mixiユーザー(id:124952)

2025年09月29日13:28

72 view

「俺ではない炎上」感想

 これは「六人の嘘つきな大学生」の作家・浅倉秋成の同題小説を阿部寛主演で映画化したもの。監督は「AWAKE」の山田篤宏。

 大手ハウスメーカーの営業部長・山縣泰介は、ある日突然、身に覚えのない事で、世間から注目され、追い回される“炎上状態“になってしまう――作った覚えもないSNSアカウントで、殺人行為をアップロード……しかも、発信は自宅のIPアドレスからだ、と言うのだ。
 既に人物特定され、自宅にも“突撃”され、警察も動き出す――山縣は、訳も分からぬうちに当てもなく逃亡するが……

 これは予想外に面白かった。内容としては、おじさんにこそ刺さる部分の多い映画だが、全年齢楽しめる映画だと思う。
 予告編からは、ネット上のトラブルが炎上して、と言う軽めのサスペンスコメディでは、と思ったのだが、発端の事件が殺人、と言うなかなかヘビーな内容で、逃亡のサスペンスに始まり、事件の全容を明らかにしていくミステリーとなる内容もしっかり、しかも、その謎解きで明かされる内容も、決して非現実的なものではない、しっかりしたものとなっている。そうした設定だけでなく、この映画が描き出すのは、「俺には判らない」、「俺は悪くない」と言う現代の無責任社会についての風刺となっているのだ。

 映画は、前半で、泰介ら“おじさん”たちを描いて行く――アカウントを勝手に作られ、殺人容疑を着せられても、泰介は、
 「SNSとか炎上とか、よくわからない」
 と放置して事態を悪化させるし、警察も、ベテラン刑事が、
 「アカウントとかIPアドレスとかさっぱりわからん。捜査は足でするんだ」
 と、時代遅れ&見当外れな事ばかり言って、捜査を進められない……これを、いささかコメディチックに描いて「ダメなおじさんたちが、ダメな社会を作ってる」と言うのをまざまざと描き出すのだが、映画は後半に至って、今度は若い世代に、
 「この社会を作ったのはおじさん達なんだから、自分のせいじゃない」
 と言ったらいけない、それでは“おじさん”たちと同じ責任転換だ、と言う方向に話を転がして行く――この展開は上手い。

 泰介を演じる阿部寛は、求められる“時代遅れの男”を熱演。共演で、本作のミステリー部分のキーとなる役を演じる芦田愛菜は「ひょっとしたら」と思わせたのだが……

 映画は、一応オープンエンドの形ではあるが、最後を綺麗にまとめた感がある。娯楽作品としてはこれでよいのだろうが、本作のテーマと訴えるメッセージからは、現実にもう一刺しする毒があってもよかったように思う。
1 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2025年09月>
日 月 火 水 木 金 土
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

過去の日記

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年