これは、眉月じゅんによる同題漫画を、「君は放課後インソムニア」の池田千尋監督が実写映画化したもの。
主演は、吉岡里帆と水上恒司。共演に竜星涼、�暴啾析此�梅澤美波など。
懐かしさ溢れる香港の街・九龍の不動産屋で働く鯨井令子は、先輩社員の工藤発に惹かれていた。
工藤は九龍を知り尽くしていて、令子をお気に入りの場所に連れ出してくれるが、ふたりの距離は縮まらないまま。
そんなある日、令子はふと目にした写真から、工藤には自分と瓜二つの婚約者がいたことを知って……
原作漫画は未読なのだが、ウィキペディアによると宇宙空間にもうひとつの地球である「ジェネリック・テラ(地球)」が建設される時代、となっており、かなりSF色の強いもの、と言う。(現在、既刊11巻にもなる長編を未だ連載中)
本作は、そこから舞台設定などを活かしたラブロマンス、となるのだが……これには違和感を感じると共に疑問も抱いた。
違和感は、原作設定についての予備知識がないせいもあって、九龍塞城内の描写――なんで”東洋の魔窟”と言われた九龍に、日本人コミュニティが出来ているのだ?と言うのに始まり、その独特の塞城の構造が描かれない事。そして、疑問の方は、この物語を、思いっきりラブロマンスにしてしまっている事だ。
さすがに、この物語をSFスペクタクルではなく、ラブロマンスにして描くのは無理が多すぎる、と思ってしまった……やはり、この内容だと、アニメ版がそうであるように、映画にするよりも、尺をたっぷりとったドラマにするのが相応しいのではないだろうか?
確かに、九龍塞城のビジュアルには魅力があるし、台湾ロケによりなかなか雰囲気を出しているのは認める――原作の眉月じゅん自身、1994年に解体されてしまった九龍塞城の様子は写真でしか知らず、漫画の背景などは台湾を参考に描いていたそうで、その意味では原作通りにはなっているのかも知れないが……自分は「トワイライト・ウォーリアーズ」でリアルに再現された九龍塞城を観ているだけに、物足りなく思ったのは事実だ。
ヒロインの鯨井を演じた吉岡里帆には文句なし。綺麗でかわいい、と言う持ち味を活かして、工藤より年下の鯨井と、婚約者で年上の鯨井Bを演じ分けている。映画「正体」では、どうにも綺麗に写っていないくて気の毒に思ってしまっていたのだが、本作では彼女の魅力を堪能した。
その一方で、工藤役の水上恒司は役年齢よりもかなり若く、背伸びした感が出てしまっていた。
このように、映画版としての本作は、吉岡里帆を観るため、と割り切るか、或いは原作を知っていて、実写ダイジェスト版として原作からの補完を入れながらでないと楽しめないような気がする。
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