これは、BBCの「ブルー・プラネット」などで活躍する水中カメラマン、パトリック・ダイクストラと、マッコウクジラの交流を描くドキュメンタリー。
監督はネイチャードキュメンタリーを手掛けて来たマーク・フレッチャー。
弁護士から水中カメラマンに転身したパトリック・ダイクストラは、少年時代に博物館でシロナガスクジラの模型を観て以来、クジラの虜になっていた。
2019年、パトリックは、ドミニカ沖で一頭のマッコウクジラの雌と出会う。パトリックは、そのクジラにドローレスと名付け、コミュニケーションをとるようになって……
これは、クジラに魅入られたパトリックとマッコウクジラの交流を描くドキュメンタリー。
しかし、この映画、ネイチャードキュメンタリーとしてはかなり異色だ。マッコウクジラの特徴や生態など生物学的な内容についてはあまり語らず、パトリックが、恋焦がれたようにクジラを追い、クジラを怯えさせないように、とシュノーケリングでクジラと共に泳ぐシーンが主となる――クジラと見つめ合い、鳴き声を真似、クジラの雄に嫉妬し、出会えないと「嫌われてしまったのか?」とウジウジと悩む、まるで初心な青年の恋愛物語のような展開に終始するのだ。
勿論、そんなパトリックとクジラが水中で交流するシーンには心温まるものがあるし、画像を反転させてクジラとパトリックがまるで宙を舞うようなシーンの美しさは圧巻と言える。また、マッコウクジラの群れが頭を上にして水中で直立し、睡眠をとるシーンなど、なかなか貴重な映像も捉えられてはいる……ただ、本作の問題は、それら全てを予告編で見せてしまっている事で、本編はほぼその繰り返しなのだ。それ以上のものが本編にない、と言うのは、予告編の作り方からして疑問を覚える……これなら予告編を観るだけで十分、と言うのは言葉が過ぎるだろうか?
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