これは、街頭インタビューでの回答からバキバキ童貞こと“バキ童”として話題になったお笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ主演、岐阜県関市の全面バックアップで制作されたご当地コメディ映画。
監督は、芸能事務所タイタンでマネージャーを務める八木順一朗。
岐阜県関市役所の観光課に勤める山田一郎は、何をやっても失敗続きのお荷物職員。そんな彼が、市長から市を盛り上げるためのご当地映画の製作を押し付けられる。
しかし、どこにでもある凡庸なご当地映画の製作に疑問を持った山田は、少年時代の夢だった怪獣映画の製作を思いつく。
だが、その企画は、市政を巻き込んだ大騒動へ発展して……
この映画、劇中でも描かれているように、よくある「ご当地映画」を逆手に取った映画で、内容はご当地映画を徹底的に茶化したものとなっている――こんなケレン味たっぷりの映画を、ご当地映画としてご当地である関市の全面バックアップで作ってしまう辺りは、「爆笑問題」を擁するタイタンならでは、と言う所だろうか。
そして、タイタン製作のネームバリューもあって、これを小規模ながら全国拡大公開までしているのだから、これはご当地映画としては破格の出来と言っていいだろう。
だが、この映画、そうした内容はともかくとして、映画、特に怪獣映画に対するリスペクトが足りないのが問題。
映画を作る映画、と言うのは大抵が面白いし、映画好きを惹きつける――当然だ、大好きな映画の作り方が判るのだし、映画屋が映画作りを描くのならば、リアリティや考証も申し分ないはずなのだから。
そうした目で見ると、本作はどうにもひっかかってしまう……そもそも怪獣映画ファンと言うのは、それこそ庵野秀明を始め、隅々まで知り尽くしたマニア蠢く魑魅魍魎の世界であり、迂闊に扱えば火だるまになる題材だ。本作はそうした見方が甘い。映画の中に、マニアを納得させる怪獣愛か、描写のリアリティがあればよかったのだが、特撮と怪獣をお笑いネタにされ、挙句に大事な着ぐるみやミニチュアを粗雑な扱いされてはマニアの怒りを買うだけだろう。
実は、クライマックスとなる、山田の作った作中の“怪獣映画”の出来は、決して悪くないのだ――怪獣を、ぐんぴぃ本人が素顔で演じる、と言うのも庵野秀明の「帰って来たウルトラマン」へのオマージュであろうし、全体的に“判っている”感じはする。これを、劇中映画製作時から出してくれれば、と思うのだが……
尚、怪獣をぐんぴぃ裸で演じているのは、日本の芸人は本当に脱ぐのが好きだなぁ、と苦笑するしかないが……
(だから、このシーンの撮影に臨む際、山田が吉田に「一肌脱いで下さい」と言うのはおかしい。「ボクが一肌脱ぎます」だろうに)
本作はご当地映画としては工夫があり、決して悪いものはない、と思う。
だが、映画作りと、怪獣映画を取り上げるなら、もっとそれを大事にしてくれればよかったのに、と残念に思う。
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