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2025年10月24日05:53

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マオウ(麻黄 Ephedra)の不思議

お月さま ありがとう
地球と いっしょに いてくれて

 こんなやさしい言葉で始まる絵本『お月さま いつもありがとう』(福音館書店)の中で、夢のような木を見つけた。
 咳や鼻炎の生薬として古くから親しまれている裸子植物エフェドラ ≒ マオウ(麻黄)。(主要アルカロイド成分はエフェドリン)
 そのうちの一種(Ephedra foeminea)が受粉に月の光を利用するというのだ。
お月さまの あいずで
花粉と みつを 出す 木も あるんだよ

マオウという木は、7月の満月の夜、タネになる赤みをおびた部分から、花粉を受けとるための甘くてねばっこいしずくを出します。しずくが月の光にきらめくと、はらぺこのハエやガが集まってきます。花粉をからだにくっつけた虫たちがあちこちをとびまわると、花粉がしずくにとりこまれて、タネができるのです。

フォト



なんという幻想的な光景だろう!
満月の夜の、珊瑚やウミガメの産卵や孵化のことは知っていたけれど……。

Ephedra(エフェドラ)とFull moon(満月)で検索すると、ナショナルジオグラフィック(下記)をはじめ科学誌の記事がいくつかヒットした。
地中海沿いの崖の上で繰り広げられるいとなみ。想像するだけでうっとり。
It isn't the prettiest of plants, but once a year, in the middle of July, it becomes far more appealing. On the night of the full moon, the shrub exudes small, sweet droplets from its red cones. Without any clouds or trees in the way, these drops catch the full intensity of the moonlight, reflecting them into the eyes of passers-by. The shrub sparkles, as if covered in diamonds.

拙訳:(マオウは)さほど美しい植物ではないが、年に一度、七月中旬になると、格段に魅力的になる。満月の夜、この低木は赤い円錐形の花序から小さな甘い露を滴らせる。雲や木々など遮るものがないから、しずくは月光の輝きを余すところなく受け止め、通行人(夜行性の昆虫)の瞳に映る。低木はきらめく……ダイヤモンドをまとうように。


友人の由利ちゃんが訳した絵本の紹介、のつもりが、またしても道草を喰いました。
きれいでおいしい道草です。wヾ(≧▽≦)ノ




◆ Amazonに送った感想文、載せておきます。
『お月さま いつもありがとう 地球の生きものと月のはなし』 (福音館の科学シリーズ)
メリッサ・スチュワート (著), ジェシカ・ラナン (イラスト), まつむら ゆりこ (翻訳), 吉村 崇 (監修)

★★★★★ エレガントな科学絵本

この絵本を読んだ子どもたちは、きっと感じ取るでしょう。地球に棲息するすべてのいのちが、月から多大な影響を受けていることを。そして思わずつぶやくでしょう――「お月さま ありがとう」♪

イラスト(Jessica Lanan)は息をのむほど美しく、どのページも額に入れて飾りたくなります。ページの左側にそっと添えられた日本語もたおやかで美しく、まるで月の光のよう。写実的でありながら詩的で幻想的というアクロバットをここまで見事になしとげられるのは、『科学をうたう』の歌人・松村由利子さんならでは。

日本語版独自の吉村崇さんの解説も楽しく、内容はまさに至れり尽くせり。子どもにも大人にも贈りたい、心からおすすめできる一冊です。

追記:私はマオウ(Ephedra foeminea)という植物と月との関係を知らず、驚きました。いろいろ調べ、National Geographic の記事を読んだり…… この本がきっかけで心躍る冒険が続いています。

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