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2025年10月16日00:20

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「秒速5センチメートル」感想

 これは、「君の名は。」の新海誠監督が、2007年に製作した同題アニメ中編映画を、松村北斗主演で実写映画化したもの。
 監督は、写真家で、映画としては「アット・ザ・ベンチ」を監督した奥山由之。
 フォト
 2008年、東京。遠野貴樹はプログラマーとして働いていた。人と深く関わらず閉じた日々を過ごすうち、進むべき道を見失った彼は30歳を前に退職。交際中の彼女とも別れてしまう――そんな虚ろな日々が、貴樹に、自分の一部が過ぎ去った時間の彼方に取り残されたままだと気づく……それは、1991年、春。小学校6年の時に出会った篠原明里と過ごした日々の中にあった。
 「秒速5センチメートル――桜の花びらが落ちる速度なんだって」
 と、桜の花散る下で語った明里……中学1年、季節外れの大雪……高校2年、種子島の夏……そして、貴樹はある約束を思い出して……

 原作アニメ版は60分の中編映画なのだが、本作は、それをほぼ倍の121分の長編映画に仕立て直している。
 原作アニメのシーンは殆ど再現されており、膨らませているのは、オリジナルの終盤、山崎まさよしの「One more time, One more chance」に乗せて一気に見せる断片的なエピソードのうちの、成人パートとなっている。
 映画は、その上で、その成人パートを中心に据え、小中高時代のエピソードはそのままに、ただ回想の時間軸を大胆に入れ替えて、新たな物語として再構築している。
 これは見事なアレンジ、と感心した。

 貴樹を演じた松村北斗はハマり役だろう、人付き合いの苦手な新海誠作品の主人公らしさを見事に演じていて、原作アニメ通り、と言う感じだった。
 小学生〜中学1年までを演じた上田悠斗は、松村北斗の少年時代、と言うのに違和感なかったが、高校時代を演じた青木柚はちょっとイメージが違った、
 あと、澄田花苗役は森七菜なのだが、これまでとイメージが違い、クレジットを見るまで気づかなかった。

 奥山由之監督は写真家でもあるため、構図の取り方がいい。アニメさながらのカットもあれば、見事に映画的なカットや、「どうやって撮った?」と思わせるようなカットもあって、これはさすが、と思った。
 ただ、残念だったのは、回想シーンを、現実の成人パートと区別しようとしてか、ソフトフォーカスにしてしまっている事で、これには新海アニメの描く世界観との差異を感じてしまい、違和感が残った。
 あと、貴樹のモノローグを排しているのは、方法論としてはありとは思うが、これは初見の人にはちょっと判り辛くなってしまっているかもしれない。
 これに関連して、終盤、貴樹に独白ではなく、語りをさせる辺りで、ちょっともたつくと言うか、無理っぽさが出てしまったのも惜しい。

 見事な実写化だし、成人パートを膨らませた事で、ドラマの重厚さも出て、見応えのあるものになった。
 その上で、オリジナルを尊重し、原作と同じすれ違いのメロドラマとしてまとめ直しているのも好印象。これは期待以上の映画だった。
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