主演級の豪華キャスト。
 フォト

 2020年5月、ニューメキシコ州の小さな町エディントン。
 人の出入りもなく、新型コロナウィルスの感染者もいない田舎町なのに、市長の独断でロックダウンされた町では、実感のない隔離生活により、住民たちに不安と苛立ちが広がっていた。
 喘息で持ちの保安官ジョーは、市長のテッドと“マスクをする、しない”の小競り合いから対立し、突如、市長選に立候補することになる。
 そんな中、若者たちの間ではBLM活動が広まり、更に、ジョーの妻ルイーズは、若いカルト宗教教祖に入れ込んで、布教活動にのめり込んで行き……

 アリ・アスター監督作品は、人が抱える不安を描き、更に悪夢的状況の中で、その不安が変容し、或いは解消するかを描くのが作風になるか、と思うが、本作では、その不安がエディントンと言う町を覆っていると言う設定。そんな社会不安の中で、登場人物らがディスコミュニケーションと相互不信の諍いを繰り広げる、と言う展開となる。
 そして、この映画が、町の人々をそんな状況にした"邪悪な存在”はインターネット、特にSNSだ、とするーージョーは夫婦の思い出をインスタグラム画像で見ているし、ジョーの母はインターネットの陰謀論に感化され、若者らはネットニュースで見たBLM活動に共感し、ウワサ話はLINEで流れて来る……人と話さず、ネットで見た言葉を借りて己を発信する事が自己を表現する事なのか、と言う怒りにもに似た感情がそこにはあるように思う。
 また、クライマックスは、暗闇の中から正体不明の敵に攻撃され、それに対し、こちらも重火器で、子細構わず破壊を振り撒く……と言うのも、ネット上の炎上騒ぎをカリカチュアライズしたものでしょう。
 そうして本作は、インターネットの有害性と、それに毒され、振り回される人々の悲喜劇を、エディントンと言う小さな町に投影して描く……そうした狙いは判るが、本作については、アリ・アスター監督ならではの、子細にディティールを積み上げて、それが崩壊する事でスペクタクルを生む、その手法が、群像劇となっている事で、いささか散漫がものとなってしまい、導入から中盤までは正直退屈してしまった。
 勿論、終盤に近付き、ジョーが思い切った事をしでかしてからは、物語が加速して、退屈さを感じる暇などなくなるのだが……この辺りの展開は賛否が別れるのではないか、と思う。

 本作は、今年公開された「ワンバトル・アフター・アナザー」と共通する所が多くある映画、と思う。現代を舞台に、様々な社会的問題を掬い上げて、映画にしている。
 「ワンバトル・アフター・アナザー」は、茶化しながらエンターテイメントに仕立て、社会的メッセージは殆ど含まないのに対し、本作は、茶化す、と言うより、きつめのブラックコメディで、風刺色が強く、メッセージも強め……これを面白がれるのは、相応に予備知識が必要で、より観客を選ぶような気がする。
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